静止している被写体だけでなく、動きのある被写体もバシッと写しとれるのがデジタル一眼カメラのよいところです。そのヒミツは、動体撮影向きのAF(オートフォーカス)モードが搭載されていることにあります。
「流氷の天使」「氷の妖精」とも言われるクリオネ。小さい体ながら動きはなかなか素早いので、コンティニュアスAFの出番です。シャッター速度優先露出(F4 1/250秒) ISO6400 WB:オート 焦点距離:70mm 使用機材:キヤノン EOS 7D Mark II、キヤノン EF24-70mm F4L IS USM |
景色や建物の撮影には、ピントをしっかり合わせて撮れるシングルAFモードが便利です。絞り優先露出 (F11 1/40秒) ISO5000 WB:オート 焦点距離:24mm 使用機材:キヤノン EOS 7D Mark II、キヤノン EF24-70mm F4L IS USM |
デジタル一眼カメラに搭載されているAFモードは、大きく分けて3種類あります。一つは「シングルAF」と呼ばれるもので、シャッターボタンを半押しすると1回だけピントを合わせます。キヤノンでは「ワンショットAF」、ニコンでは「AF-S シングルAFサーボ」という名称です。
二つ目は「コンティニュアスAF」と呼ばれるもので、シャッターボタンを半押ししている間、被写体にずっとピントを合わせ続けます。キヤノンでは「AIサーボAF」、ニコンでは「AF-C コンティニュアスAFサーボ」と呼ばれています。
三つ目はシングルAFとコンティニュアスAFを自動で切り換えるモードです。キヤノンでは「AIフォーカスAF」、ニコンでは「AF-A AFサーボモード自動切り換え」という呼び方をしています。カメラを全自動撮影モードにしていると、だいたいの機種はこのAFモードになります。
キヤノン EOS 7D Mark IIのAFモードの設定画面です。左上がシングルAFの「ワンショットAF」、右上が自動切り換えの「AIフォーカスAF」、左下がコンティニュアスAFの「AIサーボAF」を指定したところです |
シングルAFとコンティニュアスAFの違い
では、シングルAFとコンティニュアスAFの特徴を紹介しましょう。
シングルAFは、おもに静止している被写体、風景や建物、花や小物といったものに向いています。逆に動いている被写体は得意ではありません。シャッターボタンを半押ししたタイミングでAFが作動するので、その後に被写体が移動してしまうとピントが外れてしまうからです。
コンティニュアスAFは、動いている被写体を得意とします。半押ししている間、常にピントを合わせ続けるので、好きなタイミングでシャッターを切ることができます。ですが、常にAFが動いている状態なので、ピントが外れる場合もあります。また、静止している被写体を撮る際に、意図していない場所にピントが移ってしまう場合もあります。シャッターボタンを半押ししている間はAFシステムがフル稼働するので、バッテリーの消費量も格段に増えてしまいます。
このように、静止している被写体などを自分でピントをしっかり決めて撮りたい場合はシングルAF、とにかく動いている被写体を写したいときはコンティニュアスAFと覚えておけばOKです。
ちなみに、デジタル一眼カメラの上位機種になるとAF性能、とくにコンティニュアスAFの実力が入門機とは段違いのレベルになります。動いている被写体をどの位置で捉えるのか、被写体のどういった動きを追従するのか、といったような細かな設定も可能になります。
イルカがジャンプする瞬間をコンティニュアスAFと高速連写モードで撮影。被写体を常に追いかけるので、動きのあるシーンでは大活躍します。シャッター速度優先露出(F2.8-F3.2 1/400秒) ISO400-800 WB:オート 焦点距離:123mm 使用機材:キヤノン EOS 7D Mark II、キヤノン EF70-200mm F2.8L IS II USM |
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