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【答え】トヨタ自動車「カレン」(CURREN)
答えはトヨタのカレンです。
カレンが国内で発売されたのは1994年ですが、1998年に一世代限りで生産終了となりました。ベースとなったのは、1993年発売の6代目「セリカ」です。
1970年に「ダルマセリカ」の愛称で親しまれる初代が登場してから23年を経るなか、独特な存在(スペシャリティカー)でありながら、その行き先を模索するモデルチェンジを繰り返してきたセリカは、この6代目で個性的な丸型4灯ヘッドライトを採り入れました。しかし、その顔つきは好き嫌いがあったかもしれません。
そこを、より多くの人になじみやすい造形としたのが、カレンといえます。
ヘッドライトとラジエターグリルの様子は、日本で販売されていた「コロナEXiV」に似たところがあります。使い勝手では、セリカがリアゲート式であったのに対し、カレンはトランクを持つ2ドアでした。ここは、北米で販売されていたセリカの形式を採り入れたといえます。
北米では、手ごろな価格の2ドアで洒落たクルマが根強い人気を得ています。たとえば、フォード「マスタング」やシボレー「カマロ」などはその代表車種です。日本車でも、たとえばホンダ「シビック」には北米向けの2ドアクーペがあります。北米向けセリカもそうした車種のひとつといえます。
ハッチバックではなく、トランクを持つ2ドアクーペは何がよいかというと、荷室が客室と別空間であるため、貴重品などを積んだときに、覗かれて中身を外から見られないという安心感があります。ほかに、荷室と客室が隔壁によって別々になることで、走行中に後ろのタイヤが発する騒音が抑えられ、より静粛で快適な室内になりやすいといった利点があります。
日本では2ドアより4ドアが望まれる傾向があります。そこに対応したのが、同じ6代目セリカを基にしたコロナEXiVや「カリーナED」といった4ドアハードトップの存在です。カッコいい見栄えはキープしながら4ドアの利便性も得られるボディタイプです。
いわゆる4ドアセダンと4ドアハードトップの違いとしては、4ドアセダンは前後ドアの間に支柱があり、前後のドアには窓枠もあって、前席用と後席用が明確に分かれた外観となります。これに対して4ドアハードトップは、前後ドアの間の支柱が目立たず、ドアの窓枠も省かれるなどして、あたかも前後ドアの窓ガラスが一体のように見えることで、よりカッコよさを感じさせます。
4ドアハードトップの価値が認められるようになったきっかけのひとつは、1970年に登場した日産自動車「セドリック」だといえるでしょう。その後、トヨタも1970年代後半に「クラウン」で採用しましたが、このときは前後ドアの支柱をあえて見せることで「4ドア・ピラード・ハードトップ」と呼びました。
北米では2ドアのクーペが人気で、日本では2ドアよりも4ドアでカッコいいクルマが好まれるというあたりに、市場の特性や国民性の違いが出ています。セリカという1台のクルマを基にして、両方の市場に商品を展開するのは自動車メーカーの腕の見せ所といえますが、結果的に、2ドアのカレンは日本で必ずしも人気を得られず、一世代で終わることになりました。
それでは、次回をお楽しみに!