2026年3月13日、東京・上野の「esports Style UENO」にて、早稲田大学eスポーツサークル「WEC」と慶應義塾大学eスポーツサークル「TitanZz」が、タクティカルFPSゲーム『VALORANT』で対戦する「eスポーツ早慶戦」が開催されました。
eスポーツ早慶戦の開催は、今年で3年目。それぞれのeスポーツサークルから集まったメンバーを中心に、学生たちが自ら運営や制作を担う大会です。今年のeスポーツ早慶戦は、はたしてどちらに軍配が上がったのか。会場の模様をお届けします。
豪華ゲストによる実況解説、話題の「WEC C」メンバーも
本大会は、KDDIが運営するeスポーツ施設「esports Style UENO」にて開催され、入場無料。YouTubeでのオンライン配信も行いながら、当日観戦も可能なオフラインイベントとして行われました。ゲストには、『VALORANT』の日本公式キャスターを務めるyueさんと、元プロ選手で現在「FENNEL」に所属するストリーマーのxnfriさんが登場。MCや実況解説として、大会を盛り上げました。
大会の冒頭では、早稲田の「WEC」と慶應の「TitanZz」、両チームが大学名のフラッグを掲げて入場。各チームの代表者として、早稲田側は1年生のShimons選手、慶應側は4年生のjakkarun選手が意気込みを語りました。
過去2回のeスポーツ早慶戦では、ともに早稲田が勝利を収めています。過去大会にも出場してきた4年生のjakkarun選手にとっては、これが最後のeスポーツ早慶戦であり、リベンジ戦でもあります。両チーム代表者のフィストバンプにより、試合がスタート。試合形式はBo3で、2マップを先取したチームが勝利となります。
事前の勝利予想アンケートの結果は、早稲田が62.9%、慶應が37.1%と早稲田が優勢。私も早稲田の勝利を、それも2-0のストレートでの勝利を予想していました。というのも、早稲田の「WEC」には、『VALORANT』の日本公式リーグ「Challengers Japan」でMain Stage進出を果たした、「WEC C(ウェックシー)」のメンバーが所属しているからです。
「Challengers Japan」のMain Stageに出場できるチームは、国内上位10チーム。有名選手を有するプロチームでもMain Stage進出を逃すなど、波乱が巻き起こったなか、現役早大生のメンバーを中心とする「WEC C」の活躍は大きな注目を集めました。eスポーツ早慶戦では、全員を早大生とするためにメンバーが再編成されているものの、それでもかなりハイレベルなチームになっているだろうと予想されました。
1マップ目はパール。早稲田が圧倒するかと思いきや、慶應が食らいつく展開を見せ、7-5での折り返しを迎えます。しかしながら、後半では早稲田がリードを広げ、13-7で勝利。「WEC C」のメンバーでもあるCazkla選手の活躍が光った早稲田が、まずは1マップ目を先取しました。
インターバルに試験!? 今年の新たな見どころと工夫
続く2マップ目に突入する前に、昨年までのeスポーツ早慶戦にはなかった、新たなインターバルコンテンツが用意されていました。その名も、「eスポーツ早慶戦 期末試験」。会場参加型のコンテンツで、『VALORANT』に関する問題が試験形式で出題されました。
早慶らしく、問題の難易度はかなり高め。大問1は、エージェントのアルティメットボイスを当てるリスニング問題で、これなら私でもわかりそうだと思ったのも束の間、英語、韓国語、アラビア語のボイスが再生され、撃沈。大問2は、銃声で武器とスキンを当てるマニアックすぎる問題、大問3は、ゲーム内の状況に合わせたクレジットの計算問題で、私は1問も解けず……。しかし、解きがいのある問題に、会場は大いに盛り上がっていました。
運営を担う学生によると、このインターバルコンテンツは、スポンサー企業のサポートを得られるように工夫した部分の1つとのこと。実際に、このコンテンツでは最高得点を獲得した来場者に、東プレのゲーミングキーボード「Realforce GX1 Plus」をプレゼントするという形で、スポンサー企業の提供商品がアピールされていました。
学生が大会を運営するうえで、最も苦労する部分は資金面だそうで、昨年のeスポーツ早慶戦では運営資金を募るクラウドファンディングが実施されていました。しかし、今年は複数社のスポンサー企業がつき、そのサポートによって開催が実現。この点は、3年目の開催にあたって大きく進化した部分だと言えます。
慶應がマップを取り返し、最終マップにもつれ込む熱戦に!
