2024年3月に発表された「地価公示」によると、神奈川県の商業地の地価上昇率は+ 5.4%で、 前年の2.9%より上昇率が拡大しました。 中でも特に地価が上がっているのはどの地域なのでしょうか?

今回は国土交通省の地価公示をもとに、神奈川県内の商業地の地価上昇率を駅別に発表します。さらに、地価上昇の背景について、鑑定評価書の情報を用いて分かりやすく解説します。

  • 八丁畷駅周辺の風景

神奈川県・商業地の地価上昇率ランキング(2024年版)

神奈川県の商業地において、2024年1月時点で地価の上昇率がもっとも高かったのは「みなとみらい」(横浜市西区みなとみらい3丁目1番1外)でした。

次いで2位は「関内」(横浜市中区住吉町1丁目2番外)、3位は「八丁畷」(川崎市川崎区日進町23番8)です。

  • 神奈川県・商業地の地価上昇率ランキング

横浜市中区・川崎市が上位を占める

TOP20に多くランクインしているのは、横浜市中区と川崎市川崎区のエリアで、それぞれ6地点がランクインしています。

ここからは国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で公表されている各地点の鑑定評価書を基に、上位の地域の特性について解説します。

なお、鑑定評価書の表記は地番や住居表示がベースになっていますが、この記事では分かりやすくするため最寄り駅で表記します。

みなとみらい

1位のみなとみらいの地価上昇率は19.2%を記録しました。高層の店舗兼事務所ビルが建ち並ぶ商業地域で、横浜銀行本店営業部もあります。

鑑定評価書 によると「みなとみらい地区の開発が進捗し、横浜市役所やよこはま新港合同庁舎も隣接地区に移転しており、今後も中心商業地の一つとして成熟度を高めていくと予測される。」とあります。

関内

2位にランクインした関内の地価上昇率は16.8%です。関内駅以外に、日本大通り駅も利用可能で、中高層店舗事務所ビルなどが建ち並ぶエリアです。

鑑定評価書 には「中高層の事務所ビルが建ち並ぶ商業地域として成熟している。複数路線利用可能な地域にあり、取引は安定的である。今後も現状を維持して推移するものと思料する。」と表記されています。

八丁畷

3位の八丁畷は15.6%の地価上昇率となりました。鑑定評価書には「同一需給圏は川崎区及び幸区にわたる川崎駅周辺の商業地域及びその周辺の近隣商業地域である。」とあります。

国道15号沿いに自動車関連店舗・事務所・マンションが建ち並ぶ商業地域で、今後はマンションとしての利用が増加するものと予測されています。

桜木町

4位に入った桜木町の地価上昇率は15.3%です。鑑定評価書 には「野毛本通り沿いの商業地域で、地域は成熟している。建替えによるマンションの供給もみられる地域ではあるが、周辺では店舗の新規出店も増加しており、商業地域として推移していくものと思料する。」と表記されています。

小売店舗や飲食店が立ち並ぶ商業地域で、需要者の中心は個人事業者や地元中小企業事業者です。

川崎

5位の川崎は14.6%の地価上昇率となりました。鑑定評価書 には「地域要因に特段の変動は無く、当面は現状を維持しながら推移していくものと思われる。地価は上昇傾向で推移していくものと推測する。」とあります。

事務所ビルやマンションなどが混在する商業地域で、駅から徒歩圏内であることから立地に優れ、安定的な需要が見込まれています。