2025年7月、国交省は航空関係団体と連携した統一的な取り組みを要請した。航空機内でのモバイルバッテリー取り扱いについての協力要請事項として、頭上の収納棚に入れないようにすること、また、機内でのモバイルバッテリーから電子デバイスへの充電/機内電源からモバイルバッテリーの充電は、常に状態が確認できる場所で行うようにという制限が加わった。
それでも国内外で機内でのモバイルバッテリーの発煙、発火などの事例が発生しているのを受け、いよいよ、機内での使用そのものを制限する動きがあるようだ。どうやら機内での充電行為を全面的に禁止する方向が検討されているようだ。
半固体って何がすごい? “燃えにくい”新電池
そんな中で、エレコムが次世代型のモバイルバッテリー「DE-C86-10000」を発売する。同社として初めて半固体電池を採用し、安全性を向上させた製品だという。2022年のリン酸鉄リチウムイオン電池、2025年のナトリウムイオン電池に続く、新しいタイプのバッテリーだ。
一般的な電池の中には電解液が入っていて、その中でリチウムイオンが正極と負極の間を移動するのだが、この電解液をゲル化することで、液漏れリスクを低減できるのが半固体電池だ。これによって発火事故の一因だった電解液の使用量を削減、内部短絡が起こったときの可燃性ガスの発生や放出を抑制することができ、安全性を高めているという。
同社によればバッテリーのサイクル寿命は約500回を想定しているという。実使用ではそこまで酷使するケースは少ないが、仮に、毎日利用して満充電と空の状態を繰り返すと2年持たないことになる。だが、電解液をゲル化した半固体電池では化学的安定性が高まり、約2,000回の電池寿命を実現している。単純計算では5年程度持つことになるが、エレコムとしては従来通り、だいたい2年くらいでの買い替えを推奨しているそうだ。
この製品にはHealth Monitorが搭載され、電池の健康状態を自動診断して、LEDの色で表示してくれる。初期は青が点灯するが、そのうち、電池性能が低下している可能性を検出すると、赤色点灯となる。このあたりが買い換えの目安となるそうだ。
モバイルバッテリーの発火事故は過去最高
航空機に限らず、近年相次ぐモバイルバッテリーの発火事故は過去最高を更新している。東京消防庁は、2024年のリチウムイオン電池関連火災のうち約6割が充電中に発生しているという。国交省の動きも、こうした状況を受けたものになるだろう。
製品の欠陥の場合もあるが、最も多いのは充電方法の誤りや落下などの外部衝撃を受けたバッテリーの使用によるものだ。誤った充電方法というのは考えにくいのだが、ユーザーが意識的に誤った充電をしているケースは少ないかもしれないが、結果的に誤った状態になってしまうことはある。
昨今のモバイルバッテリーはUSB-Cケーブルを使い、USB Power Deliveryという標準規格にしたがって充電が行われる。ACアダプター、ケーブル、充電される各種デバイスやバッテリーのすべてがこの規格に準拠することで、安全性の高い充電ができるわけだ。
アダプターが電力を供給し、ケーブルがそれを運び、デバイスやバッテリーに届ける。給電側、ケーブル、受電側の3要素が充電開始に際して相談し、充電に使う電力等をネゴシエーションするためにメッセージをやりとりするようになっている。それによって安心安全な充電を担保しようとしているわけだ。
この3要素に、ひとつでも、おかしな挙動があると、充電の安全性が担保されなくなる可能性がある。極端な熱の発生や充電に時間がかかりすぎたり、充電できなかったりするなら、何らかのダメージがバッテリーに加わった可能性がある。
そのような場合は、直ちに使用をやめ、居住している自治体の指示にしたがった方法で廃棄するようにしてほしい。昨今は膨張した状態のバッテリーでも回収してもらえたり、窓口に持ち込める自治体が増えているようだ。
落とした後は要注意、バッテリー事故を防ぐ注意点
事故は未然に防ぐに越したことはない。そして、起こさないためには、外見がなんともなくても落下させて衝撃を加えたりしたときに、念のために使うのをやめて廃棄するなど、事故を未然に防ぐ行動が必要だ。まして、膨張した状態のバッテリーを使い続けるといったことは絶対にやめてほしい。
バッテリーそのものではなくても、スマホを落下させた場合にも内蔵バッテリーに衝撃が加わっている可能性がある。異常な発熱や本体の変形、異臭や煙、減りの速さなどの不審な挙動を感じたら、直ちに使用を控え、メーカーや正規のサポート窓口で修理点検を受けるようにしたい。