インターバルコンテンツが終わり、試合は2マップ目のスプリットへ。このマップでは慶應が好調なスタートを切り、慶應のRei選手が前半最終ラウンドで1vs5クラッチを披露するなど、勢いを見せます。6-6の同点で折り返す接戦となるも、後半でリードを保った慶應が13-9で勝利。早稲田が力を見せつけるかと思われた今大会でしたが、慶應がマップを取り返し、最終マップでの決着にもつれ込む展開になりました。
そして最終マップ、バインドでの対決がスタート。このマップでも熱戦が続き、早稲田がややリードする7-5での折り返しを迎えます。後半で流れをつかみたい慶應でしたが、早稲田が勢いのある攻めでラウンドを連取し、最終的に早稲田が13-6でマップを取得。これにより、早稲田がマップカウント2-1で勝利を収め、eスポーツ早慶戦3度目となる勝利を飾りました。
試合後、慶應のjakkarun選手に話を聞いたところ、やはり大会前に「WEC C」の活躍ぶりを見て、早稲田とは厳しい試合になるだろうと考えていたとのこと。しかし、早稲田は1~2年生が中心のチームであるのに対して、慶應は3~4年生が中心。慶應は過去のeスポーツ早慶戦にも出場していたメンバーが多く、「緊張しやすいオフラインでの対戦を経験してきたことが、良い試合につながったと思う」と話してくれました。
もちろん来年のeスポーツ早慶戦も気になるところですが、その前に「WEC C」が「Challengers Japan」のMain Stageで戦います。「WEC C」のメンバーCazkla選手は、「この経験を糧に、Challengers Japanでも良い結果を残したい。後悔を残さないように、とにかく自分たちが行けるところまで勝ち進みたい」と語ってくれました。
「WEC C」は、もともと「WEC」内に『VALORANT』のAチームとBチームがあり、強いメンバーが分散していたことから、「強い人を集めてチームをつくってみよう」と始まったチーム。「WEC C」は結成から2年近く経っており、「ずっと一緒にプレイしてきたメンバーだから、あまりスクリム(練習試合)ができなくても、チーム力があって本番に強い」のだそう。
メンバー変更が多いプロチームでは、新ロスターでのチームづくりが課題になりがちです。その点を踏まえると、現役大学生チームがMain Stageに進出できた理由の1つが、結成2年のチーム力だと聞くと納得感があります。
プレミア(ゲーム内トーナメントモード)出場時は、週1程度しかできなかったというチーム活動も、直近は春休みを利用して週3~4程度に増加。SpielPlatz社とNTTe-Sports社によるサポートも決まり、eスポーツ施設を利用しての練習に励んでいるとのこと。Main StageのPhase1では、プロチーム相手に見応えのある試合をくり広げており、引き続き4月1日より始まるPhase 2での活躍にも期待が寄せられます。
熱戦の舞台裏で大会を支えた、制作や運営に携わる学生たち
選手たちが想像を上回るハイレベルな戦いを繰り広げ、会場を盛り上げたのはもちろんのこと、その熱戦を舞台裏で支えたのも、eスポーツサークルの学生たちでした。早稲田の「WEC」と慶應の「TitanZz」から、実行委員会として12人ほどの中心メンバーが集い、前日から当日にかけて稼働するスタッフも含めると、20人以上の学生が携わっていました。
企画や会場探しを始めたのが、昨年10月頃。今年に入ってから本格的な準備に取り組み、当日を迎えました。大会キービジュアルや配信オーバーレイといったクリエイティブも、大会当日の運営や進行も、学生たちが担っています。
eスポーツのオフライン大会といえば、トラブルはつきもの。実際に今回も、音声トラブルやPCトラブルなど、さまざまな問題が発生していました。もちろん大会が進行するなかでの対応には苦労したと思いますが、そういったトラブル対応の一つひとつも貴重な経験になったのではないでしょうか。
実行委員会の統括を務めた慶應2年生の石井さんは、「eスポーツ早慶戦は、プレイヤーの目標になる大会というだけでなく、大会の運営や制作を通して経験を培う場でもある。今後、大会規模の拡大を目指していくとしても、学生がつくる大会であるということを大事にしたい」と話します。
私も実際に会場でスタッフとして奔走する学生たちを見て、学生たち自身でつくり上げる大会であることが、eスポーツ早慶戦のとても重要なコンセプトであると感じました。そして、早慶戦といえば、さまざまなスポーツで歴史が積み重ねられてきた“伝統の一戦”。ぜひ次の開催を担う後輩たちにつなげ、eスポーツ早慶戦が毎年の恒例行事になることを願っています。

























