こんにちは、阿久津です。Windows OSには、以前から不要ファイルを削除する「ディスククリーンアップ」機能が備わっており、アプリケーションをインストールする際に残される一時ファイルや、システムエラーが発生したときに生成されるダンプファイルを削除することが可能です。いまさら言うまでもなく不要ファイルの削除は、コンピュータとつきあう上で欠かせない作業。パソコン雑誌やWebサイトでも、削除ポイントを紹介する記事をご覧になる機会は多いと思います。それだけ重要な作業であることをご理解頂けるでしょう。

Windows Vistaのディスククリーンアップでは、「ダウンロードされたプログラムファイル」「オフラインWebページ」など10数種類にわたる削除項目が用意されており、本来なら各フォルダを開いて削除しなければならない作業も、ひとまとめに削除できます(図1~3)。

図1: 「ディスククリーンアップ」を起動するには、ドライブのプロパティダイアログを開き、<全般>タブにある<ディスクのクリーンアップ>ボタンをクリックします

図2: 「ディスククリーンアップ」はコマンドラインからも起動できます。「ファイル名を指定して実行」などから「cleanmngr」を実行しますと、ドライブ選択ダイアログが起動しますので、ドロップダウンリストからクリーンアップを実行するドライブ選択して<OK>ボタンをクリックしましょう

図3: 「cleanmngr /d c:」とオプション「/d」にドライブ文字をつければ、ドライブを指定して起動することもできます

コマンドラインからの起動では、ドライブの指定や自動実行も可能です。ディスククリーンアップ実行時には、削除項目のチェックボックスで取捨選択を行ないますが、この設定状態はオプション「/sageset {数字}」で保存可能。実行時はオプション「/sagerun {数字}」を付ければ、先の取捨選択を選ばず、自動実行が可能になります。また、「数字」は0から65535までの任意の数字を指定してください。

このように改めて見直すと利便性の高いディスククリーンアップですが、ユーザーによっては削除対象に加えたくない項目もあるのではないでしょうか。たとえば「縮小表示」はサムネイル機能を多用するため削除したくないといった場合、ディスククリーンアップのチェックで起動が遅くなるのは好ましくありません。そこで、ディスククリーンアップの項目を除外するチューニングを行なってみましょう。ここでは「縮小表示」を例に手順を紹介します。

ディスククリーンアップの項目を削除する

まず、クイック検索やファイル名を指定して実行などから「regedit」を実行してレジストリエディタを起動し、HKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Explorer \ VolumeCachesまでキーをたどって開きます。次に「Thumbnail Cache」キーを選択した状態で、<ファイル>メニューから<エクスポート>を選択してください。ダイアログが表示されたら任意のファイル名を付けて<保存>ボタンをクリックします。これでレジストリキーのバックアップが完了しました。今度は同キーを選択して右クリックし、メニューから<削除>を選択しましょう。確認をうながすダイアログが表示されたら<はい>ボタンをクリックします。最後に[F5]キーを押して変更内容をシステムに反映させてから、レジストリエディタを終了してください。これで設定完了です(図4~7)。

図4: 「ファイル名を指定して実行」や「クイック検索」のテキストボックスに「regedit」と入力して[Enter]キーを押します

図5: HKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Explorer \ VolumeCachesまでキーをたどって開き、「Thumbnail Cache」キーを選択した状態で、<ファイル>メニューから<エクスポート>を選択します

図6: ダイアログが表示されたら、任意のファイル名(ここではキー名)を入力して、<保存>ボタンをクリックします。これでキーをファイルにバックアップしました

図7: 「Thumbnail Cache」キーを右クリックし、メニューから<削除>を選択。確認をうながすダイアログが表示されたら<はい>ボタンをクリックします。その後[F5]キーを押して変更内容をシステムに反映させてから、レジストリエディタを終了させます

チューニング後にディスククリーンアップを起動しますと、先ほどまで列挙されていた「縮小画面」が表示されなくなりました。このように不要と思われる項目がある場合は、バックアップをとってからキーを削除することで項目を整理することが可能です。また、対象となるキーや、その項目が対象としている削除ファイルをまとめましたので参考にしてください。ちなみに元の状態に戻すには先ほどエクスポート(バックアップ)したレジストリファイルをダブルクリックでシステムに取り込み、再ログオンします(図8、表1)。

図8: チューニング後にディスククリーンアップを実行しますと、「一時ファイル」の次にあったはずの「縮小表示」が列挙されなくなりました

■表1: VolumeCachesの各サブキー
キー名 内容 削除対象となるファイル/フォルダ
Active Setup Temp Folders セットアップ一時ファイル \ Windows \ msdownld.tmp \ *.tmp、\ msdownld.tmp \ *.tmp
Content Indexer Cleaner コンテンツインデックス \ Catalog.wci \ *.*
Downloaded Program Files ダウンロードされたプログラムファイル \ Windows \ Downloaded Program Files
Hibernation File ハイバネーションファイル \ hiberfil.sys
Internet Cache Files インターネット一時ファイル %LOCALAPPDATA% \ Microsoft \ Windows \ Temporary Internet Files \ *.*
Memory Dump Files デバッグダンプファイル \ Windows \ Minidump \ *.dmp
Microsoft Office Temp Files オフィス用一時ファイル
Offline Pages Files オフラインWebページファイル \ Windows \ Offline Web Pages \ *.*
Old ChkDsk Files 古いディスクチェックファイル \ Windows \ FOUND.000(~009) \ *.chk
Previous Installations 以前のインストールファイル
Recycle Bin ごみ箱 \ $Recycle.Bin \ *.*
Setup Log Files セットアップログファイル setup*.log、setup*.old、setuplog.txt、winnt32.log
System error memory dump files システムエラーのメモリダンプファイル \ Windows \ *.dmp
System error minidump files システムエラーのメモリミニダンプファイル \ Windows \ Minidump \ *.dmp
Temporary Files 一時ファイル %LOCALAPPDATA% \ Temp \ *.*
Temporary Setup Files セットアップ一時ファイル \ $Windows.~BT、\ $Windows.~LS
Temporary Sync Files 同期用一時ファイル
Thumbnail Cache 縮小表示 %LOCALAPPDATA% \ Microsoft \ Windows \ Explorer \ *.db
Upgrade Discarded Files アップグレード一時ファイル \ $WINDOWS.~Q、\ $INPLACE.~TR
Windows Error Reporting Archive Files ユーザーによってアーカイブされたWindowsエラー報告ファイル %LOCALAPPDATA% \ Microsoft \ Windows \ WER \ ReportArchive \ *.*
Windows Error Reporting Queue Files ユーザーによってキューされたWindowsエラー報告ファイル %LOCALAPPDATA% \ Microsoft \ Windows \ WER \ ReportQueue\*.*
Windows Error Reporting System Archive Files システムによってアーカイブされたWindowsエラー報告ファイル ProgramData \ Microsoft \ Windows \ WER \ ReportArchive \ *.*
Windows Error Reporting System Queue Files システムによってキューされたWindows エラー報告ファイル \ ProgramData \ Microsoft \ Windows \ WER \ ReportQueue \ *.*

今度は独自のクリーンアップ項目を追加してみましょう。ここでは例としてCドライブのルートフォルダにある「tmp」フォルダの内容をクリーニングします。まずは以下のチューニング手順をお試しください。

ディスククリーンアップの項目を追加する

同じくVolumeCachesキー上で作業を行ないますが、手順が煩雑となるためレジストリファイルを用意して設定します。下の囲みのリンク先にある内容をメモ帳などにコピーし、拡張子「.reg」を付け、Unicode形式でファイルを保存してください。このファイルをダブルクリックでシステムに取り込み、VolumeCachesキー下にTemp Filesキーが作成されていればOKです。[F5]キーで変更内容をシステムに反映させてから、レジストリエディタを終了しましょう(図9~11)。

図9: 下記の囲みのリンク先にある内容をメモ帳などにコピーし、拡張子「.reg」を付け、Unicode形式で保存してください

Windows Registry Editor Version 5.00.txt

図10: 先ほど作成したレジストリファイルをダブルクリックし、<はい>→<OK>とボタンをクリックして、レジストリファイルの内容をシステムに取り込みましょう

図11: レジストリエディタを起動し、HKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ explorer \ VolumeCaches \ Temp Filesまでキーをたどって開き、正しく取り込まれているか確認しましょう。問題がなければ[F5]キーを押してから、レジストリエディタを終了します

図12: ディスククリーンアップを起動しますと、一覧にREG_SZ「Display」で設定した項目が加わり、対象となるフォルダ内のファイルを削除できるようになります

チューニング後にディスククリーンアップを起動しますと、「\ tmp \ .」という項目があらわれます。他の項目と同じようにチェックを入れてからクリーニングを実行すれば、「C: \ Tmp」フォルダ内のファイルが削除されるようになります。もし、表示されない場合は「C: \ Tmp」フォルダが存在するか確認してください。

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus)