AMDのFusion第一弾「AMD E-350」はAtom以上の性能、とくにグラフィックレスポンスの良さを求める方に人気のプラットフォームとなりつつある情況だ。そんなE-350マザーボードのなかから、今回はSapphireの「PURE Fusion MINI E350」を紹介していこう。Mini-ITXサイズのE-350マザーは種類も豊富に出揃ってきたが、そんなE-350マザーのなかでも比較的早くにリリースされ、そしてユニークな機能を備えている。
Sapphire PURE Fusion MINI E350
メーカー | SAPPHIRE TECHNOLOGY |
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製品名 | PURE Fusion MINI E350(MB1254) |
フォームファクタ | Mini-ITX |
対応ソケット | AMD Dual-Core Processor E-350 オンボード |
対応CPU | AMD Dual-Core Processor E-350 オンボード |
グラフィックス機能 | AMD Radeon HD 6310 CPU統合グラフィック |
チップセット | AMD A50M |
対応メモリ | DDR3 800/1066 SO-DIMM(2スロット、最大8GB) |
拡張スロット | PCI Express x16×1、Mini-PCI Express×1 |
ストレージ | SATA 6Gbps×5 |
ネットワーク | 10/100/1000BASE-T×1(Marvell 88E8057) |
オーディオ機能 | 8ch HDオーディオ(Realtek ALC892) |
インタフェース | USB 2.0×8、USB 3.0×2 |
E-350、AMD Fusion APU最大の特徴はCPUにGPUをダイレベルで統合したこと。あわせてAMDでは伝統的に2チップ構成だったチップセットもシングルチップであるAMD A50Mを組み合わせている。本製品のように面積の少ないフォームファクタにとってこれは大きなメリットと言えるだろう。
AMDのFusion APU第一弾、コードネームZacateことAMD E-350。統合グラフィック機能はDirectX 11対応のRadeon HD 6310 |
チップセットはHudson-M1ことAMD A50M。ローコストPC向けのAPU&チップセットではあるがSATA 6Gbpsにも対応している |
AMD E-350のTDPは18W。PURE Fusion MINI E350では小さなヒートシンクと4cmファンでAPUを冷却している。この程度でも十分に冷却できるというわけだが、小径ファンは動作音がやや気になる。これが気になる方は変換アダプタを介しより大口径なファンに換装するのが良いだろう。試してみたところ、4cm→6cmのオフセットアダプタ、6cm→8cmアダプタ、8cm→12cmアダプタと3つ組み合わせることで他のパーツとの干渉も無く、冷却性能・静音性能ともに向上させることができた。
Sapphire PURE Fusion MINI E350最大の特徴は、通常のMini-ITXで搭載される1本の拡張スロットに加え、Mini PCIeカードスロットを搭載している点だ。実際のところ、Mini PCIeカード自体がDIY市場にあまり流通しておらず、あっても無線LANカードなどで有効活用できるかといえば疑問だ。しかし最近では2スロットぶんの拡張カードスペースを持つMini-ITXケースや、Mini PCIe→PCIe x1ライザーカードも登場しており、そうしたパーツを組み合わせれば将来何らかの役に立つ……可能性もある。なお、Mini-PCIeライザーからx1→PCI×2ライザーを組み合わせ、PCI LANカード2枚を動作確認してみたが、現在のところ不具合は出ていない。
SATAポートはボード上に5基、バックパネルにeSATAとして1基が搭載されている。全てA50Mチップセットの機能であり6Gbpsにも対応している。CPUの非力さを補う意味で、高速SSDを組み合わせてみても良いだろう。また、バックパネルを見ていくと、USB 3.0×2(NEC D720200F1チップ)、1000BASE-T LAN(Marvell 88E8057)、D-Sub/DVI-D/HDMIという3系統のディスプレイ出力、HDオーディオ入出力(Realtek ALC892)、そしてBluetoothが搭載されている。
SATAポートはボード上に5つ、バックパネルにeSATAとして1つの計6ポート |
USB 3.0チップはNEC D720200F1。おそらく生産時期の都合でNEC刻印であるのだろう。現在、同チップはルネサスで製造されている |
そのほか特徴的なところとして、UEFIの採用が挙げられるだろう。Intel 6シリーズでは一気にUEFIの導入が進んだが、AMD環境ではよほど最新の製品でないとまだ見かけることは少ない。PURE Fusion MINI E350のUEFI画面はテキストベースでBIOS風。各種項目もBIOS時代のレイアウトそのままで自作経験者なら悩むことなく利用できる。2.2TB超のHDDをシステムドライブに利用することにも当然対応。ただし、UEFIでありながらマウスによる操作は対応していないようだ。
拡張性の乏しいMini-ITXだがPURE Fusion MINI E350は若干の余裕アリ
AMD E-350搭載Mini-ITXは、ネットトップPCとして、あるいは録画やストレージとしてのサーバ用としては消費電力、サイズ、価格等で魅力的だ。ただ、拡張性に乏しいMini-ITXだけに単機能にフォーカスし、完成状態からさらに発展させていくのが難しい。そんななか、PURE Fusion MINI E350はUSB 3.0ポートやMini PCieなど、若干の余裕を持っているところがポイントだ。
PURE Fusion MINI E350は価格もこなれてきており、1万円台前半で販売されているのも見かける。ちょうどWindows Home Server 2011も発売され、家庭内ホームサーバ自作のメインボードとして検討してみても良いのではないだろうか。また、とくにホームユーザー向けWindowsの場合、時としてデスクトップUIから操作をしなければならないことがある。AMD E-350の高性能なGPUは、そのような際の保険にも成り得るだろう。