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知らぬ間にボーナスの手取りが減少、こっそり進んでいる国民負担の中身とは?

MAY. 23, 2025 07:00
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長期積立の資産運用の魅力を伝えている、「つみたて王子」こと中野晴啓氏が、今後さらにインフレが進んだときに必要な投資法を伝授する書籍『ほったらかし投資はやめなさい』(中野晴啓 著/宝島社/1,650円)から、一部を抜粋して紹介します。今回のテーマは『こっそり進む国民負担で、知らぬ間にボーナスの手取りも減少』。

こっそり進む国民負担で、知らぬ間にボーナスの手取りも減少

こっそりと「国民負担」を増やしていくという国の手口は、今に始まったことではありません。もはや額面と手取りにかなりの違いが生じることがすっかり当たり前になっているので、違和感を覚える人は少ないでしょうが、昔と比べるとボーナスの手取りも、密かに進められた「国民負担」の増加分だけ大きく減っています。

本来、社会保険は月収(標準報酬月額)に基づいて保険料が算出され、毎月の給与からその分が天引きされる仕組みになっていました。業績が大幅に悪化しない限り、毎年2回(夏・冬)の支給が常識的になっているものの、あくまで臨時の収入であるボーナスから保険料が徴収されることはなかったわけです。

ところが、2003年4月からの改正法施行で「総報酬制」が導入されたことによって、ボーナスを含めた年収の総額に応じた料率の社会保険料が徴収されるようになりました。もう少し詳しく説明すると、「総報酬制」における社会保険料は「(毎月の給与+ボーナス)÷月数」という式で算出されます。ただ、実はボーナスからの社会保険料徴収はそれ以前からも行われていたものです。1995年4月~2003年3月の期間中は、ボーナスから「特別保険料」が徴収されていました。

とはいえ、「特別保険料」の負担は労使折半でボーナスに対して1%(給与所得者の負担は半分の0.5%)で、「総報酬制」のほうがはるかに負担が大きくなるものです。「総報酬制」が導入された直後は大騒ぎになったのですが、いつの間にかボーナスの額面と手取りに大きなギャップがあるのは当たり前のことになってしまいました。

なお、ボーナスからも社会保険料が徴収されるようになったのは、一部の企業の間で"保険料逃れ"を目的に支給額を調整する動きが見られたからです。「総報酬制」の導入前は、結果的には総額で同じ年収を支払うとしても、月給額を少なめにしてその分をボーナスに上乗せするという調整を行うことで社会保険料の負担を軽減できました。

社会保険料の負担は労使折半なので、企業側も従業員側も軽減できるのに越したことはありません。そこで、双方の合意のもとに月給とボーナスの支給額を意図的に調整するケースが相次ぎ、そういった操作を行っていない企業との間では不公平感が募っていました。 こうした背景の下で導入されたのが「総報酬制」で、決して国民に対して負担増を強いるものではないというのが当時の国の見解です。導入に並行し、厚生年金の保険料率も17.35%~13.58%に引き下げられ、その分だけ毎月の給与から天引きされる社会保険料も減額されました。

とはいうものの、その後に厚生年金の保険料率は段階的に引き上げられ、2017年9月には18.3%に達しています。結局は「総報酬制以前」よりも高くなっていますし、まとまった金額の支給であるボーナスからの徴収分も含めれば、導入前と比べて明らかに負担は大幅に増えています。

  • ※画像はイメージ

『ほったらかし投資はやめなさい』(中野晴啓 著/宝島社/1,650円)

本書では、長期積立の資産運用の魅力を伝えている、「つみたて王子」こと中野晴啓氏が、今後さらにインフレが進んだときに必要な投資法を伝授します。新NISAスタートから1年、銀行に預金を預けたままにしたり、数年前に買った株や金融商品をそのままにしている「ほったらかし投資」のリスクに加え、「長期・積立・分散」のメリット、投資信託のインデックス運用よりアクティブ運用を奨める理由など、いまの時代に合った投資法をわかりやすく解説しています。巻末には中野氏オススメの24銘柄も掲載。インフレ時代のいま、自分の資産を守りたい、また、増やしていきたい人は必見の一冊です。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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