2018年7月29日、世界最大級のガレージキットイベント「ワンダーフェスティバル2018[夏]」が千葉県・幕張メッセで開催された。

「ワンダーフェスティバル」(通称:ワンフェス)は、フィギュアなどを含む造形物である「ガレージキット」を製作したものを展示・販売するイベント。ワンフェスでは毎年最先端のデジタル原型シーンがわかる講演が開催されている。今回はここで行われたステージ「上海ワンフェスの興奮とCGクリエイターの可能性」の模様をレポートする。

  • 岡田恵太氏が登壇した大盛況のステージ

初の海外イベント「上海ワンフェス」の熱狂

「ワンダーフェスティバル 2018上海[プレステージ]」(上海ワンフェス)は、2018年4月6日・7日の2日間、上海新国際博中心SNIECで開催された、海外初となるワンフェス。お試しの「プレステージ」であったが、中国・アジアを中心に世界のフィギュア・造形ファンが殺到。イベントは大盛況を収めた。すでに2019年6月に第2回上海ワンフェスの開催も決定しているという。

その熱気を伝えるべく、「上海ワンフェス」でオリジナル造形物の展示・販売を行った造形師の岡田恵太氏(Villard 代表)がステージに登壇した。

岡田氏が「上海ワンフェス」に参加してみて感じたのは、中国ではかわいいキャラクターよりは、リアルで躍動感のある造形物が好まれている、ということ。企業ブースでもリアルな造形物が多く見られたという。

また、上海では最近、造形ブームが訪れたようで、「上海ワンフェス」は開催のタイミングが非常によかったと分析。ちょうど1年前、ライオットゲームスの「リーグ・オブ・レジェンド」のキーアートの依頼があり、これを機に中国で自身の名前が広がり、ビジネスの幅が大きく広がったと振り返った。

  • 岡田恵太

    Villard 代表・岡田恵太氏

  • ワンフェス

    岡田氏が製作した『リーグ・オブ・レジェンド』のキーアート

作品「ドラゴン」が開場2時間で完売

作品を「ZBrush」で製作していている岡田氏は、モデルの延長線上でZBrushを扱う人も多い中、粘土をこねたようなアナログテイストなデータになるよう心がけているという。その独自のアナログテイストな作品は「上海ワンフェス」でも注目を浴び、出展・販売した躍動感溢れる作品「ドラゴン」は、なんと開場後2時間で完売。当時の様子をスライドショー形式で流してくれたが、その後のサイン会も大盛況の様子を見せていた。

  • 上海ワンフェスに出展したドラゴンの作品

  • 長蛇の列ができた展示会場の様子

「アナログ感」を重視して躍動的に描く

最近ワコムとのコラボレーションで製作したのは、リスをファンタジックに描いた作品で、すでに海外から大きな反響があるようだ。3Dモデリングツール「ZBrush2018」のディスプレイスメントマップブラシで細かい毛などを作成し、あとはアナログでブラシで堀っていくことで、躍動感を描いていったという。

残念ながら今回の展示に間に合わなかったという、ライオンを描いた作品は、まもなくECサイトなどで販売を開始するとのこと。

  • 躍動感あふれるファンタジックなリスの作品

  • 大迫力のライオンはまもなくECサイトにて販売開始

現在、中国のサブカル愛好者は約3億人とも言われている昨今、岡田氏は「ドラゴンなどリアルテイストな造形作品は、日本よりも絶対ウケています。リアルな造形物が得意な方は、中国版ツイッター『weibo』(ウェイボー)に作品を投稿したり、無料メッセンジャーアプリ『「WeChat』(ウィーチャット)でアピールしたりすることをオススメします」と力を込めた。