米NVIDIAは18日(現地時間)、デスクトップ向けGPUの新モデル「NVIDIA GeForce GTX 980」「NVIDIA GeForce GTX 970」を発表した。GPUコアに第2世代"Maxwell"アーキテクチャをベースとしたGM204コアを採用したハイエンドモデルとなる。今回、「NVIDIA GeForce GTX 980」を入手できたので、前世代のハイエンドモデル「NVIDIA GeForce GTX 780 Ti」や、競合となる「AMD Radeon R9 290X」との比較を通じて、パフォーマンスを確認したい。
GeForce GTX 980は、電力当たりのパフォーマンスを重視した"Maxwell"(開発コード名)アーキテクチャをベースとした製品だ。しかし、NVIDIAが2014年2月に発表した「GeForce GTX 750 Ti」「GeForce GTX 750」では、第1世代"Maxwell"のGM107コアを採用したが、GeForce GTX 980では第2世代"Maxwell"のGM204コアを採用する。
第2世代Maxwellでは、新たなメモリ圧縮技術を採用し、メモリの利用効率を高めた。GeForce GTX 980では7.0GbpsのDRAMを採用するが、メモリ圧縮技術により9.2Gbps相当のパフォーマンスを発揮できるとNVIDIAは説明する。
また、より処理が軽いアンチエイリアス技術「MFAA」(Multi-Frame sample Anti-Aliasing)や、細い植物の描写など細やかな表現が可能な「DSR」(Dynamic Super Resolution)といった技術に対応する。各技術に関する詳細は解説は別稿で改めてお伝えする予定だ。
基本的なアンチエイリアスの仕組みについてはこちらのレポート記事を参照してほしい。MFAAはMSAAと同じ効果を得られるが、処理速度は30%高速になるという |
「DSR」(Dynamic Super Resolution)。4K解像度でレンダリングし、画面出力時に1080pディスプレイなど、実際に使っているディスプレイ解像度にダウンスケールする。これにより草の先などの細やかな表示を行う |
さて、スペックを細かく見ると、プロセスは前世代と変わらず28nm。Maxwellでは、32基のCUDAコアで構成されるブロックを4つまとめて1基のSMM(Streaming Multiprocessor Maxwell)としている。GM204では16基のSMMを備えており、つまり2,048基のCUDAコアを搭載する。
前世代である"Kepler"(開発コード名)世代のハイエンドモデルとのスペック比較は以下の通り。
■既存モデルとのスペック比較 | ||||||
モデル | GeForce GTX 980 | GeForce GTX 970 | GeForce GTX 780 Ti | GeForce GTX 780 | GeForce GTX 680 | |
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アーキテクチャ | Maxwell | Kepler | ||||
ベースコア | GM204 | GK110 | GK104 | |||
製造プロセス | 28nm | |||||
トランジスタ数 | 52億個 | 71億個 | 35.4億個 | |||
GPC数 | 4基 | 5基 | 4 or 5基 | 4基 | ||
SM数 | 16基 | 13基 | 15基 | 12基 | 8基 | |
CUDAコア数 | 2048基 | 1664基 | 2880基 | 2304基 | 1536基 | |
ROP数 | 64基 | 48基 | 32基 | |||
テクスチャユニット数 | 128基 | 104基 | 240基 | 192基 | 128基 | |
GPUベースクロック | 1126MHz | 1050MHz | 875MHz | 865MHz | 1006MHz | |
GPUブーストクロック | 1216MHz | 1178MHz | 928MHz | 900MHz | 1058MHz | |
メモリクロック | 7000MHz | 7000MHz | 7010MHz | 6008MHz | 6008MHz | |
メモリタイプ | 4GB GDDR5(256bit接続) | 4GB GDDR5(256bit接続) | 3GB GDDR5(384bit接続) | 3GB GDDR5(384bit接続) | 2GB GDDR5(256bit接続) | |
TDP | 165W | 145W | 250W | 205W | 195W | |
補助電源ピン | 6ピン×2 | 8ピン×1、6ピン×1 | 6ピン×2 | |||
出力端子 | DL DVI×1、DisplayPort×3、HDMI×1 | DL DVI×2、DisplayPort×1、HDMI×1 |
GeForce GTX 780 Tiの2,880基と比べるとCUDAコア数は減っているが、ROP数が48基から64基と増加したことに加え、動作周波数を引き上げられている。特筆すべきはTDPでGeForce GTX 980では165W、GeForce GTX 970では145WとGeForce GTX 780 TiやGeForce GTX 780と比べてかなりひき下げられている。この当たりがパフォーマンスにどう影響してくるのか気になるところだ。