その形状から「Windows Flag(フラッグ)」と称されるWindows OSのロゴが、斜めから見たようなモノクロのデザインに変更も発表されたWindows 8(開発コード名)。二月中旬に掲載された同OSの公式ブログBuilding Windows 8では、同OSでサポートされるアクセシビリティ機能がメトロスタイルUI(ユーザーインターフェース)をサポートすることが明らかになった。また、InternetExplorerの機能を検証するInternetExplorerパフォーマンスラボに関しての紹介も行われている。今週も同社の公式ブログに掲載された記事を元に、Windows 8に関する動向をお送りする。
OSの使い勝手を左右し、重要な存在となる"エクスプローラー"改良ポイント - Windows 8レポート
Windows 8と今後のコンピューターに影響を与える「Windows Store」とセンサー機能
次世代Windows OSで変化する無線ネットワーク環境とファイルシステム
「Microsoft Flight」が無償提供、MicrosoftはPCゲーム黄金期を取り戻せるか?
デスクトップコンピューター向け機能の強化が目覚ましいWindows 8
コンピューターとWebサイトのログオンシステムを強化するWindows 8
自動アップデートでInternet Explorerの更新をうながすMicrosoft
Windows Storeの登場はWindows 8の成功につながるか
大容量ディスクと大型セクターをサポートするWindows 8
Kinect for Windowsの存在とWindows XPをサポートするWindows 8
Windows Updateによる再起動を最小限に抑えるWindows 8
Metroスタイルアプリを支えるWNSとマルチコアサポートを強化するWindows 8
世界を変える新入力デバイスと視認性を高めるWindows 8のタスクマネージャー
メモリ管理を改良したWindows 8
ランチャースタイルを作り替えたWindows 8
ネットワークとの親和性を高めるWindows 8ネットワークとの親和性を高めるWindows 8
仮想環境と互換性問題に対応するWindows 8
変化するWindows 8のファイル管理システム
Windows 8の新ユーザーインターフェースを見てみる
USB 3.0をサポートするWindows 8の開発進捗状況
アプリによる消費電力を抑えつつもバックグラウンド動作を実現する「Connected Standby」とWindows 8
メトロスタイルUIに対応するアクセシビリティ機能
Windows OSは以前から体が不自由な方向けの機能を用意してきた。Windows 7では「コンピューターの簡単操作」というカテゴリに、視覚が不自由な方向けとして拡大表示を行う「拡大鏡」や、画面上のテキストを読み上げる「ナレーター」。指が不自由な方はマウスによってキー入力を行う「スクリーンキーボード」や、音声でコンピューターを操作する「音声認識」を使うことで健常者に近い操作を行うことが可能である。
大多数の方は関係ないと思われるかもしれない。だが、年を重ねるごとに視力は低下する傾向があるため、読者のなかにもフォントサイズを拡大してWebをご覧になっている方もおられるだろう。このように、OSにおけるアクセシビリティは、目立たないながらも重要な機能である。では、Windows 8における同機能はどのようになるのだろうか。その答えは二月十四日に掲載された公式ブログの記事でうかがい知ることができる。
Windows 8では、アシスト技術を向上させ、メトロスタイルUIでも同様の技術を実現すると同時にアクセシビリティに関する開発ツールを用意。対応するメトロスタイルアプリケーションをWindows Storeで提供可能にするという。例えば「ナレーター」では、パフォーマンスの改善や言語・音声の追加。また、多くのテキストを読み取るためにWindows 8に「UI自動プラットフォーム」で改良を加えている(図01~02)。
UI自動プラットフォームとは、「ナレーター」の有効範囲を広げるために、ソフトウェアが出力するテキストを読み込むための新機能。同プラットフォームが組み込まれたInternet Explorer 10では、選択したテキストもナレーターにより読み上げられる。これまでのInternet Explorer 8/9やMicrosoft Wordなどの読み上げにも対応していなかったことを踏まえると、大きく進化したといえる。聴覚に頼らざるを得ないユーザーの強い味方となりそうだ。なお、「拡大鏡」もメトロスタイルUIに対応し、タッチデバイスによる操作を可能にしている。拡大時に表示されるフレームを指でなぞることで、拡大位置を移動させることが可能になった(図03~04)。
このようにWindows 8でもアクセシビリティは保持されるものの、その一方で気になるのが「ナレーター」の日本語対応である。ご存じのとおりWindows 7には日本語用音声合成エンジンが含まれていないため、英語環境と同等の読み上げ環境を得ることは難しい。もっとも、音声合成エンジンを利用される障害のある方、および同者のITサポートをされている方、特別支援学校・学級等で障害のある児童・生徒・学生の指導をされている方は、申し込みを行うことで、クリエートシステム開発のOEM版音声合成エンジンを無償使用することは可能である(図05)。
ただ、恒久的なサポートではない点は若干寂しい。世界各国で使用される言語のなかでも日本語は難解な部類に属するため、音声合成エンジンの作成は負担が大きいのだろう。しかし、世界トップクラスに数えられるMicrosoftが不可能な分野ではない。筆者もすっかり忘れていたが、Microsoft Office XP/2003の時代には、日本語の音声合成エンジンが用意されていた(同2007以降は省略されている)。先のプレスリリースでも、多くの部分をサードパーティベンダーへと外部委託を表明し、Windows 8でもアクセシビリティ用プラットフォームを開発者向けにアピールするという。誰しもが陥る機能障害だけに、同社に一層の努力を望みたい。