旧車に特化した買取サービス「旧車王」を運営するカレント自動車は、旧車に興味のある135人を対象に自動車税に関するアンケート調査を実施した。車齢13年を境に重くなる税金について、回答者の8割以上が不満を示した今回の調査結果を見ていこう。
以下、カレント自動車による調査結果のレポートだ。
調査の背景
旧車(クラシックカー)オーナーを取り巻く環境は、維持費だけでなく税制面でも課題がある。特に自動車税(種別割)に関しては、排気量に応じた課税に加えて経年車に対する重課税があり、多くのオーナーから「税負担が重い」という声を耳にする。
一方、海外の多くの国では、旧車に対して優遇措置が設けられ、クラシックカー文化の保存や活性化が進んでいるのが現状。日本でもこうした優遇制度の必要性が高まっているものの、実態やニーズが十分に把握されていない。
今回は旧車オーナーの意見や実際の税負担状況、優遇制度への期待などを調査した。調査対象は旧車に興味のある男女135名、調査期間は2025年5月20日~2025年5月26日、調査方法はインターネット調査。
調査結果
- Q1.自動車税(種別割)の納税額に不満はありますか?
「とても不満に感じている(重課に納得できない)」と回答した人が82.2%にのぼり、全体の9割以上が何らかの不満を抱えていることが明らかになった。不満を感じていないという回答はわずか6%にとどまり、旧車オーナーにとって自動車税の負担は大きな課題となっている実態が浮き彫りになった。
- Q2.日本では旧車・クラシックカーに重課税がかかる一方、海外では文化財として優遇される制度もあります。「旧車を所有すること」に関して、あったら嬉しい制度は?(複数選択可)
「自動車税の重課除外または適用年数の見直し」が最も多くの支持を集め、全体の83%(112票)にのぼった。次いで「車検費用や重量税の軽減」(94票)、「維持年数や走行距離に応じた優遇措置」(68票)、「旧車保険料の割引」(55票)などが挙げられ、旧車オーナーが直面する経済的負担の軽減を求める声が多数寄せられた。
これらの結果から、旧車オーナーは単に趣味として旧車を所有しているだけでなく、文化的価値や歴史的意義を重視していることが伺える。しかし、現行の税制では、車齢が13年を超えると自動車税が約15%増税されるなど、旧車の維持に対する経済的負担が増加している。このような状況は、旧車文化の継承を阻む要因となりかねない。
一方、海外では旧車に対する優遇措置が存在する。例えばドイツでは、初年度登録から30年以上が経過し、オリジナルの状態が保たれている車両または専門的に修復された車両に対して「Hナンバー」が付与され、税制上の優遇を受けることができる。このような制度は、旧車の保存と文化的価値の継承を促進しているといえる。
日本においても、旧車の文化的価値を認識し、その保存と継承を支援する制度の導入が求められていることがわかった。
- Q3.毎年支払う旧車の自動車税はいくらですか?
旧車オーナーの約6割が年間3万5,000円以上の自動車税を支払っており、特に「3万5,000円~4万9,999円」が最も多く(31.9%)、次いで「5万円~6万9,999円」(25.9%)、「~3万4,999円」(25.2%)と続いた。さらに、「10万円以上」と回答した人も5.9%存在し、旧車の維持にかかる税負担の大きさが浮き彫りとなった。
一般的な普通車の自動車税は、排気量1,500cc以下で3万500円、2,000cc以下で3万6,000円とされている。しかし旧車の場合、車齢が13年を超えると約15%の重課が適用され、例えば2,000cc以下の車両だと、東京都では4万5,400円となる。また、排気量が大きい旧車では、重課により税額がさらに高額となり、6,000cc超の車両では12万7,600円に達する。
旧車オーナーは一般的な乗用車の所有者に比べて重課による年間の自動車税負担が大きく、顕著であることがわかった。
調査まとめ
今回のアンケート結果から、旧車オーナーの多くが現在の自動車税制度に対して強い不満を抱いていることが明らかになった。特に、約8割以上(82.2%)が「重課に納得できない」として強い不満を表明しており、これは一部のオーナーにとって「趣味」としての旧車維持を困難にする大きな障壁となっている。
また、旧車オーナーから見て「あったら嬉しい制度」としては、自動車税の重課除外や年数の見直し(112票)、車検費用や重量税の軽減(94票)など、税制面での優遇措置を求める声が特に多く寄せられた。海外ではヒストリックカー制度などにより文化財的価値を認められるケースも多く、日本でも同様の取り組みへの関心が高まっていることが伺える。
さらに、支払っている旧車の自動車税額を見ても、6割以上のオーナーが年間5万円以上を負担しており、一般的な自家用車(例:2,000ccで約3万9,600円)と比べて高額な傾向がある。
こうした実態を踏まえ、旧車の文化的価値や地域活性化への貢献といった観点からも、旧車オーナーに対する現実的かつ柔軟な税制の見直しが必要とされていると言えるだろう。