飽和状態のPCディスプレイ市場に一石を投じる

──サムスンとして、今後の日本市場をどのように捉えていますか?

文氏:PC用の液晶ディスプレイに関して、日本の市場は完全に成熟期に入っており、このままでは大きな伸びは期待できないでしょう。PC自体、ノート型のシェアが増えていますし、デスクトップも一体型が大勢を占めています。液晶ディスプレイを販売している企業としてはあまり良い要素はないのです。
そのような不利な状況ですが、以前から取り組んでいるLEDバックライトを搭載したモデルには期待を寄せています。液晶テレビの分野ではいち早く普及していますし、PC用のディスプレイにもこの流れが出始めています。
LEDをバックライトユニットとして使う良い部分として「省エネ性に優れている」という点があります。省エネや環境に関心の高いヨーロッパではすでに主流になりつつあり、日本でも省エネに対する関心の高まりから、いずれは蛍光管にかわりLEDバックライト搭載モデルが主流になると思われます。
海外メーカーを中心にして、積極的に取り組むことで、変化の流れができつつあるところですから、日本においても早期に実現したいですね。

日本サムスン 文聡東氏

──現時点のラインアップを見ても、LEDバックライトを採用した製品が目立ちますね。LEDバックライトにもデメリットがあると思いますが…。

文氏:明るくて眩しすぎるのではという声もございます。特にテキスト制作や入力操作が多い法人系のお客様には、LEDバックライトユニットの高い輝度とハイコントラストが、目に良くないのではないかという話もあります。サムスンとしては、ソフトウェアによって輝度をコントロールする方法を提案させていただいてます。その機能を使えば、さらに消費電力も抑えられるので、非常に高い省エネ効果も期待できます。

──輝度調整機能が備わっているのは良いですね。一般家庭でもエンターテインメント系のコンテンツを楽しむ場合と、テキスト制作や入力操作時の使い分けができますよね。

文氏:PC用の液晶ディスプレイの市場は、先ほども触れたように、PC用の液晶ディスプレイの市場では、今後の伸びはあまり期待できません。サムスンとしては、PCとしての使い方だけではなくて、いわゆるテレビの代わりであったり、ゲーム用としても楽しめるようなディスプレイといったような使い方も提案していきたいと思います。
また、PC用として使う場合でも、マルチディスプレイとして2台目、3台目を購入したくなるような価値提案もしていきたいところです。我々は大型液晶の技術を利用して3面/6面マルチディスプレイ製品を開発しましたが、引き続き、そういったPCモニタとしての使用以外の用途が提案できる製品を作りたいと思っています。

サムスンの6画面液晶ディスプレイ「MD230x6」(関連記事はこちらから

──マルチディスプレイというお話が出ましたが、PC用の液晶ディスプレイ自体、大型化が進んでいると思います。市場ではどれくらいのサイズが多くなるのでしょうか?

文氏:テレビなどでもそうですが、以前は15型でも不自由を感じていなかったですよね。ところが、現在は32型ワイド液晶のテレビが当たり前になっています。PC用の液晶ディスプレイも同じことで、15型、17型のスクエアブラウン管のタイプだったのが、いまは20、21.5インチのワイド液晶ディスプレイが普通に使われています。この流れを見る限り、来年は23、24インチワイド液晶ディスプレイまでが一般的になると予想します。

──23、24インチワイドはかなり迫力がありますが、すぐに慣れてしまいますね。

文氏:そうなんです。実際に使ってみると、それほど大きくなくて、23、24インチワイド液晶ディスプレイだとExcelを2つのウィンドウで同時に表示したりできますから、便利なだけで特に違和感はないんですよね。また、そうした大きな画面の便利さを味わってしまうと、人間は元には戻れないものなのです(笑)。

──というと、もっと大型化する可能性もあるということですか?

文氏:それもあると思いますが、そこで気付いてもらいたいのがマルチディスプレイなのです。24インチワイド液晶ディスプレイを2台、3台とつなげれば、かなりの広さになりますからね。

「LEDバックライトユニットの普及、画面の大型化とマルチ化は今後も進む」と語る文氏

──サムスンのPC用液晶ディスプレイはデザイン性が高いように感じますが、これも価値提案の一環ですか?

文氏:私たちの製品が世界に受け入れられた要因のひとつに「デザイン性」があるのは間違いありません。サムスンがデザインに大きく力を入れている証に、抱えているデザイナーの数が、同業種のベンダーと比べてもかなり多いことが挙げられます。
しかし、「ちょっと格好いい」ぐらいではユーザーのみなさまには響かなくなっているので、来年はかなり斬新なデザインのモニタをラインアップする予定です。PCのディスプレイとして使うだけではなく、リビングにも似合い、インテリアの一環として使ってもらえるような、新しい感覚のディスプレイ、そんな製品になりそうです。このほか、今までとは違ったコンセプトの商品を含め、幅広く導入していく予定です。

透明なパーツを使い"浮遊感"を演出する「クリスタルフローティングデザイン」を採用した「PX2370」(関連記事はこちらから

──それは楽しみですね! 次々と新しい製品を提示され、私たちに新しい液晶ディスプレイの価値を気付かせてもらえるのはうれしい限りです。今後も「サムスンらしい」製品や取り組みは増えていくのでしょうか?

宮田氏:日本サムスンという企業は、日本のメーカーさん向けのビジネスも大きな柱になっています。液晶ディスプレイだけでなく、液晶モジュールなどを含め、PC、テレビなど幅広くベンダーへ販売させていただいています。
サムスンの日本市場での役割を考えると、日本メーカーと同じようなものを安く売るというのでは、まったく意味がないですし、市場での存在意義もなくなってしまうでしょう。そのような立場にいる中で、私たちとしては日本のメーカーには提案できないようなもの、提供できないようなものを、サムスンがいかに提供できるかという部分が重要なのです。
例えば、サイネージの分野では日本メーカーとは差別化できていると思います。一般商品に関しても今後はそういった動きが加速されるかと思います。これまで、液晶ディスプレイ事業は、液晶パネルの新しい技術や大型化、高解像化、ワイド化といった潮流に沿って進化を続けてきました。しかし、今後はいままでのようなテクノロジーの発展が牽引する形での市場の活性化は期待できません。
しかし、そこはサムスンとしても知恵の見せ所で、我々の取り組みによって、飽和状態の市場を活性化できるような製品を開発することが使命だと考えています。実際に中核企業のサムスン電子を中心に、その活動は始まっています。来年以降、大いに楽しみにしていてほしいですね。

「液晶ディスプレイ市場をリードし、活性化するのが使命」と語る両氏。今後のサムスンの動向に注目したい

──来年はサムスンの存在意義がますます大きくなる年になりそうですね。最後に読者やユーザーのみなさまへ向けてコメントをいただけますか?

文氏:積極的に面白い商品を投入していきますので、これからもサムスンに期待していただきたいと思います。まだまだ、私たちの製品を知る機会がない方も大勢いらっしゃいますので、露出の機会をもっと増やしていきたいと思います。店頭などで見かけたら、ぜひ触れてみてください。

宮田氏:サムスンは、サムスンならではの価値を提供していくのがミッションだと思っていますから、今後も目標に見合うような活動を続けていきます。今後、実現へ向けた取り組みは加速していきますので、期待していただきたいです。

──貴重なお話をありがとうございました!

インタビューを終えた両氏。サムスンは今後も魅力的な製品を届けてくれるはずだ

(マイコミジャーナル広告企画)

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