筆者はよくウイスキー選びについて質問されます。プレゼントにはどんなウイスキーを贈ると喜ばれる? バーで飲んでおいたほうがいい銘柄は? 安くて美味しいウイスキーは何? といった感じです。そこで今回は、2,000円前後で700mlのボトルを購入でき、しかも美味しいというコスパのよいウイスキーを5本、紹介します。多くのバーで注文できそうな有名ブランドから選びました。
この数年、ウイスキーは何回も大幅な値上げがありました。世界的に原料や輸送費などが高くなっているうえ、円安の影響が大きいので仕方がありません。さらにはウイスキーブームになったことで需要が拡大し、こちらも価格の高騰につながっています。例えば、1994年発売のジャパニーズウイスキー「白州 12年」は、当時の定価は6,000円でした。しかし、現在は1万5,000円にまで値上げされているのです。
そこまで高価でなくても、定番で美味しい銘柄はのきなみ5,000円前後になっています。普段飲みはもう少し安く! というニーズもあるでしょうから、ハイボールにぴったりな高コスパのウイスキーをカテゴリー別に5種類紹介します。
スコットランドのウイスキー
スコッチからはブレンデッドウイスキーの「デュワーズ ホワイト・ラベル」(1,600円前後)です。5つの蒸留所で作られるウイスキーをキーにしてブレンドしています。ホワイトラベルは1899年に初代マスターブレンダーのA.J.キャメロンが手がけたものです。公式テイスティングノートは以下の通り。
- 香り:フローラル、ヘザーやハニーの香り
- 味わい:なめらかでクリーン、フレッシュバニラ、わずかに洋ナシ、ソフトでフルーティー
- 余韻:ほのかな甘さにスモーク差を感じるよいバランス
ちなみに、スコッチでは「ジョニーウォーカーレッドラベル」(1,600円前後)と悩んだのですが、最近は「ジョニーウォーカーブラックラベル」からしか置いていないというバーも多いので、今回は「デュワーズ ホワイト・ラベル」に軍配を上げました。
アイルランドのウイスキー
アイリッシュウイスキーからは「ジェムソン スタンダード」(2,200円前後)がおすすめです。定番中の定番ですが、安く美味しく間違いがありません。スコッチやジャパニーズウイスキーは通常、2回の蒸留で製造されることが多いのですが、アイリッシュウイスキーは3回の蒸留を行うことが多いのです。より雑味が取れて、クリーンな風味、味わいになります。
ジェムソンはソーダ割のほか、ミントジュレップやアイリッシュコーヒーというカクテルにしても美味しいウイスキーです。ただし、材料が常備してあるかどうかはバーによって異なるので、バーテンダーに聞いてみてください。公式テイスティングノートは以下の通り。
- 香り:ほのかなフローラルさに、スパイシーなウッドと甘みを感じる香り
- 味わい:スパイシー、ナッツ、バニラの香りの絶妙なバランスの中に、シェリーの甘味がほのかに混ざり、すばらしく滑らかな味わい
- 余韻:スムースで余韻の残るフィニッシュ
アメリカのウイスキー
アメリカンからはバーボンの「オールド クロウ」(1,400円前後)をイチオシします。1835年に生まれた歴史あるバーボンですが、元の蒸留所はすでに閉鎖されており、現在はビームサントリーが製造しています。
安価なバーボンでアルコール感は強め。とはいえ、しっかりしたバニラ感に加え、フルーツやスパイスのニュアンスもあり、バーボンらしさを楽しめます。おとなしいウイスキーを楽しみたいときには向きませんが、パワフルなお酒を飲みたいときに試してみてください。食中酒にも適しており、ステーキなどと合わせて飲むには最高です。
筆者はバーボンでは「メーカーズマーク」をよく飲むのですが、今回はよりお手ごろな「オールド クロウ」をチョイスしました。
カナダのウイスキー
カナディアンウイスキーからは一番人気の「カナディアンクラブ」(1,200円前後)がお手ごろです。頭文字を取って「CC」と呼ばれており、スムースな口当たりが特徴。アメリカで禁酒法が制定される流れになっていることを察したハイラム・ウォーカーが、1858年に蒸留所を設立しました。
モルトウイスキーとグレーンウイスキーを混ぜてから熟成させる独特な製法によって、まろやかになります。ハイボールはもちろん、ロックでも楽しめます。初めてウイスキーを飲む、という人にもおすすめしやすいボトルです。公式テイスティングノートは以下。
- 色:明るく透き通るようなゴールド
- 香り:キャラメル・バニラ・スパイス
- ボディ:スムース・バランスよくしなやか
- テイスト:デリケート・スムース・メロー・ほのかにオークとバニラ
- フィニッシュ:クリーンでドライでありながら、やわらかいオークの感覚
日本のウイスキー
ジャパニーズウイスキーは暴騰しており、有名な「山崎」や「余市」などはこの価格帯(2,000円前後)では買えません。そんな中でおすすめは「サントリーウイスキー角瓶」です。こちらも値上がり傾向にありますが、それでもボトルで2,000円を切りますし、家飲み用であれば大容量のボトルも販売されています。
安いとはいえ、山崎蒸留所と白州蒸留所で作られた原酒を配合し、本物のジャパニーズウイスキー基準をクリアしています。公式サイトでは、甘やかな香りと厚みのあるコク、ドライなあとくちが特長と記載されています。
筆者としては、ハイボールで飲むのが一番美味しく感じます。ちなみに、自宅でなんとなくソーダで割って作るのと、バーテンダーが作るのでは同じ角ハイボールでも味わいが格段に異なります。材料の温度、作り方、グラスなど色々な要因があるので、ぜひバーでプロの手腕を楽しんでください。
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以上が、バーで飲んで欲しいコスパのいいウイスキー 5選です。家飲み用として常備しておくのもアリでしょう。メニューを置いていないバーでとりあえず注文するとき、いきなり価格を聞くのは避けたい――という場合も、これらのウイスキーであればそこまで高くなりません。まずは一度飲んでみることをおすすめします。