メルカリが「売れる福袋」を配布することを発表した。東京・渋谷の若者のメッカとして知られる「SHIBUYA109渋谷」との協業により、正月2020年1月2日~1月5日の4日間、渋谷109内に期間限定店舗として「メルカリPOP UP」を出店、そこでメルカリの梱包資材を封入した「売れる福袋」を配布するという。109内の対象店舗でメルペイを使って福袋を購入、または、2,000円以上メルペイを利用して購入するともらえるという。
福袋をその場で確認、いらない物は交換へ
メルカリによれば、近年は、福袋をECで事前予約する人が増える一方で、店頭販売の市場は減少傾向にあるものの、大手百貨店やショッピングモールでは、依然として年始の開店時に福袋や初売りセールを目当てとした行列が風物詩となっているという。そんな中で、若年層の間では「福袋販売会場内で福袋の中身を確認し、すぐ自分で使用しない物はその場で物々交換する」という現象が一般化しつつあるらしい。
また、フリマアプリ「メルカリ」では、2019年の正月、検索数が急上昇したトレンドワードのTOP5に福袋関連商品がランクイン。福袋関連商品が3年前に比べて2倍に増加している勘定になるという。
渋谷109の初売りセールは毎年約5万5,000人が訪れ、3,000人が行列を作って福袋を購入するそうだ。そして、エントランス前での物々交換も風物詩になっているとのこと。店舗「メルカリPOP UP」には、購入した商品をその場で撮影し、梱包ができるブースが設けられ、商品を梱包してその場で売れるようにする。
今回のメルカリと109の取り組みについて「循環型の社会に貢献。買ったり、売ったり、交換したりが地球のためになる」とSHIBUYA109総支配人の澤邊亮氏はいう。福袋の中身は種々雑多で、中に自分が欲しかったものが入っているとは限らない。過去においては捨てられる運命にあったそれらの商品が、実は若者たちの間では物々交換というクラッシックな方法でやりとりされていたわけだ。
メルカリはそれを一歩進め、自分にとって必要がないものも他の人の役にたつという満足感とともに、フリマという方法論を提供し、捨てる罪悪感から放たれ売れることで承認欲求を満たす“メルカリハイ”の世界へと誘う。
若者の世界で現金はまだ強い
また、メルカリは、今回の発表にあわせ、消費増税後の若者層のキャシュレス決済利用状況についての調査結果を発表、まだまだ現金志向が強く、キャッシュレス浸透は道半ばであることを明らかにし、今後もさまざまな角度でキャッシュレス社会の到来を支援するとした。
キャッシュレスでもフリマでもなく物々交換という若者の世界観に、なんらかの影響を与えることができるかどうか。スマホがなくては日常生活が成り立たない20代の若年層だが、こと、おカネについては慎重なようだ。
先週は、マカフィーが2019年の10大セキュリティ事件ランキングを発表し、その1位としてセブン・ペイへの不正アクセス事件、2位としてクロネコメンバーズの不正ログイン事件を挙げた。これについてマカフィーでは、消費者は利便性に伴うリスクについて理解した上で類似サービスを上手に活用することが求められる……としているが、そう言われても一般消費者に何ができるのやらとも思う。若者は、こうした点に実は敏感で、多くの脅威を感じているのかもしれない。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)