Microsoftが米国時間2024年3月25日に更新した公式ドキュメントによれば、ワードパッドがWindows 11 バージョン24H2およびWindows Server 2025で削除されるという。

おそらく既存環境は個別にアンインストールすると思われるが、本稿執筆時点で最新版のWindows 11 Insider Preview ビルド26090は、すでにワードパッドを実行できなかった。

  • Windows 11 Insider Preview ビルド26090

そもそもワードパッドはWindows標準の文書作成ソフトウェアとして、前身のMicrosoft Writeを含めれば、Windows 1.0から実装されてきたアプリである。ご存じのとおりテキスト編集アプリとしてはメモ帳が存在するものの、文字の装飾や画像の挿入など見た目や印刷を前提にした文書を作成する際は有用だったのだろう。

  • Windows 3.1のワードパッド

ただ、筆者は過去に起動したことは操作ミスを除いて皆無である。なぜならPCにMicrosoft Word(以下、Word)がインストールされているから。Wordをインストールするとワードパッドファイルである拡張子「.wri(Windows 11は未サポート)」の関連付けを上書きするため、ワードパッドは不要になる。

読者も「会社のPCはMicrosoft 365 Appsがあるし」「PC購入したらMicrosoft 365 Personal/Family(もしくは固定板)がある」など、同様の経験をお持ちではないだろうか。現在では有用とは言い難(がた)いワードパッドは無用の長物なのだ。

  • Windows 11 バージョン23H2のワードパッド

Windows 11はレガシー機能の廃止に注力している。ワードパッド以外では、Microsoftサポート診断ツール、Cortana、ステップ記録ツール、Windows Mixed Realityなど枚挙に暇がない。

だが、特定の環境を除けば、大多数が使用しないアプリや機能を無効にするのは極めて自然だ。ただ、気になるのはコンピューターブラウザーの廃止である。大幅に簡略化するとLAN上で他のWindows互換PCを列挙・参照するための機能だが、Microsoftは「時代遅れで安全ではないデバイスロケーションプロトコル」とSMBサービスを否定した。

確かに共有フォルダーを用意してPC間のファイル共有をするのではなく、クラウドのファイルストレージに保存し、各PCから参照した方がスマートである。筆者もPC間でファイル移動する場面は減り、意図的に関連するサービスを起動することもなくなった。これも時代の流れなのだろう。

下位互換性を維持しつつもモダン化を推進するWindows 11。使われなくなったアクセサリーを非推奨化(削除)し、セキュリティを理由にSMB 1.0を無効にしている。きっと一連の判断は正しいのだろう。

ただ、WindowsはクライアントPCにおける事実上の標準OSであるからこそ、Microsoftの下す判断は影響が大きいのである。企業ユーザーは当然だが個人ユーザーも前述した公式ドキュメントをチェックしておこう。