ボルボがフラッグシップSUV「XC90」の改良型を日本で発売した。ボルボといえば2030年までに電気自動車(バッテリーEV=電気自動車)専売メーカーになるとしていた目標を一部修正したことが記憶に新しいが、今回の新型XC90は新たな路線の行方を占う1台となりそうだ。
ボルボの電動車両は売れている?
ボルボ・カー・ジャパンは2月13日、フェイスリフトなどでマイナーチェンジしたフラッグシップSUV「XC90」を報道陣に公開した。
ボルボは2030年までに新車販売の全てをBEVにするとしていた目標を一部変更し、同年までに新車販売の90%以上をBEVとPHEV(プラグインハイブリッド車)とし、残りをMHEV(マイルドハイブリッド車)にするとしている。今回のXC90のパワートレインはPHEVとMHEVだ。つまりは、新たな目標へ向けてアピールする第1弾というわけである。
発表会に登壇したボルボ・カー・ジャパンの不動奈緒美社長は、「2024年のボルボのグローバルでの年間販売台数は過去最高の76万3,389台で、前年比8%アップとなりました」とセールスが好調であることを紹介。中でもBEVは前年比54%増で、販売台数に占める割合は23%になったという。ちなみにPHEVは16%増、割合は23%。両方を合わせると世界販売の46%がBEVおよびPHEVになった。日本ではBEVが16%、PHEVが14%という割合だった。
XC90の内外装をアップデート
2002年に初代が登場し、2015年には欧州、2016年には日本でも2代目がデビューしたXC90は安定したセールスを記録し続けていて、2025年中には世界累計で100万台を達成するといわれている。日本でも毎年1,000台前後が売れていて、10年近く経った現在でも落ち込みがないというから、その堅調ぶりがわかるというものだ。
今回お披露目されたのは、PHEVの「XC90 T8 AWD プラグインハイブリッド」(1,294万円)とMHEVの「XC90 プラスB5 AWD」(1,019万円)。MHEVには1,099万円の「ウルトラB5」もある。
エクステリアの最大の特徴は新しいデザインのフロントグリルだ。斜線が重なり合う新パターンのグラフィカルなもので、その両側のトールハンマーヘッドライトはマトリクスLEDを採用してスリム化している。フロントバンパーのエアインテークは横型から縦型に変更。ちょっとアグレッシブな表情になった。ボディカラーにはチョコレート色の「マルベリーレッド」を追加。大きなボディのXC90によく似合っている。
「スカンジナビアンデザインの粋を集めた」とするインテリアは、オレフォス製クリスタルシフトノブを変わらず採用するなど従来のイメージを踏襲する一方で、リサイクル素材の生地とウッドパネルの組み合わせより直線的なデザインになったダッシュボード、カップホルダーを追加したセンターコンソール、9インチから11.2インチへと大型化してピクセル密度を21%向上させるとともに、ナビの下にメディアや電話などよく使うアプリを表示するセンターディスプレイなど、最新モデルに負けないモダナイズがなされている。
シート表皮はファインナッパレザーに加えて、ボルボ独自のリサイクル素材とバイオ素材から作られたキルティング仕上げの「ノルディコ」と、100%リサイクルポリエステルで仕上げた「ネイビー・ヘリンボーンウィーブ・テキスタイル」という2種類のリサイクル素材からも選択可能だ。
新型XC90の性能は?
PHEVのT8モデルについては、最高出力233kW(317PS)/最大トルク400Nmを発生するパワートレインに変更なし。クルマと路面、ドライバーを1秒間に500回モニターするアクティブシャシーと連動するエアサスペンションを採用し、快適な乗り心地を提供するとともに、最適な車高を調節するという。EV走行距離は73kmで、モーターとエンジンを組み合わせた航続距離は900kmをうたっている。
一方、MHEVのT5モデルには、ミラーサイクル化により燃費効率を5.3%アップしたエンジンを新たに搭載。184kW(250PS)/360Nmのアウトプットを発揮する。両モデルとも遮音材を車体の一部に追加して、静粛性を向上させた。
XC90のブランドアンバサダーには、俳優だけでなくコーヒーの焙煎士としても著名な坂口憲二さんが就任するそうだ。