2024年の米大統領選は、銃撃事件及び共和党大会を機に、トランプ前大統領の再当選に勢いが付いています。これまで「もしもトランプ大統領が再当選したら」から「もしトラ」と言われていたものの、「確実にトランプへ」という「確トラ」になりつつあります。

民主党もハリス副大統領を新たに大統領候補に据えて体制の立て直しを進めていますが、7月後半時点の勢いは、共和党・トランプ陣営にあります。本当にトランプ大統領が再当選した際は、どのような銘柄の上昇が期待できるのでしょうか?上昇が期待される6銘柄を取り上げました。

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トランプ政権の政権公約は既に発表済み

トランプ前大統領は、既に政権公約を発表しています。

合計20の公約がある中で、経済の、特に企業が関係する部分は下記です。

(4)MAKE AMERICA THE DOMINANT ENERGY PRODUCER IN THE WORLD, BY FAR!
米国を世界有数のエネルギー生産国にする!

(5)STOP OUTSOURCING, AND TURN THE UNITED STATES INTO MANUFACTURING SUPERPOWER
アウトソーシングをやめて、米国を再度製造超大国にする。

(12)STRENGTHEN AND MODERNIZE OUR MILITARY, MAKING IT, WITHOUT QUESTION, THE STRONGEST AND MOST POWERFUL IN THE WORLD
軍隊を強化・近代化し、間違いなく世界最強なものにする。

(15)CANCEL THE ELECTRIC VEHICLE MANDATE AND CUT COSTLY AND BURDENSOME REGULATIONS
電気自動車の義務化をやめ、高価で負担の大きい規制を削減する。

上記4項目からは、「エネルギー」・「製造業」・「軍」・「反電気自動車」、というキーワードが浮かび上がります。

トランプ政権の政権公約のキーワードからピックアップできる6銘柄

トランプ政権の政権公約が追い風となりうる銘柄を、キーワードを参考にピックアップしてみましょう。

エネルギー

  • エクソンモービル(XOM)
  • シェブロン(CVX)

米国には石油やガスのエネルギー大手企業としてエクソンモービル(XOM)、シェブロン(CVX)が存在します。かつて原油価格を支配した、原油メジャーの流れを組む巨大企業の両社抜きで米国のエネルギー開発は語れません。トランプ政権で脱炭素の規制緩和が進むなどすれば、両社の株価は反応する可能性があります。

軍事

  • ロッキード・マーチン(LMT)
  • 三菱重工(7011)

日本には純粋な軍事兵器の企業はありませんが、米国には複数あります。その中で最大の軍事兵器企業はロッキード・マーチン(LMT)です。直近の売上高は675億ドル(約10兆円)で、F-35戦闘機やパトリオットミサイルなど、日本でも有名な兵器を多数製造開発しています。

また日本では、ロッキード・マーチンと関係が深い三菱重工も関連銘柄といえるでしょう。同社は国内でパトリオットミサイルをライセンス生産しており、またF-35戦闘機の国内組み立ても手掛けています。国内の防衛力強化を背景に既に株価は上昇しているものの、トランプ政権の誕生で上昇が加速する可能性もあります。

製造業と脱電気自動車

  • フォード・モーター(F)
  • ゼネラル・モーターズ(GM)

米国の製造業といえば航空産業を外せませんが、墜落事故対応中のボーイング(BA)は外します。トランプ政権の公約は脱電気自動車もキーワードであり、製造業かつ脱電気自動車といえば、既存自動車メーカーが浮上します。米国の自動車メーカー大手といえばフォード(F)とゼネラル・モーターズ(GM)です。近年の米国の自動車銘柄といえばテスラ(TSLA)一色でしたが、トランプ大統領の復活時は、米国の大手自動車メーカー株に見直しが入る可能性もあります。

米国株へ視野を広げる機会ともなる「もしトラ」

「もしトラ」から「確トラ」の流れの中で、国内銘柄を物色する動きもあります。しかし米国のイベントであり、本命は米国株といえるでしょう。また「もしトラ」・「確トラ」銘柄にはエクソンモービル、シェブロンなどの巨大企業もあるため、業績が安定しない国内のグロース銘柄に投資するよりリスクが低い面もあります。

米大統領選は一瞬先が闇なので、最終的に民主党が逆転する可能性も否定できません。ただし「もしトラ」・「確トラ」で株式投資に興味を抱いたなら、直接影響を受ける米国株への投資がストレートな選択です。「もしトラ」そして「確トラ」は、米国株への投資にも視野を広げる機会となるのではないでしょうか。

石井僚一
金融・投資ライター
大手証券グループ投資会社の勤務を経て、個人投資家・ライターに。株式市場や為替市場に関連する記事の執筆を得意としている。資産運用記事やインタビュー記事も執筆中。第一種証券外務員資格保有。