ネットワーク技術の総合展示会「Interop Tokyo 2013」が幕張メッセ(千葉県)で開催されている。DDSのブースでは、WindowsやAndroid端末などのデバイスで利用できる指紋認証センサーを紹介していた。

DDSでは、指の指紋を読み取り認証できるセンサーを展示していた

「UBF-Tri」は、ノートPCやWindowsタブレットなどに搭載されているUSB端子に直刺しして利用できる指紋認証リーダー。サイズは29×19.6×33mm、質量は11gと小型軽量ながら、異なる2パターンの方法で指紋を認証する「ハイブリッド指紋認証方式」を採用しており認証精度に優れているという。すでに市場に出回っており、様々な導入事例が報告されている(後述参照)。ブースではWindowsタブレットを使ったデモが行われていた。

USB端子に直刺しできる指紋認証リーダー、UBF-Tri。ノートPCやWindowsタブレットなどで利用できる

「UBF-neo」は、micro USB接続に対応したタイプ。アプリ単位で指紋認証を行うかどうかを選択できるので、使い勝手を損わない範囲でセキュアな環境を実現できる。現在開発中で、今夏を目処に商品化していきたい考えだという。これまで指紋認証センサーを備えたスマートフォンと言えば、富士通モバイルコミュニケーションズが展開しているARROWSシリーズが、国内で流通しているほとんど唯一の端末と言ってよかった。DDSの提供するUBF-neoがあれば、手持ちの端末でも指紋認証が利用できるようになる。

コンシューマー向け製品として開発が進められている、UBF-neo。アプリ単位で指紋認証のオン/ オフを設定できる(写真右)

このほかブースでは指静脈で認証できるタイプ、ICカード(FeliCa)で認証できるタイプなどが展示されていた。いずれもシステムの仕様を大幅に変更する必要がなく、簡単に導入できるのが魅力となっている。

ブースに展示されていた、指静脈で認証できるタイプの製品

導入事例

DDSによれば、地方自治体や病院、企業などを中心に年々導入事例が増えているという。例えば藤沢市役所では指紋認証センサーを導入したことにより、なりすましのリスクを最小限に抑え、かつ利用者を特定できるようになったと評価する。秩父市役所ではICカードによる認証センサーを導入したことで、1人でも容易に複数の基幹系業務システムを管理できるようになり、かつシステム運用の秘匿性を向上できたとしている。小牧市病院では生体認証を導入したことで、ICカードやID・パスワードの管理・負担が軽減された。

端末と共にアプリケーションも提供している。大企業向けには指紋認証ソリューション「EVE FA」や多要素認証統合プラットフォーム「EVE MA」などが用意されている

iPhone 6は指紋認証センサーを搭載する?

指紋認証センサーの2大メーカーと言われていた、オーセンティック(AuthenTec)社とバリディティ(Validity)社。ともにアメリカの企業で、グローバルでシェアを争う関係にあった。ところがオーセンティック社は昨年、アップル社に買収された。このことから、関係者の間では「次のiPhoneには指紋認証センサーが搭載されるのでは」と噂されている。

DDSではこれまで取引の関係があったバリディティ社と協力し、引き続きWindowsやAndroidスマートフォンに対応した製品を展開していく方針だ。ブースの担当者は「現在、様々なメーカーがスマートフォンの開発を行なっているが、安全面ではまだまだ課題が残っている。ユーザーのセキュリティ意識が高まるにつれ、指紋認証センサーへの需要も高まっていくのではないか」と話していた。