テレプラスは、遠景を大きく捉えるだけでなく、近くにあるものを大きく写したい場合にも役に立つ。下の写真は、広角レンズ「EF35mm F2 IS USM」を使った作例だ。このレンズの最短撮影距離は24cmだが、テレプラスを装着してもその距離は変わらない。つまり、撮影距離を維持したまま焦点距離だけが伸びるので、同じ位置にある被写体はいっそう大きく写ることになる。

マスターレンズのみ。焦点距離35mm。撮影距離24cm(原寸大画像を見る)

「1.4Xテレプラス MC4 DGX-E」使用。焦点距離49mm。撮影距離24cm(原寸大画像を見る)

「2X テレプラス MC7 DGX-E」使用。焦点距離70mm。撮影距離24cm(原寸大画像を見る)

ここで使用した「EF35mm F2 IS USM」は、今回のリニューアルで新対応したレンズのひとつ。もともと明るいレンズなので、テレプラスを使っても実用的な開放値を維持できるのがありがたい。1.4倍タイプ装着時は「49mm F2.8」相当のレンズに、2倍タイプ装着時は「70mm F4」相当のレンズになる。通常は明るい広角レンズとして使用し、テレプラスを装着することで、標準~中望遠クラスの簡易マクロ的な使い方ができるというわけだ。

最後に、ケンコー・トキナーの魚眼ズーム「AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5(IF)」でも試してみた。このレンズは、本来はAPS-Cサイズのデジタル一眼用であり、フルサイズ一眼に使った場合は、画面の周辺部が黒く遮られてしまう。ただし、焦点距離10~17mmのうち、約15~17mmの範囲までズームアップした場合は、フルサイズ一眼でも遮られずに使用できる。

そして、この魚眼ズームに「1.4Xテレプラス MC4 DGX-E」を装着した場合は、ズームアップと同等の効果が得られるため、遮られない範囲がさらに広がり、約11~17mmの焦点域が使用可能になる。また「2X テレプラス MC7 DGX-E」の場合は、アップになりすぎて対角線魚眼での撮影はできなくなるが、ほぼ全域が遮られずに使用できる。

以下の作例は、焦点距離を17mmにセットして、最短撮影距離の14cmで撮影したもの。魚眼にテレプラスを装着するのは意外な組み合わせに感じるかもしれないが、実はネイチャーフォトの分野ではよくある使い方のひとつ。周辺の状況を写し込みつつ、植物や昆虫などをクローズアップで捉えるのに適している。

マスターレンズのみ。焦点距離17mm。撮影距離14cm(原寸大画像を見る)

「1.4Xテレプラス MC4 DGX-E」使用。焦点距離24mm。撮影距離14cm(原寸大画像を見る)

「2X テレプラス MC7 DGX-E」使用。焦点距離34mm。撮影距離14cm(原寸大画像を見る)

今回は、風景と接写でテレプラスの効果を確認したが、ほかにもスポーツやポートレートなどの分野でも役立つだろう。比較的リーズナブルな価格ながら、撮影の自由度と可能性をいっそう広げるアイテムといっていい。

しかも薄型軽量なので、持ち運びは苦にならない。カメラバッグの中に常備しておくのもいい。「あともう少し望遠で撮りたい……」とか、「あともう少し拡大して撮りたい……」と感じたとき、たとえ持参したレンズが少なくても、テレプラスがあれば安心だ。