旧車ユーザーたちから「税金が高すぎる!」との声が聞こえてくるこの季節。古いクルマを大切にしながら乗っているだけで、本当に普通よりも高い税金を払わなければならないのか。実際、どのくらいの金額になるのか。「ゴルフⅡ」と「W124」を所有する旧車ユーザーからの実態報告だ。
自動車税とは
毎年、この時期になると自動車所有者の手元に届くのが、写真の封筒に入った「自動車税納税通知書」だ。今、お手元にお持ちの方も多いことだろう。
自動車税とは、登録されている普通自動車(軽自動車は軽自動車税)を対象に、毎年4月1日時点での所有者に対して課税される地方税(課税主体は都道府県)のこと。通常は5月末(東京都の場合、今年は6月2日)までが納税期限だ。
支払いは金融機関やコンビニなどでの現金払いのほか、クレジットカードやスマホ決済アプリなどでも可能。期限を守ってこれを収めないと、延滞金が発生したり、車検が受けられなくなったりなど、トラブルの元になってしまう。
排気量ごとに異なる税金
税額は車の用途(乗用車・トラック等)、車検証に記載された排気量、積載量という情報を元に定められている。例えば自家用車では電気自動車(BEV)と1.0L以下車が2.5万円で、以降0.5L刻みで金額が上っていく。最大は6.0L超の11万円だ(令和元年10月1日以降に初回新規登録を受けた車)。それ以前の登録車であれば前者は2.95万円、後者が11.1万円となる。
税の軽課、重課とは
税額を軽減するという意味合いでは、燃費性能や排出ガス性能など環境性能が優れたクルマの購入時に税率が下がったり非課税になったりする「環境性能割」というものがある。中でも「グリーン化特例」ではBEVが75%、プラグインハイブリッド車(PHEV)が50~75%、ハイブリッド車(HEV)が25~50%、天然ガス車が50%軽減される。また、東京都の「ZEV導入促進税制」では、EV、燃料電自動車(FCV)、PHEVを導入した都内事業所の法人・個人事業主に最大100%の税額免除が行われる。
その一方で、登録から13年超(ディーゼル車は11年超)の旧車所有者には、概ね15%もの重税が課されている(環境負荷への配慮から)のをご存知だろうか。
例えば筆者の「ゴルフⅡ」(フォルクスワーゲン)は1.8L、「W124」(メルセデス・ベンツ)は2.8Lなので、普通なら前者は3.95万円、後者は5.1万円のところ、それぞれ1990年と1993年の製造なので、税額は4.54万円、5.86万円に増額されている。毎年、10万円超を納税していることになるのだ。
旧車を所有するのは悪いこと?
「旧いクルマを長く所有することは悪いことなのか?」というのは、納税通知書を見ていつも思うこと。「環境性能が悪い」とはいっても、この手の旧車が毎年の走行距離をどんどんと伸ばしていく、という事態はあまりないはずで、例えば筆者が所属している旧車クラブ「ACJ」(オートモビル・クラブ・ジャパン)には1人で何台もの旧車を所有している方がいらっしゃるが、それらの走行距離は全然伸びていないのだ。
例えば10km/Lの旧車が1年で1万km走るのと、20km/L走る新型車が2万km走るのなら、消費するガソリンの量は同じということになる。排ガスの性能だって、走る距離が短ければ環境負荷が少ないことになる。環境性能の差でベースの税額に差をつけるというのは構わないが、個々の「走行距離」に応じて計算するような制度が実現すれば平等性が保てると思うのだが、いかがだろうか。