6月に届く住民税の通知書を見て、税額が増えていることに驚く方もいるかもしれません。給与はそれほど変わらないのに、住民税が増えてしまうケースがあります。この記事では住民税通知書でチェックすべきポイント、税額が増えてしまうケースについて解説します。
住民税が増えてしまうケース
給与が増えなくても住民税がなぜか増えてしまう「落とし穴」となる要因を解説します。
住宅ローン控除の適用期間が終了した
住宅ローン控除は、住宅ローンを借りて住宅の新築や増改築をした場合に、一定の要件を満たすと所得税の減税を受けられる制度です。所得税だけで控除しきれない分がある場合、翌年の住民税も一部控除できます。
住宅ローン控除の適用期間は、新築・買取再販住宅が13年、既存住宅が10年です。この期間が終了すると控除が適用されなくなるため、所得税や住民税が高くなります。
配偶者控除・扶養控除から外れた
配偶者や扶養親族となる方は、年間の所得金額が48万円以下、給与のみの場合は給与収入が103万円以下であることが条件です。この条件を超えた収入を得ると、配偶者控除や扶養控除が適用されなくなるため、住民税が増えてしまいます。
配偶者や扶養している子どもが長時間働くようになると、控除から外れる可能性が高くなるため、注意しましょう。
ふるさと納税の申請をミスした
ふるさと納税を活用している方もいるでしょう。2,000円分の自己負担のみで、各地のお肉やお米など、地域の特産品を入手できるお得な制度です。ただし、ふるさと納税の申請でミスがあると、本来控除されるべき住民税が控除されなくなってしまいます。
会社員の方は、確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」を利用する方が多いと思います。しかし、ふるさと納税サイトで自動的に適用されるわけではないため、申請をしないといけません。
ワンストップ特例制度の申請期限は翌年の1月10日までであり、期限に間に合わないと住民税が不必要に高くなってしまうのです。
ふるさと納税の手続きでミスをしていた場合、「更生の請求」をしましょう。申告漏れから5年以内であれば、再度控除の申請を行えます。
具体的な手続き方法や流れに関しては、国税庁のホームページで確認できます。
住民税の通知書で見るべき3つのポイント
住民税通知書が届いたら、以下3つのポイントをチェックしましょう。
税額
年間で納付する住民税の額は、「税額」の欄に記載されています。「差引納付額」が最終的に納める税額であるため、高くなっていないかを確認しましょう。
また「納付額」の欄には、毎月の給料から天引きされる住民税の額が記載されています。
所得控除の欄
控除が適用されているかどうかは、所得控除の欄を見ると判断できます。具体的には以下のような項目です
- 配偶者控除
- 医療費控除
- 生命保険料控除
- 小規模企業共済控除
医療費控除や生命保険料控除は、年末調整などで申請した金額と一致しているかも確認しましょう。
摘要欄
所得控除の欄の下には「摘要」の欄があります。ふるさと納税を行った方は、ここを必ずチェックしましょう。
寄付した金額から2,000円を差し引いた額が記載されています。また、「税額」の税額所得控除額に、控除額が記載されているため、合わせて確認しましょう。
住民税を節税するにはiDeCoもおすすめ
住民税を節税する方法として、ふるさと納税以外にiDeCoもあります。NISAと同様、運用益が非課税になることから加入者が増加しています。
iDeCoの掛金は、小規模企業共済として所得控除されるため、所得税と住民税を軽減できる効果があります。2024年12月に発表された税制改正により、掛金の上限が今後増える予定のため、会社員の方もさらに利用しやすくなるでしょう。
iDeCoは60歳になるまで資金を引き出せないため、長期間使わなくても問題のない資金を投じるのが原則です。これから老後資金をしっかり貯めたい40代・50代以上の方は利用するのもよいでしょう。