ダイソンは3月24日、空気清浄機能付きファンの新製品「Dyson Pure Cool Link」の発表会を都内で開催。製品開発担当のヒューゴ・ウィルソン氏がプレゼンテーションを行った。

英ダイソン 研究デザイン開発 デザインリードのヒューゴ・ウィルソン氏

Dyson Pure Cool Link。タワーファンとテーブルファンの2機種を用意。カラーはアイアン/ブルーとホワイト/シルバー

Dyson Pure Cool Linkは、ダイソンが2015年4月に発売した「Dyson Pure Cool」の後継機。その名が示すとおり、新モデルでは本体にWi-Fi機能を搭載し、無線LAN経由でスマートフォンと接続できるようになった。専用アプリはiOS・Androidともに対応。アプリの主な機能は、製品の遠隔操作と空気のモニタリングだ。

アプリでは、室内だけでなく屋外の空気のデータも確認できる。データ分析会社のBreezoMeterと提携しており、全世界主要都市に設置された数千台のセンサーに基づくデータから、ユーザーが選択したエリアの情報をアプリに表示する。空気の状態の他に、気温、湿度、天気の情報もチェック可能だ。

アプリ「Dyson Link」の空気をモニタリングする画面。室内と室外の空気の状態を併せて表示する。レベルはきれい(緑)、やや汚れている(黄)、汚れている(橙)、とても汚れている(赤)の4段階。空気環境の過去の変化を示すグラフや空気清浄機の稼動時間なども確認できる

オートモード設定時の「空気質の目標値」は3段階から選択可能

アプリはWi-Fi経由でリモコンとしても動作する。風量やナイトモードの他、運転スケジュールも設定可能

フィルターの交換時期もアプリで確認できる

また、ホコリとニオイを検知するセンサーを新搭載。センサーから得た情報を空気のモニタリング結果としてアプリに表示させるほか、空気の汚染度に応じて自動で風量をコントロールするオート運転モードを実現した。気温や湿度ではなく、「空気の汚染度に応じて」という点が、空気清浄機能の進化を示している。

新搭載されたVOCニオイセンサーとホコリセンサー。空気中に漂う粒子やガス、揮発性化合物を検知する

LED表示部。「A」はオートモードを表す

ダイソンの空気清浄機能付きファンは、前モデルから超微小粒子状物質PM0.1を99.95%取り除けることをうたっている。今回の新製品も、独自開発の「360°グラスHEPAフィルター」を継続採用。6.6メートルのマイクログラスファイバーを200回以上プリーツ状に折り畳んだ高密度フィルターで微粒子をとらえる。

また、吸引口とフィルターが円筒形で、360度全方位から空気を吸い込むことが可能。内側はニオイを吸着する活性炭フィルターで覆われた一体型構造である点も特徴だ。さらに、吸引部のパネルとフィルターは分離できるように改良されている。

フィルターの外側を覆うパネル。無数の穴から空気を吸い込む

新製品から分離が可能になったフィルターと吸引パネル部。スライドさせれば簡単に外せる

360°グラスHEPAフィルター。微粒子を中に通さないよう、6.6メートルのマイクログラスファイバーを200回以上プリーツ状に折り畳み、その上から網目を掛けている

上部のファンはワンタッチで着脱可能。中央は「ミックスフローインペラー」と呼ばれる部品で、飛行機のエンジンにも使われている技術を応用して強力な風を生み出す。その周りにはフィルターユニットを装備

8畳を清浄する時間の目安は、タワー型が27分、テーブル型が30分。日本電機工業会の規定に基づく適用床面積はそれぞれ10畳、8畳となっている。これは一般的な空気清浄機と比べるとやや低めの数値だが、ダイソンはその理由を「PM2.5よりもさらに小さなPM0.1の捕集率を高めるため」と説明する。

というのも、超微粒子であるPM0.1はその軽さゆえ、気流が速すぎるとフィルターに当たって反発したり、勢いにのってフィルターを透過してしまうおそれがあるのだという。発表会では、ダイソンが第三者機関に委託し、国内での売上台数上位25モデルを対象に行った試験の結果を報告。PM0.1の放出率が30%を超える機種もある一方で、Dyson Pure Cool Linkはわずか0.05%に留まったと自信を見せる。

第三者機関が行った、日本国内で売上が上位の空気清浄機を対象に、PM0.1放出率を計測した試験結果。Dyson Pure Cool Linkの放出率はわずか0.05%だったという

扇風機の羽根なしで風を送る「Air Multiplierテクノロジー」もダイソンのファンの特長。本体から離れた場所の空気でも対流を起こせるので、効率的に汚染物質を取り込めるとしている

そのほか、北里環境科学センターなどで行った試験結果では、浮遊ウイルスを90分で99.9%以上減衰させる効果が認められており、PM0.1レベルの空気汚染物質に対する高い捕集能力が実証されたとしている。

また、新たに「ナイトモード」も搭載。「オートモード」の運転時に設定しておけば、空気清浄のレベルを高めた場合でも、風量を4までに抑えて静かに運転する。LEDディスプレイも減光するので、ユーザーの睡眠を妨げずにすむとのことだ。

スマホアプリで遠隔操作が可能になったが、リモコンは引き続き標準で装備する

本体のカットモデル。基本構造は従来とほぼ変わらないが、センサーやWi-Fiユニットが追加になり、やや複雑化している

開発にあたっては、流体力学、フィルターシステム、気流やソフトウェア開発などを専門とする2,000人以上のエンジニアが24カ月にわたって問題解決に挑み、365個のプロトタイプを制作した。また、ユーザーインタビューを通して既存製品のフィードバックを実施。ナイトモードは、東京のユーザーの声を反映するかたちで生まれたものだという。ウィルソン氏は「さまざまな国の家庭に設置してテストを重ね、どのような家庭環境でもオートモードで室内の空気を浄化できるようなアルゴリズムを作成した」と、Dyson Pure Cool Linkの能力をアピールしていた。