長年にわたる不正会計問題によって、信頼を失墜させた東芝。悪しき伝統は断ち切れるのか。消費者から厳しい目が向けられる中開催された、東芝ライフスタイルの記者発表会。6月にマイディアグループ(美的集団)の傘下に入った同社がその後初めて公に設けた新体制についての説明の場。40年続く東芝白物ブランドは変われるのか。
6月30日、東芝ライフスタイルの株式の80.1%が東芝からマイディアグループ(美的集団)に譲渡された。これにより、東芝の連結からはずれ、マイディアグループの傘下に入ることになった東芝ライフスタイル。(同社内にあった映像事業については、分割され、東芝の100%子会社東芝映像ソリューションとなった。)マイディアから2人の役員を招き、新体制がスタートしている。
事業主体は明け渡さない
8月8日、東京都内で行われた東芝ライフスタイルの記者説明会。マイディア傘下に入って初めての公の場で、新体制についての説明のため登壇した石渡社長。
「日本の皆様には安心してもらいたい」。社長は、これまでの東芝の白物家電事業の変遷や新事業体制について説明。事業の開発・製造・販売・アフターサービスの事業主体は変わらず東芝で、商品ラインナップも減ることなく、工場も維持、信頼性のある東芝ブランドのイメージと高い品質水準を維持することを約束した。
説明会の全編を通じて強調されたのは、40年継続してきた“東芝ブランド”が変わらないということ。“東芝”の看板への誇り、国内市場へのこだわりがうかがえた。しかしマイディアグループの傘下に入って、変わらないとは考えにくい。さらにいえば信頼性とイメージはすでに大きく下げてしまっている東芝から本当に変わらないといわれても、それはそれでいいのだろうか。記者からは相次いで質問が投げかけられた。