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ボーナスで住宅ローン返済は危険? 総資産30億円投資家が「それは悪手」と言う理由

JAN. 04, 2026 11:00
Text : 西脇章太
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返済すると、資産が増えなくなる理由

では、生活防衛資金を確保した上で、なお余剰資金がある場合はどうすべきか。

現預金で持っているより繰上げ返済をして金利負担を減らすほうが、精神的にも有利ではないか。そう考える読者に、小原氏は次のように語る。

「繰上げ返済をするという行為を、投資の視点で言い換えてみましょう。これは『利回り1%(住宅ローン金利相当)の金融商品を、1000万円で購入する』ことと全く同じ経済効果です。しかも、この金融商品は一度買ったら解約できず、リターンは著しく低い水準に限定されています」(小原氏)

今の時代、利回り1%で解約不能な金融商品を喜んで買う人がいるだろうか。誰でもアクセスできるS&P500などのインデックスファンドですら、長期的には年率数%程度(※)のリターンが期待されやすい時代だ。

※短期では上下し、元本割れもあり得る

「答えはシンプルです。1%のコスト(金利)を支払ってでも、手元のお金をより高い期待リターンが見込めるところへ運用したほうが、差し引き分、期待値として資産は増えやすいのです」と話す小原氏。

プロの不動産投資家たちは、銀行から少しでも低い金利でお金を借りようと必死になる。彼らにとって住宅ローンとは、忌み嫌うべき借金ではなく、資産形成を加速させるためのツールなのだ。

「私たち投資家からすれば、住宅ローンのような超低金利・長期間・固定(または低変動)で借りられるお金は、いわば『お宝』です。これほど有利な条件の資金調達は他にありません。それをわざわざ自分から返しに行くなんて、本当にもったいないことなんです」(小原氏)

ただし、変動金利で上昇局面が不安な人、投資の価格変動に耐えられない人は別。また、住宅ローン控除などが効いている場合は、繰上げ返済で“得の構造”が変わることもあるので、条件の確認は必須とのこと。

退職前後は、“安心”を買う返済もアリ

ここまで、経済合理性とリスク管理の観点から徹底して「繰上げ返済不要論」を展開してきた。では、いかなる場合も返済は悪手なのか。

小原氏は、人生には数字上の損得を超えた「安心感」が必要な局面があることも認めている。その唯一の例外とも言えるのが、「定年退職」のタイミングだ。

「唯一、繰上げ返済を検討してもいいタイミングがあるとしたら、それは『収入が途絶える時』です。例えば40歳で35年ローンを組んだ場合、完済は75歳になります。しかし、定年が60歳だとすると、そこから15年間は、給与収入(インカム)がない状態でローンを払い続けなければなりません」(小原氏)

現役時代は気にならなくても、収入がない状態で毎月口座からお金が減っていくのを見るのは、精神衛生上かなりのストレスになる。この時初めて、繰上げ返済は「投資」ではなく、心の平穏を買うための有意義な「消費」へと変わる。

「人間、資産を持っていたとしても、キャッシュフローがマイナスになることには本能的な恐怖を感じる生き物。大切なのは、ライフステージに応じた選択です。現役世代で稼ぐ力があるうちは、低金利の恩恵をフル活用して手元資金を運用し、資産を増やす。そして、いざ収入がなくなるタイミングで、精神的な安心を得るために返済を検討するのです」

「借金は悪」という思考停止に陥るのではなく、住宅ローンという最強の金融ツールをどう使いこなすか。その視点を持つだけで、あなたの生涯資産は大きく変わるはずだ。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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