待望のWi-Fi対応とiOS対応

では、MEP-F10の目玉と言える、Wi-Fi環境での使用について触れていこう。MEP-F10でWi-Fi印刷を行うモードは2つあり、端末と直接通信して印刷する「APモード」と、MEP-F10をWi-Fi(無線LAN)環境に接続してネットワークプリンタとして使用する「CLIENTモード」だ。

APモードの利点は、印刷を実行する側の端末(例えばiPhone)と直接通信するため、無線LAN環境がなくても使えること。ただし毎回、端末からMEP-F10が持つWi-Fiアクセスポイントに接続しなければならない。使用頻度が上がると、この手順が面倒に感じるかもしれない。

もう1つのCLIENTモードでは、MEP-F10はネットワークプリンタになるため、同一の無線LANに接続している端末から自由にワイヤレス印刷できる。端末のWi-Fi接続は、いつもつないでいるルータへの接続のままで良い。一度設定してしまえば、以降は意識することなく専用アプリを使って印刷できる。

APモードで使用する場合は、端末のWi-Fi設定で「CASIO MEP-F10 AP」に接続。最大接続台数は5台までだ

MEP-F10をCLIENTモードで動作させるには、最初にAPモードで端末を接続し、CLIENTモードの設定を済ませる必要がある。ルータに合わせて、SSIDや暗号化方式、パスワードを設定しておく。その後、MEP-F10をCLIENTモードにして電源を入れ直せば良い

専用アプリはiOS用/Android用/PC用が用意されているが、ここではiPhoneを使った。iPhoneから使用する場合は、「memopri MEP-IP10」をいうアプリを利用する。App Storeから無料でダウンロード可能だ。アプリ操作の基本は、テキストを入力して印刷ボタンを押すだけなので、悩むこともないだろう。やはり、普段から手に馴染んだ端末で、ワイヤレスできれいなメモを印刷できるのは気持ちがいい。

iOS用の「memopri MEP-IP10」アプリは、テキストを入力して印刷ボタンを押すだけの簡単操作。フォントの大きさは調整でき、選択中のテープ幅や印刷した際のテープの長さが表示される。過去に入力したテキストの「呼出」も可能

あらかじめ印刷設定で、テープ幅や背景色などをセットしたテープに合わせておくと完成をイメージしやすい。なお、オフィスではちょっと恥ずかしいかもしれないが、音声入力でテキストを入力することもできる

「定型句」も用意され、追加の定型句を「memopri」サイトからダウンロード可能。フォントは標準/太字/斜体の3種類。手書き入力と組み合わせることも可能だ

参考までにPC用のアプリ画面も。基本的な使用感はiOS用と変わらないが、細かいところで機能が豊富。フォント選択の幅が広く縦書き印刷にも対応するので、バインダーのラベルを印刷するような用途にも便利。画像も選択できるので、デザイン性の高いラベルが作れる。デザイン重視の人にはPC用がおすすめだ

今回いろいろとMEP-F10を使ってみて、気に入ったのは以下の点。

(1) テープ全面に粘着力がある
(2) その粘着力がちょうどいい
(3) 履歴や定型句など同じ内容をすぐに印刷できる
(4) きれいなメモが作れる!

一般的な付箋紙と同じ感覚で使う場合、全面に粘着力があることで、メモの片側がペラペラしたり、折り曲がったりすることがない。粘着力が強すぎず弱すぎずちょうどいいので、はがしたり貼り直したりも簡単。

個人的に便利に使えたのは、ToDoリストだ。筆者は意外と忘れっぽいので、ノートPCの画面周りや、デスクトップPCで使う液晶ディスプレイのフレームに、「やること」やスケジュールを書いた付箋紙を貼り付けていたのだが、これを置き換えてみた。自分が見やすい位置に大きめのアクリル板を立てかけ(下敷きやホワイトボード、ダンボールなどでもよいだろう)、スケジュール/ToDoリストをMEP-F10で印刷して貼り付けた。1つのスケジュール/ToDoが完了したらそのメモをはがして捨てるわけだが、きれいに貼り直せて、自然にはがれ落ちにくいのがミソ。優先順位の入れ替えを頻繁に行っていたら、時間の使い方とスケジューリングがうまくなった(ような気がする)。

ノートPCの液晶フレームは狭いので、実はそれほどのメモを貼り付けておけない。下敷きなどを利用して「メモ台紙」のように使うと便利。全面に粘着力のあるメモプリの印刷テープは、一般的な付箋紙と違って片側がペラペラすることがない

書類をまとめている封筒やクリアファイルのラベルとしても、非常に重宝している。やはり全面の粘着力がキモだ。書類が不要になったり、ドキュメントスキャナでデジタル化したあとは、MEP-F10で別のメモを印刷して貼り替え、別の書類を入れる。封筒、クリアファイル、バインダーなどをきれいに再利用できることに、ちょっとした嬉しさを感じた。テープ幅が豊富なこともあって、細めのバインダーにも十分対応できる。

ファイル類の再利用にもぴったり。モノは大事に使いたい

あとは当たり前のことだが、きちんとしたフォントできれいなメモを印刷できる点がいい。電話の伝言などはとかく殴り書きになりがちだが、それをササッとPCやiOS端末で入力、memopriで印刷することで、恥じることなく誰にでも渡せる。オフィスの雰囲気によっては浮いてしまうことがあるかもしれないが、字が汚いと言われている人や、女性には特におすすめだ。

さて、MEP-F10はWi-Fi対応やネットワークプリンタとして動作可能、そしてiOS用アプリの提供など、大きく利便性が向上した。端末にアプリを入れておけば、ちょっとした伝言やメモをすばやく簡単に印刷できる。オフィス用途はもちろん、家庭や個人の整理整頓にも十二分に役立ってくれるだろう。使い方がしぼられるように感じたら、普段の「書く」と「貼る」という動作をすべて、MEP-F10で印刷したメモに置き換えてみるとよい。気付いたらとにかくメモ印刷してペタペタ貼る、という行動を心がけていると、いつの間にか片付けスキルが向上している…と感じたのである。