Firefox 54の新機能

Firefox 54の新機能であるが、以下の通りである。

  • ダウンロードボタンとダウンロード状況パネルを簡素化
  • 複数コンテンツプロセス(e10s-multi)対応を追加
  • ビルマ語(my)ロケールを追加

また、変更点は、以下の通りである。

  • 「モバイルのブックマーク」フォルダを、より簡単にアクセスできるよう、メインのブックマークメニューへ移動

さて、今回のアップデートの注目点は、マルチプロセスへの対応を強化であろう。マルチプロセスについて、改めて紹介しておこう。従来のFirefoxでは、1つのプロセスで動作をしていた。したがって、1つのタブがクラッシュすると、他のすべてのタブに影響することもあった。そこでマルチプロセスでは、まずユーザーインターフェイスとコンテンツを分割する。さらにコンテンツを複数のプロセスに分けることで、タブの応答性への影響を軽減するものである(過去にも実装の計画が存在していた)。Electrolysisと呼ばれ、eとsに10文字あることから、e10sと表記される。

Firefox 53まででもマルチプロセスへの対応は行われてきた。しかし、有効化は一部のユーザーにのみ限定されていた。しかし、Firefox 54では、ほとんどのユーザーに対し、マルチプロセスが有効化されている。マルチプロセス化のメリットであるが、

  • レンダリングスピードの高速化
  • クラッシュの減少
  • メモリ消費が少なく

があげられる。その一方で、デメリットは、

  • マルチプロセスに対応しないアドオンが使用不能

である。これは、Firefox 57にむけて、従来型アドオンのサポート終了とWebExtensionsへの移行が同時に進められている。本稿では、その確認や対策を紹介したい。まず、マルチプロセスの確認である。アドレスバーに「about:support」と入力する。図4のように、トラブルシューティング情報が表示される。

図4 トラブルシューティング情報

ここで[マルチプロセスウィンドウ]を確認する。「規定で有効」となっていれば、マルチプロセスは有効である。さて、どうしても動かしたいアドオンがある場合、以下の方法がある。まず、アドレスバーに「about:config」と入力する。図5のような警告がでる。

図5 動作保証外の警告

[危険性を承知の上で使用する]をクリックし、次へ進む。設定一覧が表示される(図6)。

図6 設定一覧

変更する設定は、次の3つである。

  • extensions.e10sBlocksEnabling → true
  • extensions.e10sBlockedByAddons → true
  • browser.tabs.remote.force-enable → false

一例で、extensions.e10sBlockedByAddonsを変更してみよう。図6の検索ボックスに「extensions.e10sBlockedByAddons」と入力する。

図7 「extensions.e10sBlockedByAddons」で検索

値が「false」になっている。この行をダブルクリックし、値を「true」に変更する。

図8 「true」に変更

同様に、残りの2つも変更してほしい。場合によっては、すでに変更すべき値になっていることもある。また、設定名が存在しない場合は、真偽値で値を新規作成する。以上の変更を行うと、先ほどのトラブルシューティング情報が、図9のようになる。

図9 変更後のトラブルシューティング情報

[マルチプロセスウィンドウ]が「アドオンにより無効」となり、マルチプロセスが無効化されている。あくまでも回避的な対策にすぎない。今後進むマルチプロセス化によっては、対策とならない可能性もあるので注意してほしい。