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23 クルマのクイズ

時代を先取り! マツダ「RX-8」を動かしたガソリン以外の燃料とは?

JUN. 23, 2025 11:30
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問題をおさらい!

  • この「RX-8」の燃料は? という問題でした

正解はこちら!

【答え】水素

写真のクルマはマツダ「RX-8 ハイドロジェンRE」です。このクルマ、2006年という早い段階で登場した、水素とガソリンのどちらでも走行可能な「デュアルフューエルシステム」を搭載した画期的な水素ロータリーエンジン車だったんです。国土交通大臣の認定を受けたマツダは、実際に限定リース販売を実施しました。

  • マツダ「RX-8 ハイドロジェンRE」
  • マツダ「RX-8 ハイドロジェンRE」

    水素は英語で「hydrogen」。車体に答えが書いてありましたね

「RX-8 ハイドロジェンRE」はベースの「RX-8」が搭載する「13B-MSP型」ロータリーエンジンに水素インジェクターなどを追加し、水素燃料とガソリン燃料の自動切り替えを可能にしています。主なスペックは以下の通りです。

  • エンジン:13B-MSP型 水冷2ローター(ロータリー式)、排気量654cc×2

  • 最高出力:水素走行時80kW(109ps)/ガソリン走行時154kW(210ps)/7,200rpm

  • 最大トルク:水素走行時140Nm(14.3kg・m)/ガソリン走行時222Nm(22.6kg・m)/5,000rpm

  • 燃料タンク容量:水素110L/35MPa(高圧水素ガスタンク)/ガソリン61L

  • 航続距離(10・15モード):水素走行時約100km/ガソリン走行時約549km

  • 車両寸法:全長4,435mm×全幅1,770mm×全高1,340mm

  • 車両重量:1,460kg

  • トランスミッション:4速AT

水素走行時にはCO2排出ゼロ、NOx排出量も極めて少ない優れた環境性能を誇りながら、内燃機関ならではの自然なドライビングフィールを実現していました。水素インフラが未整備な状況下でもガソリンで走行できる利便性は、当時の技術レベルを考えると非常に先進的であり、マツダの水素エネルギーに対する先見の明を示すモデルと言えるでしょう。

一方、トヨタが開発を進める水素GRカローラは、液体水素を燃料とするエンジンを搭載した車両で、モータースポーツの現場である「スーパー耐久」シリーズに参戦し、技術開発と実証を重ねています。市販モデルのGRカローラは1.6L直列3気筒インタークーラーターボエンジン(G16E-GTS型)を搭載し、最高出力224kW(304PS)、最大トルク370Nm(37.7kgf・m)を発生しますが、水素エンジン仕様では異なる特性を持ちながら、性能向上に注力しています。

  • トヨタの「液体水素エンジンGRカローラ」

    こちらがトヨタの「液体水素エンジンGRカローラ」です

主な特徴は以下の通りです。

  • 燃料:液体水素

  • 水素タンク:初期は円筒形(150L/10kg搭載)でしたが、効率的なスペース活用のため楕円形の異形タンク(220L/15kg搭載)に改良。航続距離が大幅に向上しています(富士スピードウェイで約30周走行可能)

  • 超低温(-253℃)の保持技術(液体水素燃料):水素を液体で貯蔵するためには-253℃という極低温を維持する必要があります。このため、高性能な断熱タンク(魔法瓶のような構造)を搭載しています

  • 液体水素ポンプ:液体水素を昇圧してエンジンに送る「ポンプ」の耐久性を大幅に改善し、無交換で24時間レースの完走を目指します(2023年の24時間レースでは2回交換、2025年は468周を走行し見事完走)

  • ボイルオフガス活用:液体水素が気化する際に発生するボイルオフガスを燃料として再利用する技術や、そのガスを利用して発電し、ポンプ用モーターの動力に充てるなどのエネルギー効率向上策も検討しています

  • 燃焼技術:ストイキ燃焼とリーン燃焼の切り替え技術など、水素エンジンの燃焼効率と環境性能を両立させるための先進技術を投入しています

  • トヨタの「液体水素エンジンGRカローラ」

    水素エンジン搭載車が市販される日は来るのでしょうか。トヨタの実証に注目です

2006年に登場したマツダのRX-8ハイドロジェンREは、水素とガソリンのデュアルフューエルという画期的なシステムで、来るべき水素社会への道を切り拓いた先見の明を持つ1台でした。一方、現在のトヨタの水素GRカローラは、モータースポーツという過酷な環境で液体水素技術とエンジンの性能を極限まで引き上げ、さらなる高みを目指しています。

性能面ではより現代的な技術が投入されている水素GRカローラに軍配が上がるかもしれませんが、内燃機関で水素燃料の可能性を追求し、実用性を高めたRX-8ハイドロジェンREの存在は、その後の水素自動車開発において重要な一歩であったことは間違いありません。

それでは、次回をお楽しみに!

監修: 旧車王(https://www.qsha-oh.com/)

旧車王」は20年以上の実績を誇る、全国出張型の旧車専門の買取サービスです。スポーツカーや特殊なモデル、希少車も多く取扱っております。旧車王の特徴は、お客様の愛車を査定ではなく「鑑定」し、高価買取を実現していることです。「鑑定」とは、年式や走行距離、グレードだけでなく、機関系の状態や足回りの状態、下回りの錆やステアリングの状態、車台番号とエンジン番号の確認などさまざまな情報をもとに旧車の価値を見極めることです。また、車輌そのものの状態だけではなく、お客様の愛車に対する想いまでを汲み取り、買取金額に反映いたします。大事なおクルマを責任をもってお預かりし、長い歴史が刻まれた旧車を「自動車文化遺産」として次世代へつないでいくため、次のオーナー様へと橋渡ししております。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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