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4月の各銀行の判断に注目、住宅ローン金利は今後どうなる?

FEB. 21, 2025 10:03
Text : 石井僚一
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住宅ローン診断サービス「モゲチェック」を手掛ける株式会社MFS<196A>が、2025年6月期第2四半期決算を開示した。今後の住宅ローン金利の見通しについても、同社取締役CMOで住宅ローンアナリストの塩澤崇氏から説明があった。住宅ローン市場について、住宅ローンビジネスを手がける同社はどのように見ているのだろうか。同社の見方を紹介する。

  • ※画像はイメージ

1~1.5%に向けてゆるやかに上昇か、今後の政策金利の見通し

塩澤氏は今後の政策金利について「1~1.5%に向けてゆるやかに上昇するだろう」との見通しを示した。

日銀は1月に0.25%の利上げを行い、2月時点で政策金利は0.5%だ。「年内2度の利上げが予想される中で、次回の利上げで0.75%までの上昇は既定路線のため、次の利上げは7月頃ではないか」とのこと。

利上げ継続の要因及び条件としては以下2つの理由をあげた。

1点目は賃金上昇の継続だ。日銀は春闘での賃上げ状況を注視している。昨年に続き今年の春闘でも力強い賃上げが続くなら、日銀の利上げ継続方針は維持される見込みだ。

2点目は政府の利上げ容認姿勢だ。岸田政権まで政府は金融緩和を支持していたが、石破政権は利上げ容認スタンスであり、金融政策正常化に理解を示している。このため、日銀も政権の意向に縛られず金融政策が進められる状態にある。

利上げが行われない場合について

一方、利上げが行われず金融緩和が続く可能性も残されている、とも塩澤氏は指摘する。それには2つの理由があると言う。

1つ目はトランプ関税の不確実性だ。先日の日米首脳会談は成功を収めた形となったが、トランプ大統領は各国に関税を課す可能性がある。日本を標的とする形ではなくとも日本に関税が課され、その結果として国内経済に悪影響が生じれば今後の利上げは難しくなるだろう、とのこと。

2つ目は円高だ。2025年初は150円台後半にあったドル円は、2月に入り150~151円台で推移している。米国の金利が高止まりしており、今後もドル高が見込まれるものの、今後円高が進む場合はコストプッシュ型のインフレが弱まる可能性がある。その場合、賃金上昇をともなう物価上昇が進むか本格的に問われるため、利上げは行われず金融緩和が続くだろう、との見通しを示した。

変動金利は1.5%前後での推移を見込む、住宅ローン金利の見通しについて

住宅ローン金利は政策金利に大きな影響を受ける。政策金利が1~1.5%に向けゆるやかな上昇が見込まれる中で、塩澤氏は「変動型の住宅ローン金利は1.5%前後で推移するのではないか」と予想する。

住宅ローン金利を1.5%前後の推移とした理由として、塩澤氏は銀行間の競争激化をあげた。銀行間の住宅ローンを巡る競争について、2025年は昨年以上に激化している、との感触を塩澤氏は持っている。昨年10月に三菱UFJ銀行が利上げ後も金利を据え置いたことが、リアル銀行とネット銀行の住宅ローンを巡る競争激化を誘発した面がある、とのこと。原則的には政策金利の引き上げとともに住宅ローンの金利も上昇するが、銀行間の競争環境を踏まえると、利上げが行われても銀行は金利を一方的に上げられる状況にはないようだ。その意味では、次に金利を見直すタイミングとなる4月に、各銀行が金利をどのようにするか注目するべき、とのことだ。

変動金利が優位な2つの理由

今回、塩澤氏からは住宅ローンで変動金利が有利な理由について改めて解説がなされた。2つの理由があげられている。

1つ目は長期金利と短期金利が開いている(2月半ばの時点で約1.4%)ためだ。少なくとも政策金利が2%にならなければ、金利差に大きな変化は生じないと予想されている。固定金利の指標となる長期金利が変動金利の指標となる短期金利に比べ高い状態が続くと見込まれるため、金利差の面から当面変動金利有利な状態も続くと見込まれる。

2つ目は仮に長短金利差が縮小や逆転した場合でも、その状態が長期にわたり続くとは見通せない点だ。中長期的に生じる可能性のある長期金利と短期金利の逆転などは、一時的な現象に留まり、変動金利有利な状況が続く可能性は高いと塩澤氏は見ている。

金利上昇に備える2つの方法

当面、住宅ローンは変動金利有利な状況が続くと予想されるが、植田総裁体制の日銀は金融正常化に向け明確に舵を切っている点は見逃せない。このため金利上昇リスクに備える必要もある。金利上昇に備えるには、以下の2つの方法があると塩澤氏は言う。

1つ目は住宅ローンを借り過ぎないことだ。住宅ローンの返済は毎月発生する。住宅ローンは年収の5倍までとして、仮に生活を切り詰める場合でも年収の7倍までに抑えるべき、とのことだ。

2点目は資産運用の取り組みだ。日本もインフレが進んでおり、物価や株価が上昇しやすい環境にある。インフレにより金利も上昇が見込まれるが、長期かつ分散の資産運用でインフレを追い風に資産を増やす手段も検討すべき、とのことだ。

1月に日銀による利上げが行われたが、年初は3月まで住宅ローン申し込みの繁忙期に該当するため、各銀行が住宅ローン金利を上げるのは4月以降となる。住宅ローンを巡る銀行間の競争が激化する中で、4月に各銀行が住宅ローン金利についてどのような判断を行うか、その判断の行方が注目される。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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