米IDCは、今年第1四半期(1~3月期)における世界PC市場の最新調査レポート「Worldwide Quarterly PC Tracker」を発表した。同社が当初発表していた予測値を上回る、約1年ぶりの2桁成長で好調な市場拡大が見られている。

同レポートによれば、今年第1四半期の世界のPC出荷台数は約5,893万5,000台。前年同期の約5,314万9,000台と比較して、10.9%の増加を記録したという。当初は前年同期比8.5%増の伸びにとどまると見られていたものの、Windows Vistaの発売が好影響を及ぼしたほか、コンシューマ向け販売が順調に増加して、特にノートPCの売行きが非常に良く、予測を上回る成長率になったとされている。

今年第1四半期に、世界のPC出荷台数でトップシェアとなる19.1%を占めたメーカーはHP。前年同期比28.2%増となる約1,124万台のPC出荷台数を記録し、昨年半ばにDellを抜いて首位の座を奪って以来、その差を着実に広げることに成功している。今回の調査でも2位となったDellは、前年同期比6.9%減となる約898万5,000台のPC出荷台数に終わり、市場シェアも15.2%に後退したとされる。

地域別に見るならば、欧州・中東・アフリカのEMEA市場と、日本を除くアジア太平洋市場では、予測を上回る力強い伸びが見られ、米国市場でも前年同期比3.6%増のPC出荷台数となったようだ。しかしながら、今回の調査では唯一、日本市場のみが前年同期比ではマイナスとなるPC出荷台数にとどまり、昨年第4四半期(10~12月期)の減少率よりは改善しているものの、依然として厳しい状況が浮き彫りにされている。

今回の調査を率いたLoren Loverde氏は「今年第1四半期の米国および日本市場の成長は期待したほどではなかったものの、他の地域の高成長やWindows Vistaの特需などの要素が好影響を及ぼし、久々の2桁成長が記録された。この傾向は今後も続くと予測され、ノートPC販売の好調や海外市場の拡大に牽引されて、今後2年間は2桁成長が維持されると見ている」とコメントした。

なお、米Gartnerも、今年第1四半期の世界PC市場を調査した「PC Quarterly Statistics Worldwide by Region」レポートを発表しており、今年第1四半期中の世界のPC出荷台数は、前年同期比8.9%増となる約6,271万9,000台との速報値を明らかにしている。同レポートでは、日本のPC出荷台数について、今年第1四半期に400万台を超えたものの、前年同期と比較すると6.8%減少しており、それほどノートPC販売も伸びなかったと伝えている。

2007年第1四半期の世界のPC出荷台数(単位は千台)

ベンダー名 出荷台数 シェア 前年同期比
HP 11,240 19.1% 28.2%
Dell 8,985 15.2% -6.9%
Lenovo 3,969 6.7% 17.4%
Acer 3,969 6.7% 41.4%
Toshiba 2,555 4.3% 12.8%
その他 28,217 47.9% 7.4%
全ベンダー合計 58,935 100% 10.9%