オリエントスターはセイコーエプソンが展開する国産時計ブランドです。セイコーエプソンといえば、現在ではプリンター事業を連想する方がほとんどかもしれませんが、実は第二精工舎を前身とするれっきとした腕時計メーカーです。夜空をモチーフにさまざまなこだわりを詰め込んだ時計をリリースしており、世界中の時計ファンから支持されています。今回はそんなオリエントスターから、異色のダイアルを備えた自動巻時計をご紹介します。
ダイアルは無色透明?
ダイアルに施された特徴的なパターンは信州の「時の工房」で作られており、金型職人がひとつひとつ丁寧に手彫りした金型によって精巧に型打ちしています。
「RK-BX0003L」は色鮮やかで深みのあるブルーのダイアルが目を惹きます。ですが、「実はこのダイアルは無色透明なんだ」と言ったら、皆さんはどう思うでしょうか。
信じられない話ですが、この青は塗料で実現しているわけではありません。このブルーはセイコーエプソンが得意とする「光学多層膜」という技術を用いて、薄いクリアコートを何層にも重ね、青い光だけを反射するように調整することで実現した色合いです。このため、光にかざしながら見る角度を変えると、ブルーがまるで陽炎のように揺らめきます。
ケースはラグとケースの接合部にくびれがなく、スポーツウォッチのようなモダンな造形です。ベゼルにはポリッシュ、ケースの正面や側面をヘアラインで仕上げることにより、コントラストと表情に富んだ外観を演出しています。スポーティーな外観ながら、ケースサイズは40mm×12.9mmと日本人の腕になじみやすいサイズです。また、10気圧防水という実用的な防水性能を備えているため、日常生活の水回りにも安心して着用できます。
ブレスレットは手触り滑らか
ややエッジの立ったケースとは対照的に、ブレスレットは表面に丸みを持たせた造形のため、滑らかな手触りが特徴的です。
ブレスレットの駒は1駒につき2カ所が可動するHリンクなので、しなやかで腕なじみも良好です。
搭載するムーブメントはオリエントスターの中でも自動巻き最高峰のF8N64。セイコーエプソン独自の微細加工技術「MEMS」によって作られたガンギ車を搭載し、一日あたり-5秒~+15秒という高精度を誇ります。ゼンマイを一杯まで巻き上げれば、およそ60時間連続稼働し、残りの稼働時間は12時のインデックス下のパワーリザーブインジケーターで確認できます。双方向巻上げ機構にセイコー系列機特有の「マジックレバー」を搭載しているため、「ジリジリ」という独特の巻上げ音が特徴です。
RK-BX0003Lは各部の上質な造り込みに加えて、セイコーエプソンの微細加工技術の粋が集められており、本ブランドのフラッグシップにふさわしい1本に仕上がっています。お値段は36万3,000円と決して安価な時計ではありませんが……。