ここ数年、スポーツ自転車入門者にも人気なのが電動アシスト機能搭載のスポーツサイクル「e-BIKE」。e-BIKEジャンルのなかでも注目されているのがマウンテンバイク(MTB)です。MTBはもちろん街中でも走れますが、本領を発揮するのはやはりオフロード。
とはいえ、MTB初心者がいきなりアップダウンのある専用コースを走れるものでしょうか? 普段はママチャリにしか乗らない筆者が、2020年2月にオープンしたばかりの「トレイルアドベンチャー・よこはま」のトレイルコースでe-MTBに試乗してきました。
この施設ではさまざまなメーカーのe-MTBをレンタル可能。タイミングによっては、メーカーの最新機種も借りられます。今回は期間限定でラインナップされていたトレックの最新e-MTB「Rail 9.7」のレンタルに成功。なんと価格が790,000円(以下すべて税別)というかなりの高級モデルです。こんな自転車に乗れる機会はそうそうない!
レンタル可能だったe-MTBは2モデル、価格の違いはなんなの?
訪れた日は、期間限定でトレックの2020年モデルe-MTB「Rail 9.7」と「Powerfly 5」という2台がレンタル可能でした(掲載時点では両モデルともレンタル期間終了)。両者の特徴は、電動アシストユニットにボッシュの「Performance Line CX」を搭載していること。Performance Line CXは、e-BIKE用ユニットのなかでもマウンテンバイク用に開発されたものです。
ちなみに、Rail 9.7が790,000円なのに対し、Powerfly 5は460,000円。両者の違いはさまざまありますが、とくに大きいのは、Rail 9.7は前後輪に衝撃緩衝パーツを組み込んだフルサスペンションタイプなのに対し、Powerfly 5は前輪のみサスペンションを搭載したハードテイルタイプであること。
また、Powerfly 5はフレームがアルミ製ですが、今回借りたRail 9.7はカーボン製。アルミよりカーボンのほうが軽いので、リアサスペンションなど搭載パーツはRail 9.7のほうが多いにもかかわらず、車体重量はなんとPowerfly 5より軽いのです(Mサイズの場合、Rail 9.7は22kg)
マウンテンバイクならではの「eMTB」モードが乗りやすい
いよいよ試乗です。
トレイルアドベンチャー・よこはまのコースは難易度別に3種類あり、すべて走破しても1kmくらいというショートコース。とはいっても、短いコースには急な下りや急カーブ、連続するバンプなどがあり、初心者の筆者にとっては思った以上にスリリング。
乗ってみて特に感じたのは、バンプなどで力を発揮するRail 9.7のフルサスペンションの力! コースの途中にはわざと連続したバンプが作られているのですが、Rail 9.7だとそんな道でも走り心地が驚くほど滑らか。
アップダウンが連続しても車体がガタつかないので、バランスを崩す不安感がゼロ。筆者は途中で勢いあまって何度かジャンプしてしまったのですが、フワリと着地するので少々のジャンプなら恐怖感はあまりありませんでした。
Rail 9.7が真価を発揮したのは、やはり登り坂。中難易度コースは前半登り、後半下りのコースなのですが、登り坂でアシストがしっかり効くので余計な体力を奪われず、MTBを操作することに集中できます。
また、Rail 9.7には「Eco」「Tour」「eMTB」「Turbo」という4つのモードが搭載されているのですが、使い勝手がよかったのはマウンテンバイクならではの「eMTB」モード。このモード、走行時は軽く踏み込むと軽いアシスト、強く踏み込むと強いアシストになります。
感覚的にパワーを調整できるので、急な斜面や急カーブなど、ハンドル操作が細かくなりがちなときにとても使いやすく感じました。逆に、初心者の筆者が使いにくかったのは「Turbo」モード。とにかくパワーがあり、一気にグッと車体が進みます。カーブの登り坂で使ってみたところ、あまりの勢いに曲がりきれず、土手につっこんで転んでしまいました……。
「疲れる登り坂はアシストにまかせ、スリル感と操作感の楽しい部分だけ楽しめる」というe-MTBは、これからMTBを始めたい人にピッタリ。現在、トレイルアドベンチャー・よこはまでは「Rail 9.7」と「Powerfly 5」のレンタルには対応していませんが、それ以外の複数メーカーのe-MTBをレンタルが可能です。横浜というアクセスのよい場所でもあるので、e-BIKEに興味のある人はぜひ体験してみてはいかがでしょうか。