ゲーミングパソコンの人気形態に、選択肢の中から好きなパーツを選んで構成できるBTO(ビルド トゥ オーダー)タイプがあります。細かくスペックが調整できるこのジャンルの売れ筋を探ると、現在人気があるパソコンパーツの構成がつかめます。そこで今回は、秋葉原の老舗PCパーツショップのパソコンショップアークを訪ねました。

同店は、オリジナルのBTOブランド「arkhive」を展開しているので、その中から最近売れているモデルの標準構成を挙げてもらいました。

  • パソコンショップアークの入り口付近に並ぶBTOパソコンコーナー。磯田尚輝氏にナビゲートしてもらった

近年はPCパーツの価格高騰が続き、トータルでかかる予算が増加傾向にあります。それでも、売れ筋モデルはリーズナブルな価格帯に集まっていると、同店スタッフの磯田尚輝氏は言います。「初めての人は、モニターやマウス、キーボードをあわせて25万円以内、もしくは『モニターはテレビを使うからトータル20万円で』という方が多いですね。なので、パソコン本体は10万円台に収まる構成が売れ筋の中心になります。もちろん、数十万円の構成も一定の人気があります」

ゲーミングパソコンの要は、GPUとCPU、メモリー、SSDなどのストレージになります。それらのスペックを中心に、「BTOデスクトップパソコン選び 基本の三カ条」を踏まえて、最近の売れ筋ゲーミングBTOマシンを追いかけていきましょう。

<BTOデスクトップパソコン選び 基本の三カ条>

  • 最重要パーツはGPUで、GeForce RTX 4060以上が選択肢になる。CPUはCore i5から視野に入る感覚。
  • メモリーは最低限が16GBながら、16GBでは苦しいタイトルも増えている。最終構成は32GB以上が売れ筋に。
  • SSDは1TB以上がトレンドになっている。標準で500GBならBTOで倍増させるパターンが多い。

※本文と写真で掲載している価格は、2023年10月24日14:00時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。  

第1位:入門機として定番、RTX 4060 Ti&Core i5搭載の17万円「GC-I5G46R」

一番人気に挙げられたのは「arkhive Gaming Custom GC-I5G46R AG-IC10B66AGL6I-MVR」です。標準構成はGeForce RTX 4060 TiとCore i5-13400F、16GB DDR4メモリー、1TB SSDで、Windows 10 Homeをプリインストールしています。通常価格は169,800円です。

「1万円以下の追加でメモリーを32GBに強化できるので、パソコンでゲームをする初めてのマシンとしてはかなり選びやすいと思います。購入される方も比較的年齢層が低くて、10代から20代の方が多い印象です」

  • 「arkhive Gaming Custom GC-I5G46R」。なお、標準構成にモニターは非搭載となる(以下同)

第2位:RTX 4070&32GBメモリー採用で19万円「GC-I5G47M」

続く2位は、少しスペックが上がった構成になります。「arkhive Gaming Custom GC-I5G47M AG-IC10B66MGL7-TS1」で、通常価格は189,800円。GeForce RTX 4070とCore i5-13400F、32GB DDR4メモリー、500GB SSDを備え、Windows 10 Homeをインストールしています。

「RTX 4070を搭載しながら20万円を切っているのが大きいですね。メモリーも32GBありますし、SSDを1TBにしても20万円以下でいけます。この予算感でできる限りGPUを強化したい、という場合にお勧めですね」

  • 「arkhive Gaming Custom GC-I5G47M」

第3位:20万円超えで、Core i7&イルミネーション強化「GL-I7G47M」

3位は、1~2位から全体的にグレードアップした構成の「arkhive Gaming Limited GL-I7G47M AG-IC16B66MGL7-SFH」となります。GeForce RTX 4070とCore i7-13700F、32GB DDR4メモリーと512GB SSDを備え、OSはWindows 11 Homeとなります。通常価格は224,800円。

