この記事では、筆者がCP+会場をくまなく回って気になった製品やサービスをまとめて紹介します。
アナログ回帰的な製品、サービス
数年前から若い人に「チェキ」が流行っているという話を聞いたことがあると思いますが、その背景にあるのが「Digital native meets Analog」という、アナログを新しいものと捉える感性にあると思います(逆にフィルム時代を知っている身からすると「現像するまでちゃんと写っているかわからないし、撮影数に制限がキツイんだよ!」と言いたくなります)。アナログならではのオモシロさ、味を求めた製品、サービスがいくつかありました。
富士フイルムは、チェキシリーズの一環として、手のひらサイズカメラ「INSTAX Pal」を展示。42.3×44.4×43.0mm、41gと超小型のカメラにはビューファインダーや液晶パネルがなく、デジタルカメラながらスマートフォンに転送するまで「どのような画像が撮れているか分からない」というアナログ風の楽しみができる製品です。
画像は専用アプリでスマートフォンに転送され、おなじみのチェキフレーム付きで表示されます。チェキプリンターのINSTAX Linkシリーズに転送してプリントアウトも可能。本体カラーは5色展開で、白が一番人気だそうです。
そのチェキフィルムを使って、往年のカメラをよみがえらせようというのがエスクーラ。往年の二眼レフやハッセルブラッドは、フィルムパックの交換でさまざまなフィルムに対応していました。
古くは「ブローニー判」という幅広のフィルムを使っていましたが、このような撮影をするプロがポラロイドのフィルムバックを取り付けての試し撮りもかつては行われていました。
エスクーラの製品は、このフィルムパックにチェキフィルムを使うというもの。お話を伺うと、中古カメラへの取り付けとなるため、もとのカメラの状態によっては使えない可能性があり、販路に関しては現在検討中との事でした。
HIGHLANDブースでは、SUPER 8 LABという往年の8mm(動画)カメラにフォーカス。フィルムの購入、現像、4Kスキャンを行っており、本数次第でカメラも無料レンタルと、8mm動画を気軽に楽しむことができるサービスをアピールしていました。SAEDAブースでは、35mmフィルムを使用するトイカメラ「Holga」を展示しており、アナログデビューのチャンスはまだまだありそうです。
AIレタッチは「毛穴を残してあばたは削除」も
パソコン用ソフトで面白かったのがEVOTO。AIエンジンで短時間にさままざな修正が行えるアプリで、レタッチソフトでも不可能ではないけど時間がかかる作業を簡略化してくれます。
いくつかのシチュエーションで修正が行えますが、筆者的に印象的だったのが「男性の美肌で単にスムージングやボカシを入れると毛穴が消えて不自然なのをきれいにする。ヒゲも残る」と「ヘアスタイリングが決まっていなくて、アホ毛が出るのを消す」、「デコを狭くする」いうもの。ソフトは毎月1回はアップデートが行われており、できることは現在90以上あるとのことです。
修正具合はスライダーで変更できるうえ、試すだけなら無料で書き出しをするのにチケットが必要、という仕組みで「あまり使わないのでサブスクだとムダ」という人向けです(ただし、チケットの有効期限は1年間)。
現在は登録すると5枚までの現像が無料となっているので、どんなものか試してみるのもよいでしょう(プレビューだけならウォーターマークが表示されますが、無料なのでいろいろと試せます。書き出さない限り枚数は減りません)。
チケットは、通常プランで1,200/3,200/9,000/24,000/75,000枚が用意されており、1,200枚で12,600円、75,000枚で525,000円と段階的に単価が下がるようなっていますが、アマチュアには少々枚数が多いように感じました。説明員に聞くと、PASHA STYLE限定プランというのが用意されており、500枚5,500円があると教えてくれました。
「強風オールバック」ユニット爆誕
写真は動きはないものの一瞬を切り取るという意味では、風や動きを感じる映像を作る必要性があります。というところから生まれたかどうかは分かりませんが、ポータブルファン「CineWind」を展示していたのがNITECORE。初日はモデルさんに対して風を送っていたのですが、2日目は来場者に対して風を送って商品をアピールしていました。
星空を撮るためのフィルター?
ケンコーブースで気になったのが、星にピントを合わせるためのフィルター「NIGHT FOCUS」。どういうものかというと、「ピントが合うとクロスラインで分かる」というもの。ライブビューと手動ピントモードで、きれいなラインが表示されたらジャスピンだそうです。明るさが必要となるので、実用的に使用できるのは0等星以上。
ライブビューでわかるということは「撮影したデータにもラインが入ってしまうのでは?」という疑問が生じます。
聞いてみたところ、NIGHT FOCUSは「フィルターを付けてライブビューモニターを見ながらピントを合わせたら、フィルターを外して本撮影」という仕組みで、簡単に脱着できるマグネット式のアダプターを使っていました。アダプターは別製品で、後日発売です。
NIGHT FOCUSは82mm径のみの展開なので、コンバージョンリングはほぼ必須アイテムになります。
5年ぶり出展のエプソン
エプソンは、エプサイトプレミアムの紹介とセミナー、作品紹介とともに写真高画質プリンターSC-PX1VL、SC-PX1V、EW-M973A3T、EW-M873Tを展示紹介していました。
CP+2020は急遽中止となり、2021年はオンラインのみの開催で、2022年は当初ハイブリッド開催の予定だったのがオンラインのみの開催と変更になり、2023年はエプソン販売はオンラインのみの出展となっていたので、実に5年ぶりの会場出展でした。
キッズ入場とペーパージオラマ、プラレールで親子連れにもアピール
今年のCP+はキッズという入場タグが用意されており、メールアドレスを持たない子どもも保護者の同伴者として登録可能でした。CP+2024では親子連れも意識しており、主催者ブース「わたしの自由区」では、今回巨大プラレールとペーパージオラマが登場。みんな大好きプラレールということで、カメラを持つ、持たないにかかわらず子どもが張り付いており、将来の“撮り鉄”育成をしている様子でした。
このスペースはスタッフが妙に多いなぁと聞いてみたところ、「プラレールの列車の電池が下手すると2時間ぐらいで切れて止まるのでその対応」とのことでした。ざっと見て20編成ほど走っていましたし、16階構成の立体部分の途中で止まったらリカバリーも難しそうです。
ペーパージオラマは、将来の東京駅近郊と新宿駅西口の1/2200スケールジオラマとなっていました。現在、八重洲地区では大規模な再開発が行われており、それら完成した後の東京駅というのはなかなか気になる内容でした。ペーパークラフト作家・トシさんの作品で、普段SNSで作品画像を見る機会もありますが、実物の作品を見られたのがよかったです。