街なかのシアトル系コーヒーショップが提供するコーヒーメニューは、圧力をかけてコーヒーを抽出する「エスプレッソ」が基本。店舗ではバリスタがセミオートタイプのエスプレッソマシンを利用することが多いのだが、セミオートタイプは意外と抽出が難しい。

各種のエスプレッソマシンで定評あるデロンギ・ジャパンの「デロンギ ラ・スペシャリスタ・アルテ グラインダー付きエスプレッソ・カプチーノ メーカー(EC9155J-B/EC9155J-W)」(以下、ラ・スペシャリスタ・アルテ)は、失敗なくエスプレッソを抽出できるセミオートタイプのエスプレッソマシン。直販価格は128,000円だ。

  • 存在感あるデザインのラ・スペシャリスタ・アルテ。部屋に置くだけで空間を格上げしてくれそうな、重厚で高級感を醸すたたずまい

  • 本体カラーはブラック(写真左)とホワイト(写真右)の2色

エスプレッソマシンのハードルだったタンピングも失敗なし

エスプレッソマシンにはボタンを押すだけでコーヒーが抽出できる「全自動タイプ」と、複数の工程を手動で行う「セミオートタイプ」がある。自分好みの味を追求したい人や、コーヒーを淹れる行為そのものを楽しみたい人にはセミオートタイプが人気。

ただし、セミオートタイプは専用フィルターに適切な量の粉を入れる「ドーシング」、粉に均一な圧力をかける「タンピング」といった技術が必要だ。これらを失敗すると美味しいエスプレッソは淹れられない。ラ・スペシャリスタ・アルテはセミオートマシンながら、難しい工程をマシンがサポートすることで失敗なくエスプレッソを淹れられるいう珍しい製品だ。

  • 本体上部には、豆の香りを逃がしにくい本格的な低速回転コーン式グラインダーを配置。豆挽きから抽出、スチームミルクまでラ・スペシャリスタ・アルテだけで行える

  • コーヒー粉を押し固めるタンパーや、スチームミルクを作るミルクジャグなど付属品も充実。道具をそろえなくても、すぐにエスプレッソやカプチーノに挑戦できる

フィルターに粉を入れるドーシングは、フィルターに「タンピングガイド」とよばれるサポートパーツを装着し、グラインダー下にあるコーヒー粉出口にセット。

これだけで、設定した粒度のコーヒー粉を設定した量、フィルターに自動投入してくれる。タンピングガイドがあることによって、タンピングの技術がなくてもコーヒー粉を均一に詰め込める。初心者が失敗する大きな要因の「ドーシング」も「タンピング」も、手順に沿って正しく操作すればまず失敗しない。

  • 手前がハンドル付きのフィルター、写真奥左は粉を押し込むための「タンパー」。奥右がラ・スペシャリスタ・アルテ独自のタンピングガイド

  • タンピングガイドをセットしたフィルターをグラインダー下にセットすることで、最適な量のコーヒー粉を供給してくれる

  • コーヒー粉を詰めるためのタンパーをねじるように押し付ける「タンピング」。ガイドがあることで、しっかりと水平にコーヒー粉を詰められる

美味しいエスプレッソには、ぶ厚いクレマ(泡)が現れるといわれる。ラ・スペシャリスタ・アルテで抽出したエスプレッソは、初心者が抽出したものでもしっかりとクレマがたった。試飲してみると、エスプレッソらしい濃い旨味ながら、雑味のないスッキリとした味わいだ。

  • エスプレッソは同時に2杯抽出することも可能

  • 美味しいエスプレッソの証しであるしっかりとしたクレマ

抽出に慣れたら「自分の好み」を追求して楽しむ

セミオートタイプらしく、好みに合わせて抽出する味を探していけるのも魅力だ。手動で変更できるのは、豆の粒度、量、湯温など。また、本体中央のひときわ目を引くアナログメーターは圧力計。この圧力計はあくまで目安程度の精度だが、粉の量やタンピングの力具合などで圧力が変わるため、味を変えて楽しんでみたいときには力になってくれるだろう。

  • 左のダイヤルが豆量調整。OKボタンの右隣が湯温選択など、手動で細かく味を調整できる。中央にあるアナログメーターは圧力計

  • 本体右側にはミルクを泡立てるフロッサーも

  • ミルク泡立て用のジャグも付属しているので、購入してすぐにラテアートの練習を始められる

ラ・スペシャリスタ・アルテは「豆を挽く」「フィルターに入れる」「タンピングする」「抽出する」といったように、基本のエスプレッソを抽出するにも複数の手順が必要。全自動タイプと比較すれば、確かに手間と時間がかかる。

しかしそのぶん、「好みの味を見つける」、「コーヒーを抽出する」という行為そのものを楽しめる面白さがある。本体のデザインにも業務用マシン的な趣があり、キッチンに置いてもリビングに置いても、または自室に置いても、いい雰囲気を演出してくれるだろう。自宅ではコーヒーを味わうだけだったという人も、淹れる楽しみを見つけてみてはいかがだろうか。