こんにちは、阿久津です。Windows 7ではスリープやスタンバイ(休止状態)など様々な電源状態を用意することで、省電力化や復帰スピードの向上を図ってきました。使用するコンピューターが一台だけの場合、必要なときに復帰させれば、メディアコンテンツをそのまま楽しむことができます。しかし、別のコンピューターにコンテンツを保存している場合、該当するコンピューターが稼働中でなくてはなりません。

各コンピューターが稼働中であれば、Windows Media Player 12のメディア共有機能を使うことで、同ライブラリに登録されているメディアコンテンツを手元のコンピューターで再生することが可能です。初期状態では同ライブラリへのアクセスは禁止されていますので、メディアストリーミングオプションから許可設定を与えてください。なお、本作業が面倒な場合は、<ストリーム>メニューの<デバイスでのメディア再生を自動的に許可>を有効にします(図01~04)。

図01: クライアント側となるコンピューターでWindows Media Player 12を起動。LAN内にあるメディアサーバー役のコンピューターが列挙されますが、アクセスはできません

図02: こちらはメディアサーバー役のコンピューターで起動したWindows Media Player 12。<ストーリム>→<その他のストリーミングオプション>とクリックします

図03: クライアント側となるコンピューターのドロップダウンリストを開き、「許可」を選択してから<OK>ボタンをクリックします

図04: クライアント側となるコンピューターに戻り、再度メディアサーバー役のコンピューターにアクセスしますと、ライブラリが表示されます

Windows Media Player 12は比較的素直なDLNAサーバーとなり得るため、コンピューターに保存しているコンテンツをDLNAクライアントで楽しんでいる方もおられるでしょう。そこで、問題となるのが冒頭で述べた電源設定。通常は一定時間が経つとスリープモードに移行し、場合によってはスタンバイモードに切り替わります。省電力の観点から見ればすこぶる当たり前の動作ですが、前述のようにWindows 7をメディアサーバーとして働かせる場合、この電力状態が邪魔な存在になるのではないでしょうか。

もちろん電力設定でCPU使用率や給電設定を整えるなどの対処法もありますが、モニターが皓々(こうこう)と光っている様は面白くありません。しかし、Windows Vistaの時点でこの問題が解消されていることをご存じでしょうか。同OSでは電源モードの一つとしてAway(退席中)モードが用意されており、モニターへの電源オフ通知や音量のミュート化などを行いつつも、各ソフトウェアは稼働している状態になります。

古くはWindows XP Media Center Edition 2005がAwayモードを搭載し、Windows VistaではWindows Media Centerの搭載に応じて改良されました。Awayモードは、Windows Media Center Extendersの電源に関する設定や電源設定でも選択可能で、スリープモードへ移行する際、通常のスリープモードではなくAwayモードが選択されるという仕組みです。そこで今回は、このAwayモードに関する各種操作を行ってみましょう。まずは、Awayモードの有効化設定です。

1.管理者権限で「regedit」を実行します。
2.レジストリエディターが起動したら、HKEY_LOCAL_MACHINE \ SYSTEM \ CurrentControlSet \ Control \ Session Manager \ Powerキーを開きます。
3.DWORD値「AwayModeEnabled」のデータ値を「1」に変更します。
4.レジストリエディターを終了させ、コンピューターを再起動します。

これでチューニングが終了しました(図05~09)。

図05: [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図06: レジストリエディターが起動したら、HKEYLOCALMACHINE \ SYSTEM \ CurrentControlSet \ Control \ Session Manager \ Powerキーを開きます

図07: DWORD値「AwayModeEnabled」をダブルクリックし、値のデータを「1」に変更して<OK>ボタンをクリックします

図08: 操作を終えたら、<×>ボタンをクリックしてレジストリエディターを終了させます

図09: スタートメニューの電源ボタンから<再起動>をクリックして、コンピューターを再起動させます

次にAwayモードを有効にするため電源設定を変更します。コントロールパネルなどから電源オプションダイアログを起動し、<マルチメディアの設定>→<メディアを共有するタイミング>と選択すると現れるドロップダウンリストから、「コンピューターが退席中モードになるのを許可する」を選択してください。そして、Windows Media Player 12を起動してから、コンピューターからスリープを実行します(図10~12)。

図10: [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「Rundll32.exe Shell32.dll,Control_RunDLL powercfg.cpl,,1」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図11: 変更する電源プランを確認してから、<マルチメディアの設定>→<メディアを共有するタイミング>と展開し、ドロップダウンリストから「コンピューターが退席中モードになるのを許可する」を選択します

図12: スタートメニューの電源ボタンから<スリープ>をクリックして、コンピューターのAwayモードへの移行を実行します

この状態でクライアント側のコンピューターでもWindows Media Player 12を起動し、リモートコンピューターのライブラリを参照してみましょう。チューニング前は、そもそもリモートコンピューターが列挙されませんが、Awayモードが有効なコンピューターはスリープモードを実行中も稼働時と同じく、コンピューターが列挙されます。また、メディアコンテンツの再生ももちろん正しく行われます(図13~14)。

図13: こちらはチューニング前のクライアント側。メディアサーバー役のコンピューターでスリープを実行しますと、一覧から同コンピューターが削除され、再生中の音楽も中断します

図14: こちらはチューニング後の同操作。メディアサーバー役のコンピューターは一見スリープモードに見えますが、Awayモードとして稼働中。音楽も再生可能です

なお、Awayモードをモバイル型コンピューターに適用する場合、無線LANに関する省電力設定が影響し、筆者が確認した限りでは正しく動作しませんでした。また、スリープモードとAwayモードの両立はできませんので、通常のスリープモードに戻す場合は、DWORD値「AwayModeEnabled」のデータ値を「0」に変更し、コンピューターを再起動してください。

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus)