前編に続き、インデックスファンドの思わぬ落とし穴について書いていきたい。成績悪化が見込まれるS&P500やオールカントリー型のファンドは、引き続きその人気を保てるだろうか。それが叶わぬ場合、投資家による資金の引き出しが株式市場の更なる悪化と次なる問題を引き起こす。

足元の波乱相場を気にせず、つみたて投資を続けることが資産形成には重要だが、自己の資産だけに着目するとマズイことになる。米国株式系のインデックスファンドが日本経済・社会に及ぼすマイナス面(前編参照)を見落としてしまうからだ。

なお後編である今回は、企業単位に目線を落としてインデックスファンドが引き起こす問題点について探っていく。

インデックスファンドの落とし穴(後編)

インデックスファンドは個別企業の調査や分析を不要とし、指数の対象となる市場に丸ごと投資する仕組みだ。それゆえ手軽に低コストで分散投資を図ることができる。オールカントリー型ともなれば、その中身が米国株式中心とは言え、株式における完全分散が果たせるのだ。

しかしこの考え方、個人投資家にかなり寄り過ぎていないだろうか。言い方を変えると、企業にとって非常に不都合な状態ではないだろうか。

分散投資は「1つの商品に何らかの問題が起こっても、他の商品が損失を補完する」というリスク抑制の概念だ。

オールカントリー型のファンドで考えると、名前のとおりであれば「世界中の株式に分散投資をしているので、仮に1社2社倒産しても痛くもかゆくもない」となる。ここで、投資における最も重要な本質が抜け落ちていることに気付く。投資とは企業の成長を促す行為ではなかったのか、と。

個人投資家にとっての経済合理性を考えれば、「個別企業が自らリスクを取って、将来の成長にチャレンジなどしなくてよい」となる。「危ういリスクを取るくらいなら、その分の資金を株主還元に回してくれた方が好都合。どうせ完全分散しているのだから……」と。

するとどうなるか。企業発のイノベーションが生まれにくくなり、社会の発展が阻害される可能性も考えられる。インデックスファンドが企業から努力する姿勢、未来を変える機会を奪うなど想像もしなかったことだろう。企業にとって投資家はオーナーである。オーナーが成長を望まず、オーナーの利益だけを考えれば、企業も産業も衰退の一途を辿るのは必然なのだ。

成長を阻まれた企業、倒産したって痛くもかゆくもないと考えられた企業。そのような企業でも多くの人が働き、また多くの関係者が存在する。全体最適を是とするインデックスファンド投資家もまた、もしかしたらそんな企業の一員かもしれない。企業とは我々生活者にモノ・サービスを提供する役割を果たし、我々生活者に給与を払ってくれる存在でもある。単なるマネーゲームの対象銘柄ではないのだ。

  • インデックスファンド投資の興隆により、企業の成長が阻まれる可能性も

波乱相場の先に経済悪化が見込まれるとするならば、我々生活者は消費スタイルを変えていかなければならないだろう。具体的には、生活に必要なモノ・サービスは多少のインフレにあっても購入するが、その分の節約が求められる。

節約の対象は嗜好品や贅沢品など生活に必須と思われないモノ・サービスとなろう。つまり生活者は今後、生きるためにシビアな選択をしていくこととなる。

そうであるならば、投資先企業もまた選択すべきものではないだろうか。長期上昇相場においてインデックスファンドは高効率なパフォーマンスを示すが、この先の経済・社会は「意志を持って選ぶ」アクティブファンドの時代となりそうだ。