年度の変わり目である3月や4月、そして5月のゴールデンウィークに向けては、買い物に良い時期だ。気分的なものもあるし、ショップのセールも活発になる。今回は主にコンパクトタイプのデジタルカメラについて、家電量販店の大手、上新電機(大阪府・ジョーシン岸和田店)で動向やオススメ機種の最前線を聞いてきた。
デジタルカメラ全体の動向については、ここ2~3年は苦戦が続いているという。ジャンル別では、ノンレフレックス(ミラーレス)機は比較的好調だが、デジタル一眼レフとコンパクトタイプは、かつての勢いを失っている。
これはリーマンショックといった経済的な要因のほか、スマートフォンや携帯電話のカメラ機能で十分と思っているユーザーが増えたことも大きな理由の1つ。街中や観光地で周りを見渡してみると、スマートフォンや携帯電話で写真を撮っている人が本当に多い。
とはいえ、"キレイな写真を撮りたい"と思ったら、単独のデジタルカメラを持ったほうが結果的に満足できる。こうしたニーズ、そしてデジタルカメラの買い替えニーズは根強く、ジョーシン岸和田店でも一昔前ほどではないにしろ、継続的に売れているとのこと。
使い方(被写体)としては、子供、ペット、旅行の3つが鉄板らしい。「お客様はファミリー層の方が中心です。最初に奥さんが下見(?)に来て、週末に家族でいらっしゃってご購入いただくこともあります。カップルやご年配の方、男性1人のお客様も多いですよ」(久禮さん)
ジョーシン岸和田店がオススメするミラーレスとデジタル一眼のベスト3
では、ジョーシン岸和田店がオススメしているデジタルカメラを、製品ジャンル別に紹介しよう。
売れ筋のノンレフレックス(ミラーレス)機は、第1位がオリンパス「PEN Lite(E-PL3)」、第2位がパナソニック「LUMIX GF3」、第3位がソニー「NEX-5N」となっている。各モデルのポイントをごく簡単にまとめると、PEN Lite(E-PL3)は薄型の本体や軽快性、LUMIX GF3はフルHD動画やタッチパネル操作、NEX-5NはフルHD動画や高速連写などだ。
続いてデジタル一眼レフのオススメは、第1位がソニー「α65」、第2位がキヤノン「EOS Kiss X5」、第3位がニコン「D5100」となっている。α65は2012年1月に発売された新しいモデルで、注目度とオススメ度が高いのもうなずける。EOS Kiss X5とD5100は、エントリークラスのデジタル一眼レフとして定番だ。
ノンレフレックス(ミラーレス)機とデジタル一眼レフは、レンズキット、ダブルズームレンズキットがよく売れているという。特にノンレフレックス(ミラーレス)機は歴史が浅いため、レンズ資産を所有しているユーザーは少ないと思われる。レンズキットが求められるのは自然な流れだろう。
オススメのコンパクトタイプ、ベスト3は?
先述した"キレイな写真を撮りたい"に、さらに"使いやすく簡単に"を加えると、携帯性にも優れたコンパクトタイプのデジタルカメラ(以下、コンデジ)が強力な選択肢に浮上してくる。学生やカップル、ファミリーのライトユーザー層には、コンデジが人気らしい。
機能や使い勝手の面では、本体サイズや高倍率の光学ズーム、スピード感(電源オンや 連続シャッターなど)をチェックする人が多いそうだ。「店頭では細かいところまでは確認しにくいと思いますが、ズームとスピード感は皆さん気にされますね。夜景や暗い場所に強い機種というのも、よく相談されます。もちろん値段も…(笑)」(久禮さん)
ジョーシン岸和田店がオススメするコンデジのベスト3は、第1位がカシオ計算機の「EXILIM EX-ZR200」、第2位がキヤノンの「IXY 1」、第3位が富士フイルムの「FinePix F770EXR」となっている。
3位のFinePix F770EXRは、やはり光学20倍ズームが強力。暗い場所にも強い。2位のIXY 1は、若いユーザーを中心にWi-Fi(無線LAN)の標準搭載が好まれている。撮影した写真をスマホへ転送したり、スマホ経由でSNSへ投稿できる点がウケているそうだ。
そして1位のEXILIM EX-ZR200だが、幅広いユーザー層へ定番的にオススメできるモデルだという。理由は、電源オンや連続撮影といった動作が速く、オート撮影が優秀、暗いところや夜景に強い、バッテリーが長持ちするといったところ。
「店頭で実際にEXILIM EX-ZR200を使っていただくと、動作のスピード感や、オート撮影の簡単さときれいさがとても好評ですね。特に数年前の製品からの買い替えを考えている方は、電源オンや連続撮影、再生操作などが速い点や、画質の違いに驚かれます。光学ズームも12.5倍と十分ですし。
女性のお客様にはホワイトの本体カラーが人気ですね。ホワイトのコンデジは意外と少ないので、選ばれる1つの理由になっています。ちょっとした動画も撮りやすくてきれいと評判ですよ。
背景ぼかし機能やHDRアート機能なども目立ちますね。見た目にも分かりやすいですし、背景ぼかしは写真の雰囲気や一眼レフ風の仕上がりで、きれいにうまく撮れたと思えるみたいです。3月16日に発売されたEXILIM EX-ZR20もオススメで、すごく期待しています」(久禮さん)
少し補足すると、EXILIM EX-ZR200やEXILIM EX-ZR20は「プレミアムオートPRO」というオートモードを持っており、逆光などの撮影シーンや、被写体の距離などを検出して、自動的に最適な撮影モードでシャッターを切ってくれる。例えば、逆光のようにコントラストが大きいシーンでは白とび補正や黒つぶれ補正、近くの被写体を写すときは自動マクロといった具合だ。
EXILIM EX-ZR200とEXILIM EX-ZR20については、レビュー記事「快速シャッターのEXILIM「EX-ZR20」と「EX-ZR200」で子供たちを撮る」も一読いただきたい。
最近のデジタルカメラはどれも良くできており、買って使ってあからさまに不満を感じる製品はまずない。ただ、店頭で実機に触れて納得して買うのと、スペックや口コミ情報だけを頼りに買うのとでは、大きな違いがある。
初めてデジタルカメラを買うという人は少ないと思うが、ならば、自分の使い方や求める機能、操作性、使っている製品の不満点などは、漠然とでも分かるはず。こうした"経験"を念頭に実機を試せば、自分に合う製品を選びやすい。ぜひともショップへ足を運んでいろいろな製品を見て、納得の1台を購入してはいかがだろうか。