VTuberグループ「にじさんじ」を運営するANYCOLORとstuは12月14日、VTuberに特化したリモートライブシステムを共同開発し、12月2日・3日に韓国で開催されたイベントで導入したことを発表した。

両社の発表によれば通常、VTuberの3Dライブイベントではモーションキャプチャー設備をイベント会場に持ち込んで設置しており、対応可能なイベント会場が限られることや開催準備にかかるコストが大きいことが課題だという。加えて海外での開催となると、言語の壁や会場設営に関する慣習の違いからそういった運用が難しく、事前に収録した映像をイベント会場で投影する程度に留まっていた。

そこで、演者は日本国内のモーションキャプチャースタジオにいる状態でリモートでの出演を実現したのが今回の取り組みとなる。stuが開発したライブエンターテイメント向け同期伝送技術「Media Sync Technology」を用いて、スタジオから遠隔地の会場へと、モーションキャプチャデータや演出照明の制御に用いるDMX信号などをリアルタイムかつ音声と同期した状態で送信する。

音ズレもなく会場演出との連携も遜色なくできるうえ、最終的に会場で投影される高解像度映像そのものを送信するよりもデータ量を圧縮でき安定した伝送が可能だという。

  • 本システムが使われた「AGF KOREA 2023」ライブステージの模様

    本システムが使われた「AGF KOREA 2023」ライブステージの模様

最初の活用事例としては、12月2日・3日に韓国のKINTEXで開催されたアニメ・ゲーム総合イベント「AGF KOREA 2023」において、にじさんじ所属の「緑仙」「Nornis」がライブステージにゲスト出演する際に使われた。

今後は本技術を活用して、海外イベントへの参加あるいは海外ライバーの日本でのイベント出演のほか、日本国内においても地方でのイベントなど従来の方法では開催が難しかった場所へ活動領域を広げていく。