トヨタ車のチューニングやレース活動を展開するトムス(TOM'S)が東京・お台場に同社初となるショールーム「トムス 東京 ショールーム」(TOM‘S TOKYO SHOWROOM)を開設しました。店舗には80と90の新旧「スープラ」がそろい踏み! どんなカスタムを行った車両なのか、デザイン担当者に聞いてきました。
90スープラは豪華エアロパーツで攻めの姿勢
ショールームに展示された「90スープラ」はトムスが手掛けるコンプリートカーです。「スーパーGT」の「GT500クラス」参戦マシンを想起させるワイドボディ化が最大の特徴となっています。オーバーフェンダーを装着することで車幅を2mまで拡大したその姿は、まるでサーキットを疾走するGTカーであるかのような迫力を放っています。
各部にはドライカーボンパーツをふんだんに使っています。フロントスポイラーやサイドスポイラー、ディフューザーなど、空力性能を左右する外装パーツの大部分をカーボン化することで、軽量化を実現しているそうです。素材自体が持つレーシングカーの雰囲気が、見た目にも大きく貢献しています。
これらの形状にはトムス独自の開発思想を盛り込み、より先鋭的かつ洗練されたデザインに進化させているといいます。フロントフェンダーにつながるサイドのラインなどは、空気の流れを制御しながらも、視覚的にもインパクトを与える造形となっています。
排気系には専用マフラーを採用し、サウンドをアップ。見た目の迫力だけでなく、ドライビング体験そのものも高める工夫を凝らしています。リアに装着したトムス製ウイングが後方からの視線を強烈にひきつけます。
このコンプリートカーは市販車でありながら、GT500マシンのようなスパルタンなイメージを持たせることをテーマに開発したそうです。ワイドボディ化によって得られる迫力あるスタンスと走りに直結するエアロパーツの数々が融合した姿は、市販車とは思えないほどの存在感を誇ります。スープラ本来のポテンシャルをいかしつつ、トムスが持つレースフィールドでのノウハウが存分に注ぎ込まれた1台といえるでしょう。レースカーのテイストを日常でも楽しみたいというオーナーにとっては、まさに理想的な選択肢となっています。
旧車レストアで蘇った80スープラ
90スープラの先代モデルである「80スープラ」は非常に状態がよさそうでした。
こちらの80スープラはトムスの「レストア事業」によって再び輝きを取り戻した1台だそうです。
80スープラにはTRDの「3000GT」用エアロパーツを装着。経年で傷んだFRP(繊維強化プラスチック)部分を職人がパテ埋めしてライン調整を行い、美しいボディラインを取り戻しました。スープラの代名詞的エンジンである「2JZエンジン」もフルオーバーホールし、完全にリフレッシュ。80スープラが現役で活躍していた当時のパーツは少なくなっていく一方ですが、トムスのサポートがあることにより、ファンの方も80スープラに長く乗り続けられるというわけです。
クルマに「情熱」「感動」「ロマン」を! というのがトムスの掲げるブランドビジョンです。古いクルマだからこそ込められている想いや思い出を大切にし、最新の知見をもって再生するトムスのレストア事業は、単なる修理にとどまらず、「人生を変えるきっかけ作り」としての価値を備えているのではないでしょうか。
新旧2台のスープラに施されたチューニングは方向性こそ違いますが、どちらもトムスが目指す「情熱」「感動」「ロマン」が込められていると感じることができました。ぜひみなさんもトムスのショールームへ足を運んでみてはいかがでしょうか。