老舗PCショップであるTSUKUMOのプライベートPCブランド「eX.computer」には、ゲームユーザーが選択するNVIDIA GeForceモデルのほかに、NVIDIA Quadro搭載モデルが存在している。このNVIDIA Quadroモデルは、プロフェッショナルアプリケーションを使用するために最適な専用シリーズだ。ゲーミングPCとの最大の違いは、モデル名通りグラフィックボードにNVIDIA Quadroシリーズを搭載していることにある。プロやセミプロのクリエイターにQuadroが推奨されるのはなぜなのか、確認してみよう。

QuadroとGeForceは何が違うのか?

QuadroとGeForceの大きな違いは、対応しているAPIが異なる点だ。APIとは簡単にいうと、アプリケーションなどがOSやほかのアプリケーションの機能を利用できるように定められたルールのこと。例えば、同じAPIに対応したアプリケーションなら、共通のソースを利用して簡単にプログラムが作成できる。GeForceは、「DirectX」(正確にはその一部のDirect3D)というAPIに対応している。これは、Windows上でゲームを動かすために最適化されたAPIだ。それに対しQuadroは、「OpenGL」というAPIに対応している。こちらは、CADや3D CG/アニメーションといったコンピューターグラフィックス制作に最適化されたAPIとなる。

NVIDIA QuadroとGeForceのロゴ。グラフィックボードのパッケージや本体に刻印される

説明が長くなってしまったが、一言でいうとGeForceシリーズはWindowsでPCゲームを高速動作させるためのグラフィックボード、Quadroシリーズはデジタルコンテンツクリエーションなどのプロフェッショナルアプリケーションを高速動作させるためのグラフィックボードということだ。文字通りプロ&セミプロや、それを目指すエントリーユーザーに必要とされるグラフィックボードのため、ゲームユーザーはQuadroを選択する意味はあまりないので注意しよう。

NVIDIA Quadroで活きるアプリケーション

NVIDIA Quadroシリーズを使うことで高速な動作が期待できるアプリケーションは、OpenGLに対応したプロフェッショナル向けのグラフィック制作ソフトだ。ソフトによっては、GeForceと比べて数倍のパフォーマンスを見せてくれる。土木、建築、工業デザインで使用される「AutoCAD」や、ハイエンド向け3D CG制作ソフト「3ds Max」、「Maya」などがその代表といえるだろう。勤務先でこれらのソフトを使用しているなら、Quadroを搭載したワークステーションを実際に利用している方も少なくないはずだ。また個人でも導入しやすい3D CG作成ソフトである「LightWave 3D」や「Shade」でも、Quadroの性能を活かすことが可能。さらには「Adobe CS」の画像/映像編集ソフト「Photoshop」や「Premire Pro」、「AfterEffects」などにおいても、恩恵を得ることができる。そのほかのソフトでも、OpenGLに対応していればQuadroの性能を活かすことができるだろう。法人だけでなく、個人のクリエイターも導入する意義が大きいのだ。

左はプロカメラマンやデザイナー御用達の「Adobe CS6」のパッケージイメージ。右はエントリーからプロまで愛用される3D CG作成ソフト「Shade 13 Standard」