NVIDIAのジェンスン・フアンCEOが、コンピュータサイエンティストであるレックス・フリードマン氏のポッドキャスト番組「Lex Fridman Podcast」に出演し、「すでにAGI(汎用人工知能)に到達したと考えている」という見解を示した。ただし、この発言はフリードマン氏が提示した特定の定義を前提にしたAGIである。
今回の対談では、NVIDIAがAI時代の中核企業へと成長した背景に加え、AI市場の最前線でどのようなビジョンを描いているかが掘り下げられた。フアン氏は、CUDAへの早期投資、大規模な問題を解くための垂直統合型の戦略、AIのスケーリング則、エージェントの可能性、サプライチェーン、仕事の未来、そして自身のリーダーシップとエンジニアリング哲学などについて幅広く語った。
AGI(Artificial General Intelligence)は一般的に、人間に近い、あるいはそれを上回る水準で、幅広い知的作業をこなせるAIを指す言葉として使われる。数年前まで実現は遠いと見なされていたが、大規模言語モデル(LLM)の急速な進化により、「いつ到達できるか」という議論が現実味を帯びてきた。
現在、生成AI開発に関わる企業の多くが、AGI到達を中心的な目標に掲げている。ただし、何をもってAGI到達とみなすかについて統一的な基準はない。チューリングテストや大学入試が指標として挙げられることもあれば、問題解決能力、業務遂行レベル、あるいは能力の深さで測るべきだとする意見もあり、定義は多岐にわたる。
今回、フリードマン氏はAGIを「人間の仕事を実質的に担えるAI」としたうえで、さらに「10億ドル超の価値を持つテック企業を立ち上げ、成長させ、運営できるAI」と定義し、それが実現するのは5年後か、10年後か、それとも20年後かと質問した。これに対し、フアン氏は「I think it's now. I think we've achieved AGI(それは『今』だと思います。私たちはすでにAGIを達成したと考えています)」と答えたのだ。
フアン氏は、AIエージェント(フアン氏はOpenClawを例示)がWebサービスやアプリを作成し、それが数ヶ月のうちに数億人に利用されることは、現在の技術でも十分に起こり得ると指摘した。短期間で10億ドルの価値を生むビジネスを創出することは、現在の技術水準で十分に可能であると認めた形だ。
一方で、10万体のエージェントがNVIDIAのような複雑な企業をゼロから構築できるかという問いに対しては、現時点では「0%」と付け加えている。
今回のフアン氏の発言は、特定の経済的成果に着目した定義であれば、現在のAIでも実行可能であるという現実的な視点に立ったものである。これを「真のAGI到達ではない」とする指摘もあるが、AGIは一夜にして達成が宣言できるものではない。今後もこのような定義の更新と技術の積み重ねを繰り返しながら、段階的にその輪郭が形作られていくとみられる。
