米Mozillaは5月22日(現地時間)、"後で読む"サービス「Pocket」を2025年7月8日をもって終了すると発表した。終了の理由については、「人々がウェブ上でコンテンツを保存・消費する方法が進化したため」と説明している。

サービス閉鎖までのスケジュールは以下のとおりである。

  • 2025年5月22日:Pocketアプリの新規ダウンロードおよびPocket Premiumの新規購入が停止(インストール済みのアプリとブラウザ拡張機能の利用は継続可能)
  • 2025年7月8日:Pocketサービス終了(Web版Pocketはエクスポート専用モードに移行)
  • 2025年10月8日:エクスポート専用モード終了日(ユーザーアカウントとユーザーデータを削除、PocketのAPIを停止)。

ユーザーは10月8日までにデータをエクスポートしなければ、保存済みデータが完全に失われるため注意が必要である。エクスポートツールでは、保存リスト、アーカイブ、お気に入り、ノート、ハイライトなどがCSV形式で提供される。

Pocketは、2007年に「Read It Later」という名称でサービスを開始した。インターネット上で見つけた記事、動画、リンクを手軽に保存して後で閲覧できるようにする、いわゆる「後で読む」サービスの草分け的存在であり、Instapaperと並んで高い評価を得ていた。

Mozillaは2015年にFirefoxブラウザへのPocket統合を開始し、2017年に買収した。その後もPocketの独立性を維持しながら、Mozillaはコンテンツのキュレーションや推薦機能の拡充に取り組み、Pocketは世界中の多くのユーザーに質の高いウェブコンテンツをとどける役割を果たし、2020年にはWebby賞の「Best of 2020」、2023年にはAnthem賞を受賞している。

今後Mozillaは、主力製品であるFirefoxの開発に注力するとともに、ユーザーの現在のオンラインニーズに合致した新たなソリューションの構築にリソースを集中させる方針である。Pocketで培われたコンテンツ推薦の技術や知見は、Firefoxの新規タブページなどに継承され、今後も継続的な改善が図られていくという。