オープンカーほど好みが分かれるクルマもないかもしれない。だけど、一度は乗ってみたい。または、所有できるならしてみたい。そう薄っすら考えている人も少なくないはずだ。その気持ち、わかります。実用性はともかく、ロマンが詰まっているもの。
ということで、今回は念願叶ってメルセデス・ベンツの新型「CLE53 カブリオレ」に試乗することに。先に結論。やっぱりトップ・オブ・トップの一角、メルセデスAMGのオープンカーはハンパじゃなかった!
一切の隙なし! 「CLE53 カブリオレ」を拝見
生憎の雨など物ともしない堂々たる存在感、ダイナミックなデザイン。レーシングスピリットを象徴する、縦に伸びたパナメリカーナグリル。力強さとエレガンスを兼ね備えた造形美は唯一無二だ。この圧倒的な威厳、生で見るとやっぱりめちゃくちゃカッコいい……!
メルセデス・ベンツ日本は2024年11月、「CLE カブリオレ」に高性能モデルの「メルセデスAMG CLE53 4MATIC+ カブリオレ(ISG)」を新たに追加した。価格は約1,400万円。なかなか……いや、かなりいいお値段である。
ボディサイズは全長4,855mm、全幅1,935mm、全高1,435mm。スポーティーなハイパフォーマンスモデルなので当然、SUVなどと比べて小ぶりだ。車幅はなかなか広めではあるが、規格外というほどでもない。普通に街乗りに適したサイズ感ではある……が、街で乗っていたら相当目立つことは確実。なにしろ、このデザインである。
死角なし。無駄もなし。どの角度から見てもカッコいい。メルセデスといえば高級車の代名詞だが、こうして間近でまじまじと見て、改めて思う。洗練の度合いが桁違いだ、と。 もちろん、インテリアもハンパじゃない。
スピーカーはメルセデス御用達の「ブルメスター」、時計はスイス製高級腕時計「IWC」のクロノグラフを内蔵。知れば知るほど思うが、本当に隙がない……。
当然ながら、トランクはお世辞にも大きいとは言い難い。
が、後部座席を倒すことでそれなりの空間は確保できる。もしかしたらスノーボードくらいの長物なら収納できるのかもしれないが、さすがにサーフィンは難しそうだ。キャンプもソロ、またはふたりくらいなら行けるだろうが、そもそもアウトドア・アクティビティを楽しむようなアグレッシブな人は、あくまで「嗜好品として乗るセカンドカー」くらいに割り切るべきなのだろう。
いざ、ルーフをオープン!
それではいよいよ、オープンカーをオープンカーたらしめてみよう。ルーフをオープン!
カッコいい……!! フルオープンまで20秒ほどか。なんかもう、さっきまでと全然シルエットが違うというか、「これだよこれ、これがオープンカーだよね」と改めて再確認した気分。もともとのクーペスタイルもカッコよかったけど、ルーフをオープンした状態の特別感は段違い。これぞロマン!
格納中の動きもめちゃくちゃカッコよかったなぁ。特に、この……
格納される直前、もっともルーフの打点が高くなるくだりからはかなりダイナミックで見とれてしまった。信号待ちのあいだとかに開けたら、めちゃくちゃ目立つだろうなぁ。
CLE53 カブリオレのルーフ開閉を動画で確認!
ちなみに、サイドウインドウまですべてフルオープンにすると、より一層オープンカーらしさが浮き彫りに。く~……たまらん。
外から眺めるインテリアがまた、めちゃくちゃカッコいいことこの上なし。運転席に座っているとき以上にキラキラ光って見える。シートもインパネ周りもこんなにカッコよかったっけ?
でも……そうか。オープンカーって、周りのクルマや歩行者からも中が丸見えになるから、インテリアもちゃんとカッコよくないとダメなんだ。先ほど、車内を見回しながら「隙がない」と感じたが、開発者からすれば「外側だけカッコよくて内側は平凡」などは許されない。誰がどの角度から見てもカッコいい。それが「CLE53 カブリオレ」に課せられた宿命なのだ。
……と、勝手に解釈してみた次第。でも多分そうなんじゃないかな~。
案ずるより産むが易し…オープンで走ってみた
その後、奇跡的に、そして一時的に雨があがり、ここぞとばかりにフルオープンで疾走! 実際に乗ってみるまでは、「風で髪がボサボサにならないかな」「車内の荷物が吹っ飛んでいかないかな」「一気に寒くなるんじゃないかな」などと心配をしていたのだが、フロントウィンドウがしっかりと風をブロックしてくれるうえに自動で暖房も稼働。ほぼ無風状態のまま常に適温で過ごすことができた。オープンカーって、オープンにしてもこんなに快適なんだ……!
しかも、シートヒーターも充実していて、シートそのものを温かくできるのはもちろん、なんと首元から温風まで出してくれる機能(エアスカーフ)も用意。これらを駆使すれば真冬でも快適にオープン状態を満喫できるだろう。細やかな配慮が行き届いてるなぁ。
サイドウインドウを下げてからはさすがに横風が入ってくるようになったが、考えてみれば、これも一般的なクルマと何ら変わらない現象である。むしろ、いよいよ開放感が増し、オープンカーの本当の気持ちよさを知った気がする。これはいい。これはシビれる。ものすごい高揚感だ。最高……!
走行モードも「ベーシック」「コンフォート」「スポーツ」「スポーツ+」「レース」などさまざま用意されていて、走行中も自由に切り替え可能となっている。
一般道では「ベーシック」や「コンフォート」で快適な走行を楽しませてもらったが、高速道路での「スポーツ」や「スポーツ+」はとにかくスゴかった! アクセルはキビキビとダイレクトに反応し、速度の調整も自由自在。いくらスピードを上げてもクルマの揺れは少なく、高い安定性が感じられた。
エンジン周りの性能には詳しくないが、普段乗っているクルマとは段違いのパワーや安定感が実感できたように思う。さすが“AMG”。何から何まで、すべてがハイレベルすぎる。
チャットGPTに「ロマンを絵にして表してみて」と頼んだら、そのまま「CLE53 カブリオレ」を描くのではないか。そんな冗談もあながち見当違いとも言えないほど、ロマンにあふれたこの一台。
もし、なにかの手違いで、趣味用のセカンドカーとして我が家に迎えられたら……それはぶっちゃけもう「人生のゴール」。そう言い切っても差し支えないほどの幸福に違いない。