米Microsoftがタブレット向けのWindows OSの提供を2012年秋までに行うことを計画していると、米Bloombergが3月3日(現地時間)に報じている。だが一方でライバルのGoogleやAppleは対抗となるタブレットOSの提供をすでに開始しており、2012年半ばまでには第2、第3の世代のOSとその対応デバイスが登場することになるとみられている。その結果、Microsoftが競争で周回遅れとなることについてアナリストが警告を行っている。

Bloombergでは、Microsoftは2012年の"Back-to-School"商戦時期(欧米における9月の新学期シーズン)にタブレット用OSをリリースする計画であるとの関係者の話を報じている。だがこれは、この時期までMicrosoftがタブレットに最適化されたOSをリリースしないという意味でもあり、今後1年半以上にわたってライバルのリードを許す結果となる。調査会社GartnerのアナリストMichael Gartenberg氏は「もし2011年がタブレット戦争の年だというのなら、Microsoftはたいへん遅れた状態で戦闘に参加するということになる。これはいい兆候ではない」とコメントしている。

なお、ここでは"タブレット向けWindows"と報じられているものは、実際には市場で「Windows 8」と呼ばれる次世代OSのことを指しているものとみられる。Windows 8では当初からx86以外にARMプロセッサのシステムでの動作を想定した作り込みが行われ、各種組み込み機器や小型/モバイルデバイスもターゲットとし、2012年の出荷が見込まれている。実際の提供にあたっては、タブレット向けとしてタッチパネルや低スペックマシン向けに調整されたシステム機構、ユーザーインターフェイスが搭載されるとみられる。Bloombergでは情報提供者のコメントとして、同OSのパートナーや顧客ユーザーとのパブリックテストは2011年末にも開始する予定で、半年以上のベータテスト期間を経て市場投入されることとなりそうだ。以前にも、流出したDellの製品ロードマップの中で同社が2012年第1四半期に「Peju」という開発コード名のWindows 8搭載タブレットの出荷を計画していると報じられたことがあるが、今回の報道が正しければそれよりいくぶん遅い時期の登場ということになる。

Microsoftにとってのマイナス材料としては、今後Windows 8が登場するまでの1年半あまりの期間で、主力の1つだったノートPC市場がタブレットに侵食される懸念があることだ。例えばGartnerは3日、当初2011年の世界のPC出荷台数の伸びを15.9%としていたものを、それより3割以上低い10.5%の成長率の3億8,780万台と下方修正している。その原因は中国での伸びの鈍化のほか、前述のようなタブレット市場の盛り上がりによるノートPC需要の低下にもあるとしており、影響は避けられないものとみられる。