今回はカメラの機能に無くてはならない「絞り」についてです。デジタルカメラはレンズから光を捉えて、それをイメージセンサーで記録して映像化するわけですが、光の状態は常に変化しています。外にいても昼と夜では明るさは違いますし、屋内にいても照明の有無や強弱によって変わってきます。

写真をキレイに撮るためには、適正な光の量が必要です。光の量が少なければ暗くなってしまいますし、逆に多すぎると白っぽくなってしまいます。イメージセンサーに光を当てることをカメラ用語では「露出」と呼び、キレイに写真が撮れる状態を「適正露出」と言います。

では、カメラはどのようにして露出をコントロールしているかというと、レンズ側に「絞り」を、カメラ本体側に「シャッター」を設け、この二つを組み合わせることで調整しているのです。

左の写真がレンズの絞りを開放にした状態で、右の写真が目一杯絞った状態。絞りを開けるとイメージセンサーに多くの光が入ります

オートやプログラムモードの撮影ではカメラが絞りとシャッター速度を決めてくれるので、ユーザーが意識する必要はありませんが、絞りを操作することで撮れる写真もあります。その代表的なものが、「ボケ」のある写真です。このような写真を撮るには、絞りを開放(まったく絞っていない状態)にするか、ある程度絞った状態にする必要があります。

その目安となるのが「絞り値」、または「F値」と呼ばれるもので、これはレンズを通ってイメージセンサー上に写る像の明るさを指します。絞り値は、F1.4、F2、F2.8、F4、F5.6、F8、F11、F16、F22、F32のように表され、数字が小さいと絞っていない状態(開放)となり、数字が大きくなればなるほど絞った状態になります。

また、ボケとは逆に全体的にピントが合っているシャープな風景写真を撮りたい場合は、絞り値を大きくすればよいわけです。

F1.4で撮影した写真。ピントを合わせた手前のビンよりも奥はボケています

F11で撮影した写真。手前のビンだけでなく多くの物がくっきり描かれています

もう一つ覚えておきたいことは、設定できる絞り値はレンズによって変わるということです。とくにF値を小さく設定できるレンズは「明るいレンズ」とも呼ばれ、単焦点もしくは大口径のレンズになります。明るいレンズは高価な製品が多いですが、画質もピカイチです。徐々にステップアップしていくのもデジイチの楽しいところです。

開放F値がF1.4の大口径単焦点レンズ「SIGMA 50mm F1.4 DG HSM」。希望小売価格は税別127,000円

なお、絞りはレンズに内蔵されているものですが、最近のカメラでは本体側を操作して調整します。昔は「絞りリング」がレンズについており、それを回して調節していたのですが、最近のレンズは一部を除き、ほぼついていません。

最近のデジタル一眼カメラのレンズには一部を除き、絞りリングがありません。カメラ本体の電子ダイヤルやボタンを操作して絞りを調節します

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