BenQは11月23日、シンガポールでメディア向け製品説明会「REGIONAL MEDIA MEETING 2012, SINGAPORE」を開催した。シンガポールにて、Intelが冠スポンサーをつとめるゲームイベント「Intel Extreme Masters」の大会が開催されることにあわせたもので、同イベントでは今季シーズン通して、BenQの最新ゲーミングディスプレイ「XL2420T」が公式ディスプレイとして全面採用されている。
このREGIONAL MEDIA MEETING 2012, SINGAPOREと、Intel Extreme Mastersを現地シンガポールで取材することができた。本稿では、主にREGIONAL MEDIA MEETING 2012, SINGAPOREで紹介のあったBenQの新製品のレポートを中心に届けしたい。
まず、Intel Extreme Masters(IEM)は、世界中で開催しているいわゆる「e-Sports」の大会で、1年を1シーズンとして今季で7シーズン目の開催となっている。ちょうどF1のように各地をツアー転戦する開催方式をとっており、世界中のプロゲーマーが参加する大規模なイベントだ。シンガポール大会ではRTSゲームの「League of Legends」と「Starcraft II」の決勝戦が実施されており、両タイトルでの賞金総額は8万2千USドル。賞金額の大きさからも、開催規模の大きさを推し量ることができるだろう。
こちらは、「League of Legends」と「Starcraft II」のトロフィー。歴代優勝チームの名前も彫刻されていた |
参考までに前季シーズンのIEMの開催規模をあらわす数値。既に実ビジターが100万人規模の大会にまで育っている |
また、ゲームの大会というと、主に参加者たちが楽しむものを想像しがちだが、e-Sportsはショウビジネスとしての側面も発展してきており、IEMでも、会場観覧だけでなく、オンラインTVなどでの配信が盛んで、例えばIEMでの人気チーム同士の対戦を中継すると、オンラインで25万人以上の同時視聴者がいるそうで、これはプロリーグのサッカー中継と同程度の同時視聴者に相当するものなのだそうだ。日本ではあまりメジャーでは無いe-Sportsだが、欧米やアジアを中心にプロプレイヤーが職業として成り立つほど興隆しているのだ。
このような状況のe-Sportsにおいて、世界のトッププロの利用に耐えうるゲーミングディスプレイとして、BenQが「XL2420T」の公式採用をアピールする理由は、野球のバットがミズノであったり、サッカーのボールがアディダスであったり、バスケのシューズがナイキであったりするのと同じような意味があると考えているからだろう。大会の取材中、e-Sportsのスタープレイヤーが、製品の利点を海外メディアに紹介している姿なども見ることができ、e-Sportsが既存のプロスポーツに近づきつつあることが実感できた。
IEMとe-Sportsを取り巻く状況
IEMとe-Sportsを取り巻く状況について、IntelのCorporate Marketing Groupに所属し、Intel側のIEM関連の責任者を務めるGeorge Woo氏に少しだけ話を伺うことができた。
そもそもIEMだが、これまでも中国では開催していたが、今回のシンガポールを含むアジア・パシフィックでの開催は今回がはじめてという。日本では馴染みが薄いが、欧米だけでなく、中国はじめ韓国などアジア地域では、近年e-Sportsの人気が特に高まっており、プロプレイヤーも続々と誕生している状況だという。
何故Intelがこういったe-Sportsイベントの力を入れるかだが、明確な数字の相関関係は出せないとはしたものの、Woo氏の話によれば、パフォーマンスクラスの、いわゆる単価の高い同社プロセッサ製品の戦略的な投入計画に、e-Sportsの興隆が関係しているから、という理由があるようだ。これまで低価格品が主流だった市場でも、e-Sportsの大流行をきっかけに、高付加価値品を売り込めるという目論みがあるようだ。
例えば中国市場に対しては、e-Sportsが盛り上がりを見せていることに関連して、戦略的にCore i7 Extremeや、パフォーマンスクラスの"K"シリーズを市場投入しているそうだが、特にKシリーズのCore i7やi5が、売り上げの面で成長を見せているのだと説明してくれた。
ついでに、日本でのe-Sportsの可能性についても伺った。Woo氏は、「日本では国内産コンソール(いわゆる家庭用ゲーム機)マーケットが強すぎて難しい」と説明する。「いつでも日本市場に切り込んで行きたいとは考えている」とも話していたが、Woo氏との会話で全体的には、残念ながら日本でのe-Sports普及にIntelが積極的であるというニュアンスは読み取れることができなかった。
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