ここ数年、モニタの多様性が一段と増している。高精細や高応答性、色再現性の精度など、それぞれの特色を伸長させた製品がよく目に付くようになった。液晶モニタはいろいろと制約が多いので、用途が明確ならば特化したモニタを求めるのは必然といえる。こうした細分化は技術と市場の熟成と見るべきだろう。
とはいえ、PCという汎用性に富む機器と人との情報伝達を媒介する役目上、大方の層が求めるのは、やはり汎用性の高いモニタだ。汎用型モニタの魅力は、幅広い用途で大きな不満なく使用できるバランスの良さと、特化型の製品よりも抑えられた価格の2点だろう。また、前者にかかわることだが、アスペクト比も昨今では重要となる。映像コンテンツは元より、アプリケーションやゲームなどもワイド型の表示エリアを意識したものが増えているため、24型ワイド辺りが無難な選択となる。
そこで今回は、24インチのディスプレイ市場で出荷量1位(ベンキュー調べ)を誇るベンキューのラインアップの中から、エントリーモデルの「GL2460HM」を紹介したい。GL2460HMは前述した汎用型モニタの要件に加えて、HDMI端子を装備しており、PC以外の機器も接続したいというニーズにも対応できる。
[液晶パネル] TN方式 [バックライト] LED [画面サイズ] 24型ワイド [表示解像度] 最大1,920×1,080ドット(フルHD) [視野角] 左右170度、上下160度 [輝度] 250cd/平方メートル [コントラスト比] 1,000:1(DCR最大1,200万:1) [応答速度] 5ms(GTG 2ms) [表示色] フルカラー約1,677万色 [映像入力インタフェース] DVI-D×1、HDMI×1、ミニD-sub15ピン×1 [スピーカー] 1W×2 [スタンド機能] チルト:下5度/上20度 [VESAマウント] 100×100mm [本体サイズ/重量] W565.36×D193.82×H433.95mm/約4.3kg [価格] 実勢価格 24,800円前後(税別)
目に優しいフリッカーフリーLEDを搭載
まずは液晶パネルだが、24型のTN液晶パネルを搭載している。TN方式のため視野角はやや狭いが(左右170度、上下160度)、正対して見る限りではコントラスト低下もなく、色かぶりもない。表示域の全面で安定した表示ができている。輝度は公称250cd/平方メートルで、オフィスで使用する場合も不満はない。OSDの調整幅はやや狭めなので、一般家庭の照明下で用いる場合には思い切り絞り込んだくらいで調度よい。コントラスト比は1,000:1。素の状態でも映像鑑賞に十分に耐えるが、DCR機能(ダイナミックコントラスト比)を用いることで1,200万:1のメリハリある映像を堪能できる。また、応答速度についても、高速応答技術「AMA」によって中間調2msの高速応答性を実現している。
バックライトはLEDを採用しているが、このLEDバックライトも本機の特色の1つであり、ベンキューモニタでおなじみのフリッカーフリー技術を投入している。フリッカーとは画面のチラつきを指す。画面がチラつけば目に負担がかかり、長時間使用していれば、眼精疲労などを引き起こすことにもなりかねない。さらに症状が進めば、視力の低下や頭痛などを招いてしまうことも。昨今はビジネス、プライベートの隔てなく、液晶ディスプレイを眺める時間が増えたこともあって、こうした症状を訴える人が増えている。必然的にアイケアへの欲求が高まっているが、こうしたユーザーの声に応えるためにベンキューモニタの多くは、原理上明滅が生じないフリッカーフリーバックライトを搭載しているわけだ。
液晶モニタでフリッカーが起きる原因の多くは、明るさを調整するための機構にある。通常のモニタは、明るさを調整するためにパルス幅変調という調光方式を採用している。この方式ではバックライトを明滅し、その点灯時間を増減することによって、人が感じる明るさの度合いを調整している。この光の明滅が目に負担をかけてしまう。このため、ベンキューのフリッカーフリーバックライトでは明るさを明滅によって調整するのではなく、バックライトへの電流値を変化させることで調整する、DC調光方式を採用している。原理上、フリッカーが発生することはなく、目への負担は軽減できる。
なぜ世のモニタの多くがDC調光方式を採用していないのかといえば、どうしてもコストが跳ね上がってしまうためだ。パルス幅変調の調光方式は古くからの技術であり、設計、製造が安価に行えるが、対するDC調光方式は技術の歴史が浅いため、制御は困難だし、余分な回路が必要になるため製造コストもかかってしまうのだ。ところが、GL2460HMは低価格帯の製品でありながらも、コストのかかるDC調光方式をあえて採用している。これは長時間モニタを使用する人、特に時間の調整がしにくいオフィスユース層にはうれしい配慮だ。エントリークラスの製品はオフィスへの一括購入の候補になりやすいが、フリッカーへの対策がしっかりと成された本機は、候補の1つとして押さえておくべきだろう。