以前、Googleの買収を受けてApp Storeからの取り下げが話題となったiPhoneの人気アプリ「reMail」だが、新しい動きが発表された。米reMailは5日(現地時間)、同社Blogの中でreMailのオープンソース化を発表し、以後このコードを引き継いで開発者らに自身のアプリ開発で役立ててほしいとのメッセージを送っている

「reMail for Gmail」

iPhoneアプリだったreMailは、GoogleのGmailと連携することで同Webメールのオフライン動作を可能にし、少ないサイズでの動作や軽快な検索機能など、さまざまなメリットをもたらす。特に電波の届きにくい移動中でのメール確認やデータローミング料金の高い海外での利用などで大きな効力を発揮する。またGoogle自身にとっても、最大の課題の1つが同社サービスのオフライン動作であり、reMailの買収はその弱点を補完するソリューションだといえる。

一方で、人気アプリを奪われる形となったAppleのApp Storeにとっては大きな痛手だ。一部には、対立を深める両者の中でGoogleからの嫌がらせだったという声もある。だがreMail設立者のGabor Cselle氏によれば、買収以降はCselle氏がGoogle内の他のプロジェクトに注力しなければならなくなり、結果としてreMailのApp Storeからの削除を選択しなければならなかったと説明する。

既存ユーザーはそのままreMailを利用できるとフォローする一方で、このアプリを何らかの形で今後もユーザーが利用できる方法はないかと考えた末の結論がApache 2.0 Licenseによるオープンソース化だったという。reMailのコードは現在、Google Codeの中で「remail-iphone」プロジェクトとして参照可能だ。

オープンソース化の狙いの1つは、モバイル電子メール環境に興味を持つ開発者がこのreMailのコードを引き継ぎ、それを出発点として自身のアプリに組み込む、あるいはより発展させたモバイル電子メールアプリを開発することだ。開発者の方はご存知だろうが、電子メールのプログラミングは非常に難しく、IMAP経由でのメールのダウンロードや操作、MIMEフォーマットの分析、添付ファイルの処理、ストレージへの保存方法、そして日本語の場合は文字化け対応など、すべてのクリアしたうえでかつスケーラビリティと安全性を兼ね備えたアプリケーションというのはハードルが高い。

一方で、reMailはこれら課題をすでにクリアしており、多くの開発者に有効活用してもらうのが近道だというのがCselle氏の考えだ。reMailのApp Storeへの復帰はないものの、こうした形で開発されたreMailの派生品が今後ユーザーの陽の目を見る日は近いかもしれない。