東芝のデジタル商品の商品企画はユニークだ。ネットワーク経由で豊かな視聴環境を創り出すさまざまな仕掛けが次々に登場している。特にユニークなのは録りだめたコンテンツを徹底的に楽しんでもらおうと独自開発したスマートフォン用アプリ群。今回はそのアプリケーション開発の立役者であり、レコーダーRD-Styleの創始者である片岡秀夫氏に、スマートフォンアプリ開発の背景とこれから起こるイノベーションを語っていただいた。
なお、詳細は2011年7月29日に開催される『マイコミ スマートフォンアワード2011』における片岡氏の講演「テレビ+スマートフォンApps=?」で解説される予定である。無料で参加できるので、併せてご聴講いただきたい。
次々と投下される、東芝オリジナルアプリ群
――「RZ声優リモ」のAndroid版が6月10日に、iOS版が6月28日に配信開始になりましたね。TVリモコンの代わりになるアプリで、ボタンを押すと人気の声優さん6人のボイスが再生されるという楽しい内容ですね。ダウンロードするだけで、すぐに声優さんの声が楽しめると、すごい評判になってますが、東芝のテレビを持っていない人に盛り上られても困るってことはないんですか?
おかげさまで、たくさんの人に「爆発的に」ダウンロードしていただけて、喜んでいます。確かに高い開発費をかけて、東芝製品のユーザーではない人にも喜ばれていては「お前何やってんだ」と言われそうですが(笑)、私たちはちょっと逆の発想もしています。実際、6人の声優さんに300種類以上のセリフをしゃべってもらって、ボタンをめったやたらにタップするだけで楽しいのですが、やはり、本来の機能を引き出すには東芝の製品が必要になります。アプリで声を堪能していただいたあとは、次はレグザ……東芝の製品を買うか、と思っていただけるのではないかと。なお、「RZ声優リモ」は9月10日までの限定配信ですからお早めにダウンロードをしていただければと思います。
――それにしても、ずいぶんたくさんのアプリをスマートフォン向けに出されてますよね。「RZアートリモコン」(Android)、「RZタグラー」(Android/iOS/Win/Mac)、「RZコマンダー」(iOS)。そして今回の「RZ声優リモ」(Android/iOS)、「RZ見るナビ」(Android/iOS)のリリースと、すごいことになっています。Android/iOSの両対応はもちろん、「RZタグラー」ではWindows/Mac版の両対応もされてますし。
東芝はテレビ、録画機などAV機器にネットワークを付加することで、テレビ視聴におけるイノベーションを起こそうと積極的に商品開発を行ってきました。しかし、テレビとネットワークがただつながった、一緒になったというだけでは、ユーザー体験はレベルアップしません。そこに、より使いやすいユーザーインタフェースを取込み「誰にでも見たい場面をすぐに呼び出せる」「大事なシーンはシアタールームのHDDレコーダーに貯めておく」といったことが楽に操作できなければ、本当の「テレビとネットワークの融合」とは言えません。そこで、私たちは「レグザAppコネクト」というコンセプトの元、レグザをもっと楽しんでもらえる仕組みを創ろうとしているわけです。
スマホアプリだからこそできるアドバンテージ
――テレビもHDDレコーダーにもリモコンがあります。なぜリモコン的なアプリを矢継ぎ早に出しているのでしょうか?
スマートフォン用リモコンアプリの特徴は、ボタンや表示リストなどがタッチパネル上に表示でき、デザイナーの感性でいくらでも自由に、分かりやすくアレンジすることができます。ボタンを大きなものにカスタマイズすれば、高齢者や視力の悪い方にも使いやすいものに仕上げることができるでしょう。お遊び的な要素を加味することもできますね。その実例が「RZアートリモコン」です。そのほかに、アプリ版リモコンならではの特徴として、障害物があっても問題ないというところがあります。赤外線を使わず、ネットワークを使って接続しているためです。「RZタグラー」や「RZコマンダー」などのアプリを使う時、スマートフォンをテレビの方向に向けて使っている人を見かけますが、その必要ないんですよ(笑)。「RZ見るナビ」などなら、別の部屋の機器をコントロールして、目の前のテレビに映し出すといったことが、自在にできます。スマートフォンアプリだからこそできるアドバンテージですね。
――録画した番組の「ここが面白い」「ここは絶対注目!」といった情報をユーザー同士で共有する仕組みも片岡さんの思い入れたっぷりなプロジェクトです。他社にはないユニークな取り組みですね。
「RZ声優リモ」「RZタグラー」「RZコマンダー」には、クラウド上のサーバーにアップロードされた録画番組の頭出し情報を作成する「タグ」付けの機能、共有の機能、そしてその情報で一発再生する「タグ」機能が入っています。同じ番組を見た人同士で、「ここが面白い」というメタ情報を共有できますが、この機能のおかげで「東芝って面白い仕掛けをするメーカーだよね」と思ってもらえるのではないかと期待しています。実際、この機能をお使いいただけると分かるのですが、デジタルコンテンツにとても奥深い楽しみが生まれます。しかもタグ付け作業はユーザーさんにお任せしている。広くユーザーさんに参加できる土壌、それがアプリなのですが、それを提供することで、ユーザーさんのさまざまな感性がタグリストとして集大成される。メーカーがデータ提供も口出しもしていないところが、こうしたソーシャルネットワークの醸成に寄与すると思っています。
――これらアプリ群の役割は、そんな壮大な計画の一環だったんですか?
アプリを出す本当の狙いは、他にもまだたくさんあります。このあたりのお話が『マイコミ スマートフォンアワード2011』にて、できればと。
(聞き手・林 伸夫)
ユーザーが必要としているものが何なのかを徹底して考え抜き、絶大な支持を受けてきた片岡氏。そんな彼がアプリで実現しようとしているのは何なのか、その答えは、『マイコミ スマートフォンアワード2011』における片岡氏の講演「テレビ+スマートフォンApps=?」で明かされる予定だ。ぜひ以下、イベントページより事前参加お申し込みをいただければと思う。
(マイコミジャーナル広告企画)