「CPUも上のグレードを求めたいという人と、RGB LEDライトが目立つパソコンが欲しいという人に支持されていますね。あとは、前面がメッシュになっているので、通気性が高くて熱がこもりにくい利点もあります。高性能なパーツほど発熱も大きくなりがちですが、これなら効率的に排熱できますしね」

  • 「arkhive Gaming Limited GL-I7G47M」

第4位:60万円級のウルトラハイエンド「GC-I9G49R」

4位は、トップ5のなかでも異質です。通常価格599,800円のウルトラハイエンドモデル「arkhive Gaming Custom GC-I9G49R AG-IC24Z79AGL9-FT」がランクインしました。GeForce RTX 4090とCore i9-13900KF、32GB DDR5メモリーに1TBと2TBのSSDが標準搭載されています。OSはWindows 11 Home。

「価格的に見ても、購入者の年代は40~50代が中心になりますが、4K環境で高画質なゲーム環境を求める人に選ばれますね。また、クリエイターの方や、大学などで研究用に注文をいただくことも多いモデルです」

なお、CPUが最新世代にグレードアップした兄弟機「arkhive Gaming Custom GC-I9G49R AG-IR24Z79AGL9-FT」も2023年10月から販売を開始しており、順調に売れ行きを伸ばしているそうです。GeFoce RTX 4090とCore i9-14900KF、64GB DDR5メモリー、2TB SSDを搭載し、価格は629,800円となります。

  • 「arkhive Gaming Custom GC-I9G49R」

第5位:コルセアのイルミネーションを求める人に人気「GN-I5G46R」

5位には「arkhive Gaming Alliance Corsair Certified GN-I5G46R AG-IC10B76AGL6-C4D」が入りました。GeForce RTX 4060とCore i5-13400F、32GB DDR4メモリー、1TB SSD、Windows 11 Homeを搭載し、通常価格は269,800円になります。

構成は約18万円の1位モデルと近くなりますが、ゲーミングPCで人気のコルセア製パーツを多数採用しているのが特徴です。

「モニターに表示されている画面の色に応じてLEDライトの色を動的に変えたりもできます。ゲームを楽しみつつ、デスク回りの見た目も重視したいという人によく選ばれています」

  • 「arkhive Gaming Alliance Corsair Certified GN-I5G46R」

  • コルセアとのコラボモデルが並ぶ専用コーナーも店内奥に設けている

はみ出し情報・・・対戦ゲーム向き最高峰とコンパクトゲーミングの売れ筋

トップ5以外の売れ筋を尋ねたところ、磯田氏は「対戦ゲーム向き最高峰」の人気モデルとして「arkhive Gaming Alliance ASRock SPIRITS GN-I7G47R AG-IR20Z79AGL7I-H7E」を挙げました。GeForce RTX 4070 TiとCore i7-14700KF、32G DDR5メモリー、2TB SSD、Windows 11 Homeを搭載し、通常価格は429,800円になります。

「研究用や特殊な目的ではなく、一般にゲームをするための一番の環境を目指したいとなると、ここが最高峰になる印象ですね。PCケースも人気があるNZXTの『H7 Elite(2023)』ですし、イルミネーションを重視する人にもお勧めできます」

  • 「arkhive Gaming Alliance ASRock SPIRITS GN-I7G47R」

また、PCパーツの選択肢を狭めずに、パソコン本体をできるだけコンパクトにしたいという人には、小型ケースを採用したBTOパソコンが支持されているそうです。なかでも最近よく売れているのが「arkhive Gaming Alliance Powered by ASUS GN-A7G47M AG-AR8B65MGL7I-AP2」とか。GeForce RTX 4070 TiとRyzen 7 7700、16GB DDR5メモリー、1TB SSD、Windows 11 Homeを採用し、通常価格は279,800円となります。

「本体価格が抑えめになるうえ、Intel Coreシリーズではなく、AMDのRyzen 7を採用しているところもポイントです。AMDは比較的長い世代でCPUの交換が可能なので、CPUの付け替えによる将来的なアップグレードも見込んで導入できるというメリットがあるんですね」

  • 「arkhive Gaming Alliance Powered by ASUS GN-A7G47M」